教員夫婦の世帯年収は約1,310万円|30代1,000万・40代1,300万の年代別目安と共済の使い方

教員夫婦の家計管理|共済組合のメリットと共働き世帯の落とし穴

教員夫婦の世帯年収は約1,310万円(総務省調査から試算)。年代別では30代で約1,000万円、40代で約1,300万円、50代で約1,600万円が目安です。共済組合の使い方、住宅ローン、共働き家計の落とし穴まで元中学校教員が解説します。

この記事は、金額を「言われています」で済ませません。総務省の地方公務員給与実態調査と人事院勧告という公的な一次資料から、計算式をそのまま載せて世帯年収を出しています。そのうえで、「収入はあるのに貯まらない」という教員夫婦特有のつまずきを、延べ1,000名以上のキャリア相談で実際に聞いてきた話から整理しました。

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ1,000名以上の教員のキャリア相談に対応。

⏱️ 30秒でわかる結論

夫婦とも小・中学校の教員なら、世帯年収は約1,310万円(総務省の平均値からの試算)。年代別では30代1,000万・40代1,300万・50代1,600万が目安です。

試算の根拠総務省 令和6年調査の平均給料月額+人事院勧告の期末・勤勉手当

30代夫婦世帯年収 約1,000万円(当サイトの目安)

40代夫婦世帯年収 約1,300万円(当サイトの目安)

50代夫婦世帯年収 約1,600万円(当サイトの目安)

全世帯との差全世帯の平均所得 575万2千円・中央値 451万円(厚労省2025年調査)

つまずく所収入ではなく「支出が自動で増える構造」。先取り貯蓄で仕組み化する

「教員夫婦の共働きって経済的には恵まれてるよね」とよく言われます。確かに、安定した収入が2人分ある世帯は、社会全体で見れば基盤がしっかりしている部類に入ります。

でも実際に共働き教員家庭の方から相談を受けると、「思ったより余裕がない」「教育費の見通しが立たない」「住宅ローンが重い」という声も少なくありません。金額の話と、暮らしの実感がずれているのです。

そこでこの記事では、まず公的データで世帯年収を確定させ、そのうえで共済組合の使い方、住宅ローン、年収が下がるタイミング、そして陥りやすい落とし穴までを順番に整理します。

少し私自身の話をさせてください。私は公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年教壇に立ちました。
振り返ると、職員室でお金の話をした記憶がほとんどありません。
給与は条例で決まっているので「交渉するもの」という発想がなく、
自分の年収が世の中と比べて高いのか低いのかを考える機会もないまま過ぎていきました。

その延長で、相談の場でよく起きるのが
「世帯年収がいくらなのか、夫婦のどちらも正確には把握していない」という状態です。
延べ1,000名以上のキャリア相談を受けてきて、教員夫婦の方から繰り返し聞いてきたのは、
金額そのものへの不満ではなく「見えていないことへの不安」でした。
だからこの記事は、まず数字をはっきりさせるところから始めます。

「世帯年収はあるはずなのに、月末になるとなぜか余らない。これって私だけ?って思ってたら、実は共働き教員家庭の「あるある」だったんです。」
——40代・教員夫婦(小学校・中学校)

教員夫婦の世帯年収は約1,310万円|総務省データで試算した年代別の目安

教員夫婦の世帯年収は約1,310万円|総務省データで試算した年代別の目安

まず結論から、公的な一次資料だけを使って計算します。使うのは次の2つです。

職種(総務省の区分) 平均年齢 平均給料月額 諸手当月額 年収の試算 夫婦2人分
小・中学校教育職 41.5歳 353,632円 58,333円 約657万円 約1,310万円
高等学校教育職 44.7歳 370,300円 62,841円 約690万円 約1,380万円

計算式はこれだけです。

年収 ≒ 平均給料月額 ×(12ヶ月 + 期末・勤勉手当 4.60月)+ 諸手当月額 × 12ヶ月

小・中学校教育職:353,632円 × 16.60 + 58,333円 × 12 = 6,570,287円(約657万円)

高等学校教育職:370,300円 × 16.60 + 62,841円 × 12 = 6,901,072円(約690万円)

期末・勤勉手当の4.60月というのは、令和6年の人事院勧告で年間4.50月から引き上げられた水準です。
なお令和7年の人事院勧告では、さらに年間4.65月への引き上げが勧告されています(令和7年4月から実施)。

この試算の限界(そのまま書いておきます)

  • 期末・勤勉手当の算定基礎には地域手当・扶養手当・役職段階別加算も加わるため、この試算はやや低めに出ます
  • 諸手当月額は全国平均を一律に当てています。地域手当の高い自治体では上振れ、支給のない自治体では下振れます
  • 4.60月は国家公務員の水準です。地方公務員の支給月数は自治体ごとに条例で決まります
  • 総務省の区分では「小・中学校教育職」に幼稚園の教員が、「高等学校教育職」に特別支援学校・専修学校等の教員が含まれます
  • 平均給料月額には、給料の調整額・教職調整額・管理監督職勤務上限年齢調整額が含まれます

出典:総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」第9表 職種別平均給与月額(注記を含む)

年代別の目安(当サイトの試算)

上の総務省データは「平均年齢41.5歳」という1点の値です。
そこで、この平均値を軸に、公立学校教員の給料表の昇給カーブから年代別に按分した目安が次の表です。
公的統計そのものではなく、当サイトが計算した参考値である点をはっきりお断りしておきます。

年代 1人あたり年収の目安 夫婦合計(世帯年収)
20代 約380万円 約760万円
30代 約500万円 約1,000万円
40代 約650万円 約1,300万円
50代 約800万円 約1,600万円

※ 教頭・校長になると管理職手当が加わるため上振れしますが、金額は自治体の条例で決まるためここでは示しません。
私立学校は学校法人ごとに給与体系が異なるので、この表は公立の目安として見てください。
また、あえて手取り額の欄は置いていません。手取りは所得税・住民税・共済組合の掛金などを引いた後の金額で、
扶養状況・自治体・各種控除によって大きく変わり、一律の率で機械的に計算すると実態からずれるからです。

日本の世帯全体と比べるとどれくらいか

比較の相手も、推測ではなく公的統計を使います。厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅱ 各種世帯の所得等の状況によると、
2024年の1年間の所得は、全世帯の1世帯当たり平均所得金額 575万2千円/中央値 451万円。
世帯主の年齢階級別では次のとおりです。

  • 29歳以下:364万3千円
  • 30〜39歳:646万9千円
  • 40〜49歳:761万8千円
  • 50〜59歳:814万6千円

つまり、40代の教員夫婦(世帯年収 約1,300万円)は、
同じ40代の世帯の平均所得 761万8千円と比べておおよそ1.7倍。
全世帯平均の575万2千円と比べれば2倍を超えます。
収入の面では、間違いなく恵まれた層です。

ただし、国民生活基礎調査の「所得」と、給与明細の「年収(額面)」は集計の定義が完全に同じではありません。
桁を把握するための比較として見てください。
そして——それでも「貯まらない」教員夫婦が多い。理由はこの先の章にあります。

教員夫婦の世帯年収の内訳|給料・諸手当・ボーナスの3階建て

税金書類と電卓(家計の見える化)

「教員の年収」と一口に言っても、中身は3つに分かれています。ここを分けて考えられると、
自分の世帯年収が平均より高いのか低いのか、その理由まで説明がつくようになります。

  • ① 給料月額……給料表の級・号給で決まる基本部分。ここに教職調整額と給料の調整額が含まれます
  • ② 諸手当……地域手当・扶養手当・住居手当・通勤手当・管理職手当など。総務省調査の全国平均は月額58,333円(小・中学校教育職)
  • ③ 期末・勤勉手当……いわゆるボーナス。年間の支給月数が①を何倍かして効いてくるので、年収への影響がいちばん大きい

この構造がわかると、同じ年齢・同じ号給でも自治体によって年収が数十万円変わる理由も見えてきます。
差がつくのは主に②の地域手当と、③の支給月数(条例で決まる)です。
「同期は自分より年収が高い」と感じたとき、能力や評価の差ではなく、勤務地の違いだったというのはよくある話です。

経験年数で見るとどうか

総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」統計表 第6表 職種別・経験年数別・学歴別職員数及び平均給料月額では、小・中学校教育職の職員数は592,703人、
平均経験年数は18.5年と集計されています。
つまり冒頭の「平均年齢41.5歳・約657万円」という数字は、
採用から18年ほど経った、いわば教員人生の折り返し地点の平均像だということです。

20代の若手夫婦がこの記事を読んで「うちは全然届かない」と感じても、それは当然です。
逆に50代の夫婦であれば平均を上回っているはずで、
その差は能力ではなく単純に経験年数の差であることがほとんどです。

手取りについて

額面から引かれるのは、所得税・住民税・共済組合の短期給付掛金と長期給付掛金、
介護保険料(40歳以上)など。ここに扶養の人数や各種控除が絡むため、
「額面の◯割が手取り」と一律に言えるものではありません。
正確に知りたいときは、推計ではなく直近の給与明細と源泉徴収票を2人分ならべるのがいちばん早いです。
これは家計相談でも最初にお願いしていることで、たいてい「思っていた額と違った」となります。

教員ならではの「共済組合」5つのメリット

ノートパソコンで数字を確認する手元(共済組合の制度を確認)

公立教員の福利厚生のうち、家計に直接効いてくるのが公立学校共済組合です。
民間の健康保険・年金とは別の制度で、知らずに使い損ねている方が本当に多い。
教員夫婦なら2人分の組合員資格があるので、活かせる幅も2倍です。

① 医療費の自己負担が軽くなる仕組みがある

高額療養費に加えて、共済組合独自の一部負担金払戻金(附加給付)があり、
自己負担がさらに軽減される場合があります。
ただし支給の基準額は共済組合ごとに定められているため、
「いくらを超えたら戻るか」は所属先の共済組合の案内で確認してください。
ここは全国一律ではありません。

② 共済貯金(利率は共済組合ごとに異なる)

給与天引きで積み立てられる貯金制度です。市中銀行の普通預金より高い利率を設定している組合もありますが、
全国共通の利率というものは存在せず、公表状況も組合によって違います。
「共済貯金は高金利」とだけ覚えて金額を決めるのではなく、
必ず自分の所属する共済組合の最新の案内で利率と上限額を確認してください。

③ 住宅貸付・教育貸付など年1.32%の貸付制度

住宅取得・教育費・医療費など、用途に応じた貸付制度があります。
住宅購入時や子どもの大学進学時に、銀行ローンと組み合わせて総返済額を下げられることがあります。
これも限度額は組合員期間や支部の取扱いで変わるので、事前に確認を(公立学校共済組合の貸付利率は年1.32%で全国共通です)。

④ 退職等年金給付(旧「職域加算」の後継)

ここは誤解が多いところなので、正確に書きます。
2015年10月の被用者年金一元化で、共済年金は厚生年金に統合されました。
同時に「職域加算」も廃止され、その後継として創設されたのが退職等年金給付です。
つまり現在の公立教員に「共済年金の3階部分」があるわけではなく、
厚生年金に上乗せする形の退職等年金給付がある、という整理になります。
制度が変わっている以上、「共済年金があるから老後は安心」という前提はもう使えません。

⑤ 保養施設・宿泊施設の優待

全国の保養所やホテル・旅館を割引価格で利用できます。
教員夫婦なら、夫の共済と妻の共済で使い分けられることもあり、家族旅行のコストを下げやすい。
地味ですが、毎年使えば効いてきます。

「共済組合の貸付制度を知ってから、住宅購入で銀行ローンに加えて共済の住宅貸付を組み合わせて、毎月の返済を1万円以上下げられました。」
——40代・小学校教員

共済組合の制度全般については、公立学校共済組合で使える制度5つ|医療・貸付・共済貯金と退職時の手続きで、
現役中に使える給付と、退職後の任意継続・国保切替の判断までまとめています。

家計管理のコツ|固定費と教育費のバランス

図書館の本棚(学びと教育費の重み)

世帯年収1,000万円を超えていても家計が「余らない」ケースの多くは、
固定費と教育費の重さに原因があります。収入を増やす話より先に、ここを見ます。

固定費の見直しポイント

  • 住居費……住宅ローンか家賃か。共済の住宅貸付を組み合わせられないか
  • 保険料……共済組合の給付があるので、民間保険と保障が重複していないか確認する
  • 通信費……夫婦2回線+子どもの分。まとめて見直すと効果が大きい
  • 習い事費用……「あれもこれも」になりやすく、いちど増えると減らしにくい

教員夫婦だけの固定費リスク「異動」

これは民間の共働き世帯にはない、教員夫婦特有の論点です。
夫婦どちらにも異動があるため、通勤距離・保育園の送迎・車の台数といった前提が数年おきに崩れます。
「近いから車は1台でいい」と決めた翌年に、片方が片道40分の学校へ、というのは普通に起こります。

だから教員夫婦の家計は、いまの勤務地を前提に最適化しすぎないことが大事です。
住宅を買うタイミング、車の台数、保育園の場所——このあたりは
「異動しても破綻しないか」を一度シミュレーションしてから決めてください。

教育費の見通しを立てる

教員夫婦は「子どもの教育には惜しまない」傾向が強く、塾・習い事・私立校・大学費用が想定以上に膨らみがちです。
月単位ではなく、幼児期から大学卒業までの20年トータルで一度試算すると、優先順位がはっきりします。

関連記事:教員から転職して年収は上がる?下がる?|リアルな収入事情と年収アップ戦略

住宅ローン|教員夫婦の世帯年収は審査でどう見られるか

机を囲んで議論する人々(住宅ローンの相談)

住宅購入を考えるなら、教員夫婦は審査において有利な立場にあります。理由は年収の額そのものより、
その年収が続く見込みが立つことにあります。

  • 雇用の安定性……公務員は安定雇用とみなされ、勤続年数の要件でつまずきにくい
  • 年収合算……夫婦双方の収入を合算するペアローン・収入合算で借入可能額が上がる
  • 金利優遇……公務員向けの優遇プランを用意している金融機関がある
  • 共済の住宅貸付……銀行ローンと組み合わせられる場合がある

ただし、「世帯年収の何倍まで借りられる」という一律の数字はありません。
借入可能額は返済負担率・金利・返済期間・団体信用生命保険の条件など、
金融機関ごとの審査基準で決まります。ネットで見かける倍率はあくまで一般論なので、
複数行の事前審査で実額を確認するのが唯一確実な方法です。

もうひとつ、ペアローンには注意点があります。
離婚や片方の退職・転職のときに手続きが複雑になるため、
組む前に「今後どんなライフイベントが起こりうるか」を夫婦で言語化しておくこと。
ペアローンは、2人とも働き続ける前提の商品だという自覚は持っておいたほうがいいです。

共働き教員家庭が陥りやすい家計の落とし穴3つ

万年筆で書く手元(家計の振り返りと記録)

収入が安定している分、油断しがちな落とし穴があります。
Re-Careerに寄せられる相談から見えてきた「あるある」を3つ紹介します。

落とし穴①:時短家電・外食依存で生活費が膨らむ

共働きで時間がない教員夫婦は、家事代行・ミールキット・宅配・外食に頼りがちです。
これ自体は悪いことではありません。「時間を買う」のは良い投資です。
問題は、いくら買っているかを把握しないまま増えていくこと。
半年に一度でいいので、この費目だけ合計してみてください。

落とし穴②:教育費の「青天井化」

「子どもにいい教育を」という想いが強いほど、塾・習い事・私立校への支出が膨らみます。
教員だからこそ、教育の効果を信じているぶん止まりにくい。
世帯年収から見て無理のない上限を最初に決めておかないと、
共働きなのに貯金できない状態が長期化します。

落とし穴③:老後資産の準備が遅れる

教員は退職金と年金があるので「老後は大丈夫」と油断しやすい。
ただし前の章で書いたとおり、共済年金は2015年に厚生年金へ統合され、職域加算も廃止されています。
いま上乗せとしてあるのは退職等年金給付で、制度は今後も変わりうるものです。
「昔聞いた話」のまま老後設計を止めておかないこと。ここだけは早めに手をつける価値があります。

「共働き教員夫婦って、世帯年収だけで安心しちゃうんです。でも気づいたら、貯金が思ったほど増えてなかった。「収入があれば貯まる」じゃなくて、「意識して貯める」が必要だった。」
——40代・教員夫婦

教員夫婦の世帯年収が下がる3つのタイミング

教員夫婦の世帯年収が下がる3つのタイミング

ここまでは「平均でいくらか」の話でした。
でも実際に家計が苦しくなるのは平均のときではなく、世帯年収が一時的に落ちるときです。
教員夫婦の場合、落ちるタイミングはだいたい3つに決まっています。
先に知っておけば、そこだけ備えれば済みます。

① 育児休業に入るとき

育児休業中は給与が支給されず、代わりに公立学校共済組合の育児休業手当金が支給されます。
支給率も支給期間も共済組合の規程で定められていて、給与の満額ではありません。
そのうえ期末・勤勉手当(ボーナス)も在職期間に応じて減るため、
月の減り方より年単位で見たときの減り方のほうが大きく感じられるのが特徴です。
金額は所属先の共済組合と学校事務で必ず確認してください。

② 片方が民間企業へ転職するとき

転職そのものより、制度が丸ごと入れ替わることの影響を見落としがちです。
公立学校共済組合を抜けるので、健康保険は転職先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)へ、
年金は厚生年金へ切り替わります。共済独自の貸付・貯金・附加給付は使えなくなります。

一方で、企業側の福利厚生(住宅補助・企業型確定拠出年金・持株会など)が手厚いこともあります。
だから比較すべきは額面年収だけではありません。
「いまの共済で受けている給付」と「転職先の制度」を紙に並べる。
これをやらずに額面だけで判断して、あとから「思ったより手元に残らない」となる方をよく見ます。

③ 常勤から非常勤・再任用に変わるとき

体調やご家族の事情で常勤を続けるのが難しくなったとき、
時間講師・非常勤への切り替えという選択肢があります。定年後の再任用も同じです。
この場合、給与の計算方法そのものが変わるため、
「常勤の何割」といった単純な比例では計算できません。
選択肢として検討する段階で、必ず具体的な条件を確認してください。

「夫が転職を考えたとき、いちばん怖かったのは年収が下がることじゃなくて、共済がなくなったあと何がどう変わるのか、誰も教えてくれなかったことでした。」
——30代・中学校教員(夫は元高校教員)

この3つに共通しているのは、下がること自体は避けられなくても、下がり幅は事前に計算できるということです。
教員夫婦の強みは、2人とも収入が安定していること。
だからこそ片方が一時的に下がっても、世帯としては立て直しがききます。
「辞める・辞めない」の二択で消耗する前に、まず数字を出してみてください。

教員夫婦だからこそ知っておきたい「貯まる家計」の3原則

教員夫婦だからこそ知っておきたい「貯まる家計」の3原則

ここまでの内容を、明日から動かせる形に落とし込みます。難しいことはしません。3つだけです。

原則1:先取り貯蓄で「使う前に貯める」

いちばん効くのはこれです。給与振込口座から毎月自動で別口座に送金する仕組みを作る。
残ったら貯めるのではなく、引いた残りで暮らす。
共済組合の積立貯金を使えば給与天引きで自動化できるので、意志の力に頼らずに済みます。

金額は「世帯年収の何%」と決めておくと迷いません。
たとえば世帯年収1,000万円で2割と決めれば年間200万円、月あたり約17万円。
この数字が現実的でなければ1割から始めればいい。大事なのは率より、自動化されているかどうかです。

原則2:固定費こそ「見直し習慣」を持つ

教員夫婦は忙しさで固定費の見直しが後回しになりがちです。
だから年に1回、日を決めて住宅ローン・保険・通信費・サブスクを棚卸しする。
おすすめは年度末ではなく、異動の内示が出たあと。
翌年の通勤や生活のかたちが見えたタイミングで見直すほうが、実態に合った判断ができます。

原則3:投資は「時間×分散」でコツコツ

共済年金は2015年に厚生年金へ統合され、職域加算も廃止されています。
いまある上乗せは退職等年金給付だけ。制度に全部を預ける前提はもう成り立ちません。

だからiDeCoやNISAといった制度を、夫婦それぞれで使うことを検討する価値があります。
ただし拠出限度額は制度改正で変わっており、公務員の枠は会社員と同じではありません。
「◯万円まで出せる」という数字は、必ず最新の公式情報で確認してください。
この記事では、裏の取れる出典がないので具体的な限度額は書きません。

——教員夫婦は、日本でも屈指の「安定収入・共働き」世帯です。
制度を正しく知って、仕組みを作る。「稼ぐ」ではなく「貯める・増やす」の観点で家計を設計してみてください。

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教員夫婦の世帯年収・家計に関するよくある質問

教員夫婦の世帯年収・家計に関するよくある質問

Q. 教員夫婦の世帯年収は平均いくらですか?

A. 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」の平均給料月額・諸手当月額と、人事院勧告の期末・勤勉手当の月数から試算すると、小・中学校教育職(平均年齢41.5歳)は1人あたり約657万円、夫婦2人なら約1,310万円になります。高等学校教育職(平均年齢44.7歳)なら1人約690万円、夫婦で約1,380万円。年代別の目安は30代で約1,000万円、40代で約1,300万円、50代で約1,600万円です。地域手当や扶養手当、役職、自治体ごとの支給月数によって上下します。

Q. 教員夫婦の世帯年収なら住宅ローンはいくらまで組めますか?

A. 「世帯年収の何倍まで」と一律に言える数字はありません。借入可能額は返済負担率・金利・返済期間・団体信用生命保険の条件など、金融機関ごとの審査基準で決まるためです。教員は公務員として安定雇用とみなされ、審査で有利に働きやすいのは事実ですが、実額は複数の金融機関の事前審査で確認してください。公立学校共済組合の住宅貸付を併用できる場合もあります。

関連記事:教員の住宅ローン審査の強み

Q. 教員夫婦なのに貯まらないのはなぜですか?

A. 相談を受けていて多いのは3つです。①安定収入を前提に住宅ローン・車・教育費といった固定費が膨らむ、②共済組合の福利厚生に安心して貯蓄が後回しになる、③忙しさから外食・宅配・家事代行など「時間を買う支出」が増える。収入が高いこと自体が問題なのではなく、支出が自動的に増えていく構造に気づいていないことが原因です。先取り貯蓄で仕組み化するのがいちばん確実な対策になります。

Q. 片方が育休を取ると世帯年収はどうなりますか?

A. 育児休業中は給与が支給されず、代わりに公立学校共済組合の育児休業手当金が支給されます。支給率と支給期間は共済組合の規程で定められており、給与の満額ではありません。あわせて期末・勤勉手当(ボーナス)も在職期間に応じて減るため、年単位で見ると世帯年収の目減りを実感しやすくなります。正確な金額は所属先の共済組合と学校事務に確認してください。

関連記事:教員の産休・育休中の給料はいくら?手取りシミュレーション

Q. 教員夫婦でiDeCoやNISAは使うべきですか?

A. 収入が安定しているぶん、長期の積立とは相性のよい制度です。ただし拠出できる金額は制度改正で変わっており、公務員の枠は会社員と同じではないため、必ず最新の公式情報で確認してください。また前提として、2015年10月の被用者年金一元化で共済年金は厚生年金に統合され、旧「職域加算」も廃止されています。現在の上乗せは退職等年金給付です。「共済年金の3階部分があるから安心」という前提はすでに成り立ちません。よく引き合いに出される「老後2,000万円問題」も、前提となる家計の条件次第で必要額は変わります。自分の世帯の支出から逆算してください。

Q. 教員夫婦のふるさと納税はどう活用すればいいですか?

A. 夫婦それぞれに所得があるので、それぞれの名義で寄附すれば世帯としての効果は大きくなります。ただし控除の上限額は、年収・家族構成・各種控除(共済組合の掛金や生命保険料控除など)によって人ごとに変わります。金額はポータルサイトのシミュレーションに、自分の源泉徴収票の数字を入れて確認してください。名義を取り違えると控除されないので、そこだけは注意です。

Q. 片方が民間企業に転職すると家計はどう変わりますか?

A. 公立学校共済組合を抜けることになり、健康保険は転職先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に、年金は厚生年金に切り替わります。共済独自の貸付・貯金・附加給付は使えなくなります。一方で、企業側の福利厚生(住宅補助・企業型確定拠出年金・持株会など)が手厚いこともあります。額面年収だけで比べず、いま受けている給付と転職先の制度を並べて比較してください。

関連記事:教員夫婦のキャリア設計|片方が転職するときに考えること

Q. 教員夫婦は本当に「金持ち」「最強」なのですか?

A. 収入で見れば恵まれた層です。厚生労働省「2025年国民生活基礎調査」の全世帯平均所得575万2千円・中央値451万円と比べれば、教員夫婦の世帯年収は高い水準にあります。ただ「最強」と言われる本当の理由は金額ではなく、2人とも雇用が安定していて、片方が休職や育休に入っても世帯が崩れにくいことにあります。逆に弱点もあって、どちらにも異動があり、勤務時間が読めず、家庭の時間を確保しづらい。お金の面では恵まれていても、時間の面では余裕がない——それが相談の場で実際によく聞く教員夫婦の姿です。

まとめ|教員夫婦の世帯年収を「貯まる家計」に変える

最後に、この記事で確かめたことを整理します。

  • 教員夫婦の世帯年収は、総務省・人事院のデータから試算して約1,310万円(夫婦とも小・中学校教員・平均年齢41.5歳)
  • 年代別の目安は30代 約1,000万円/40代 約1,300万円/50代 約1,600万円(当サイトの試算)
  • 全世帯の平均所得575万2千円・中央値451万円(厚労省2025年調査)と比べれば、収入では恵まれた層
  • それでも貯まらないのは、収入ではなく支出が自動的に増える構造のせい
  • 共済年金は2015年に厚生年金へ統合済み。「共済があるから老後は安心」はもう前提にできない

教員夫婦の共働きは、確かに経済的に有利な立場です。
でもその有利さを活かせるかどうかは、制度を正しく知っているかと、
仕組みで貯めているかの2点で決まります。

Re-Careerでは家計そのものは扱いませんが、「働き方を変えると家計がどう変わるか」
「育休や転職のタイミングをどう考えるか」といった、キャリアとお金の交差点についてはご相談を受けています。
辞めるか続けるかの二択ではなく、選択肢を持った状態で決められるように。一人で抱えず、一度話してみてください。

この記事で使った出典

共済組合の附加給付の基準額・共済貯金の利率、育児休業手当金の支給率、iDeCoの拠出限度額については、
全国一律の数値を確認できる一次資料が取れなかったため、この記事では具体的な金額を書いていません。
所属する共済組合および公式の最新情報でご確認ください。

Re-Career代表 新川紗世
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