産休・育休復帰教員のお金完全ガイド|手当金・住民税・復帰後家計を元教員が解説

産休・育休復帰教員のお金完全ガイド|手当金・住民税・復帰後家計を元教員が解説
新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ500名以上の教員のキャリア相談に対応。

「産休・育休に入るけど、お金は大丈夫かな」
「復帰したら家計はどう変わるの?」
「時短にしたら手取りはどれくらい減るの?」

Re-Careerに寄せられる相談のなかで、産休・育休前後のお金にまつわる不安は、いつもトップクラスのテーマです。給与が止まる、ボーナスが減る、住民税は前年所得ベースで請求される——制度を知らないと、復帰時に思わぬ「お金ショック」を受けるケースも少なくありません。

この記事では、教員の産休・育休でもらえるお金の全体像から、復帰後の家計変化、続ける/辞める/時短の3パターン家計シミュレーションまで、元教員+キャリア支援者の視点で網羅的に解説します。

「育休復帰したら、ボーナスが半額・住民税は満額・保育料は最大級。月の手取りが想像以上に減って驚きました。事前に知っておけば心構えができたのに、と思います。」
——30代・小学校教員(育休復帰3ヶ月目)

産休・育休中の教員がもらえるお金の全体像

ノートパソコンで家計を確認する(産休・育休のお金管理)

教員(公立)の産休・育休中にもらえるお金は、おおまかに4つに分かれます。

① 産前産後休業期間(産休・約14週間)

産前6週間〜産後8週間は「特別休暇」として給与が支給されます(民間企業とは違い、無給ではない)。基本給与とボーナスは満額もしくは80%程度(自治体による)。これは公立教員のとても大きなメリットです。

② 育児休業手当金(育休開始〜原則1歳まで)

育休開始から180日(約6ヶ月)は給与の67%、それ以降は50%が支給されます。育児休業手当金には上限額があります(2026年時点で月30万円程度)。給与が高い教員でも、この上限がかかる点に注意が必要です。

③ 育児休業期間(最大3年)

公務員教員の育休は最大3年間取得可能。ただし手当金が出るのは原則1歳まで(保育園に入れない等で最大2歳まで延長可能)。1歳〜3年目までは無給期間になることが多いです。

④ 共済組合の保障継続

育休中も共済組合の組合員資格は継続するので、健康保険や退職金算定に影響しないのが教員の強み。民間企業のように「育休中は社会保険料を払い続ける必要がある」という心配が、公務員教員には少ないです(自治体により細部が異なるので確認推奨)。

育児休業手当金の計算方法|67%/50%の壁と上限

会議のシーン(手当金の計算と相談)

育児休業手当金の計算式は次のとおり。

育児休業手当金 = 育休開始時の標準報酬月額 × 67%(180日経過後は50%)× 暦日数 ÷ 30

たとえば、標準報酬月額が30万円の場合:
・育休開始〜180日:月額20万1,000円程度
・181日目〜1歳:月額15万円程度

「給与の67%」と聞くと「思ったより少ない」と感じるかもしれませんが、育休中は所得税・住民税が免除(または減免)されるため、手取り換算では給与の80%程度になることが多いです。

2人目以降の育休取得時の注意

2人目以降の育休手当金は、1人目の育休前の給与がベースになるケースが多く、長く休むほど計算ベースが古くなる傾向があります。育休連続取得を考えている方は、計算ベースを事前にチェックしておきましょう。

復帰後の家計はどう変わる?時短勤務と保育料の影響

母と赤ちゃん(育休復帰後の生活)

育休から復帰すると、家計は何重にも変化します。「給料は元に戻るんでしょ?」と思いきや、実はもっと複雑です。

時短勤務の影響

多くの自治体で、小学校就学前まで時短勤務(部分休業)が利用できます。1日2時間の時短取得で、月給はおよそ20〜25%減。手取りでも数万円の減少になります。ボーナスも勤務時間に応じて減るので、年収ベースでは100万円以上減るケースも。

保育料の負担

0〜2歳児の保育料は、世帯年収によって決まります。共働き教員夫婦の場合、世帯年収が高いと月の保育料は5〜7万円になることも。3歳以上は無償化されるので負担は減りますが、未満児期間は家計を圧迫します。

育児用品・送迎費の発生

復帰すると、ベビー用品の補充、保育園送迎時の交通費(または車関連費)、ファミリーサポートやベビーシッター費など、育休前にはなかった出費が発生します。月2〜3万円増えるイメージで予算を組んでおくと安心です。

「時短にしたら手取りが減るのはわかってたけど、保育料・送迎費・育児用品で「実質マイナス」になる月もあって、心が折れそうでした。」
——30代・中学校教員(時短勤務2年目)

復帰前にやっておくべき5つのお金準備

ノートと万年筆(復帰前のお金準備リスト)

復帰時のお金ショックを最小化するために、復帰の3〜6ヶ月前からやっておきたい準備があります。

① 復帰後の収入と支出を試算する

時短勤務にする場合、何時間取るか、月の手取りいくらになるかを必ず計算。プラス保育料・送迎費を加えて、月の家計簿の試算を作っておきましょう。

② 住民税の前年所得分の支払い計画

育休中も住民税は前年所得ベースで請求されます(普通徴収切替)。復帰後も6月までは前年(産休・育休前)の高い所得ベースで給与から天引きされるため、想定より手取りが少なくなる罠があります。

③ 共済組合の貸付制度を確認

育児に関連した費用は、共済組合の育児貸付・教育貸付を低金利で利用できます。一時的な資金需要にも備えられるので、制度を知っておくだけで安心感が違います。

④ 保育園入園のタイミングを最適化

育休手当金が切れる1歳または2歳のタイミングで保育園に入れるのがベストですが、入園難易度によっては早めの入園を選ぶ家庭もあります。「いつ復帰するか」は、お金とキャリアの両方を見て決めるべきポイントです。

⑤ パートナーとの家事・育児・お金の役割分担

復帰後の家計は、夫婦両方の家計と時間配分の問題になります。「給料が減った分、家事の比重を増やせるか」「ボーナス用途を一緒に考えるか」など、復帰前から話し合っておくとスムーズです。

復帰後の落とし穴|ボーナス減・住民税・保育料

木漏れ日の大樹(穏やかな視点で見直す)

「思ったより手取りが少ない」と感じる主な原因は、次の3つです。

ボーナス減:6ヶ月勤務しないと満額もらえない

ボーナス支給日の前6ヶ月のうち、勤務月数によって支給率が変わります。年度途中復帰の場合、最初のボーナスは数割しかもらえないことが普通です。

住民税:前年所得ベースで請求される罠

住民税は前年所得をベースに6月から翌5月まで請求されます。産休・育休直前まで満額働いていた場合、復帰後の住民税が「給料が減ったのに前年並み」になり、手取りを大きく圧迫します。

保育料:認可保育園は前年所得ベース、認可外は固定額

0〜2歳の保育料は、認可保育園は前年所得ベースで決まるので、復帰直後は高め。3歳以降は無償化されますが、未満児期間の保育料負担は計画的に。

続ける/辞める/時短、3パターンの家計シミュレーション

開いた白いドア(選択肢を考えるイメージ)

復帰時の選択肢は、おおまかに3つあります。

パターンA:フルタイム復帰

  • 収入:育休前と同額(年収450〜600万円)
  • 負担:保育園送迎・育児・家事との両立負担大
  • 適している:パートナーや実家のサポートが厚い/キャリア優先

パターンB:時短勤務復帰

  • 収入:年収100〜150万円減
  • 負担:時間的余裕は増える/保育料との差額に注意
  • 適している:子育てを優先/フルタイムは無理せず段階復帰

パターンC:退職して別の働き方に切り替え

  • 収入:一時的に大きく減る/フリーランス・パート・別業種転職など多様
  • 負担:共済から国保・国民年金へ切替(手厚さは下がる)
  • 適している:ライフステージで働き方を再設計したい

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「時短勤務とフルタイムの間で2年悩んで、最終的に時短を選びました。年収は減ったけど、子どもとの時間が取れることが何より大事だった。お金の試算をしっかりしてから決めたから、今も後悔はありません。」
——30代・小学校教員

よくある質問(FAQ)

Q. 育休手当金は無税ですか?

A. はい、育児休業手当金は非課税です。所得税・住民税ともにかかりません。ただし、復帰後の住民税は前年所得ベースで請求されるので、復帰後の家計には影響します。

Q. 育休中にiDeCoの掛金を続けられますか?

A. 続けられますが、所得控除のメリットは育休中は使えません(所得が少ないため)。育休中は最低拠出額(月5,000円)に減額するか、一時停止も可能です。

Q. 復帰後すぐに転職を考えるのは可能?

A. 法律上は問題ありません。ただし、ボーナスや退職金の計算上、復帰直後の転職は損になることが多いです。転職するなら、最低でも復帰後1年は様子を見るのがおすすめ。Re-Careerには、育休復帰後にキャリア相談に来る方もたくさんいらっしゃいます。

まとめ|お金の不安を見える化することから始まる

産休・育休前後のお金の不安は、「制度を知らない」「シミュレーションをしていない」ことから生まれます。

育休手当金、住民税、保育料、ボーナス減——これらの仕組みを一つずつ理解して、自分の家計でシミュレーションすると、不安は「対処できる課題」に変わります。

そして、復帰時の選択(フルタイム/時短/退職)は、お金だけじゃなく、自分とパートナーと子どもの暮らしのバランスで決めるもの。Re-Careerでは、お金とキャリアを一緒に考える相談を多く受けています。一人で抱え込まず、外の視点も借りてみてください。


Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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Re-Careerは元教員が立ち上げた、教員専門のキャリア支援サービスです。
「辞める/続ける/変える」どの選択でも、お金とキャリアの両面で伴走します。