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教員から企業講師へ、始まりの物語

「研修講師って、どうやって始めたんですか?」

最近、そんなふうに聞かれることが増えてきました。でも、正直に言うと—— 私は、教員を辞めるまで、民間企業で働いたことが一度もありませんでした。

それでも今、ありがたいことに、民間企業の中に入って、キャリア研修や管理職研修など、さまざまなテーマで登壇の機会をいただいています。

じゃあ、どうやってその道を開いたのか?今日は、その“最初の一歩”の話を、赤裸々に書いてみたいと思います。

民間を知らない私が、なぜ講師になったのか

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教員時代、私はずっと思っていました。
「先生たちが活躍できる場所って、もっとあるんじゃないか?」って。

でも、それを証明するためには、私自身がまずその“外の世界”を知る必要があった。だからこそ、退職後すぐに、「民間の研修講師」という仕事にチャレンジしようと決めました。

とはいえ——

民間企業に勤めたこともなければ、研修講師の世界なんて未知の世界。
何から始めたらいいのかもわからない。

やれる気はしていたけど、突破口はどこだろう?と考えていました。

最初にやったことは、“聞いてみる”だった

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私は考えました。
「知らないなら、知ってる人に聞けばいい」と。

多くの人は、最初にネットで調べます。私も、もちろん調べました。
検索すれば、研修講師の始め方や、案件の取り方についての情報は山ほど出てきます。

でも、どこかで気づいたんです。

「ネットの情報って、確かに効率はいいけど、それが“すべて”じゃない」って。

なぜなら、そこに書かれているのは“平均値”や“表面的な情報”ばかりで、
リアルな失敗談や、その人が実際にどうやって壁を乗り越えたのか、
どんな選択をして、どう信頼を得てきたのか……

そういう“生きた知恵”は、やっぱり人に聞くしかないからです。だから私は、すでに企業研修をしている知人に連絡しました。

そして、ストレートに聞きました。

  • 「どうやって案件をとっているの?」
  • 「単価の相場って、どれくらい?」
  • 「どうすれば信頼される講師になれるの?」

どれも、ネットでは分からない“リアル”ばかりでした。

そこで教えてもらったことの一つが、
「まずは研修会社に登録してみたら?」というシンプルなアドバイス。

私はその言葉を信じて、さっそくいくつかの研修会社に登録しました。

登録しただけでは、何も起きなかった

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でもね、登録したらすぐに仕事がくるわけじゃないんです。
登録してる講師なんて、何百人といる。

「コミュニケーション研修ができます」なんて言ったって、
そのジャンルは講師が飽和してる世界

だから、私はこう答えました。

「やれそうなものは、全部やります」

もちろん、嘘はつきません。
労務管理や法務のような専門的な内容は「できません」と言いました。

でも、「先生時代にやってきたことの延長で語れそうなテーマ」は、
全部「やります」と言い切りました。とにかく実績もほしかった。

経験が浅くても、「やる」と言わなきゃ、始まらない。
これは、今も変わらず大事にしているスタンスです。

運命を変えた、4枚のスライド

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そんなある日、ある研修会社の方から連絡がきました。

「〇〇企業の研修を提案する予定なんですが、
その提案資料として、スライド4枚くらい作ってもらえませんか?」

正直、その時点ではまだ“企画段階”。
提案が通るかどうかもわからない案件です。

でも私は、そのお願いに全力で応えました。
「たった4枚」と言われたけど、内容や構成、メッセージまで、丁寧に組み立てて。

結果的に、その研修は実施に至りませんでした。でも、ここからがドラマの始まりだったのです。

「この人、誰?」——偶然の出会いが運命を変える

私が送ったスライド資料。
それが印刷されて、社内のどこかのデスクの上に置かれていたそうです。

ある日、それをたまたま目にしたのが——
その研修会社の“営業エリアマネージャー”、つまり、案件を握っているキーパーソンでした。

彼女は、その1枚目のスライドを見て、こう思ったそうです。

「この人、誰?」

そこからは早かった。
担当者に問い合わせて、私のことを知り、興味を持ってくださった。

そして、東京での研修に来てくれて、実際に私の話す姿を見てくれた。そこからは、まさに“怒涛”でした。

気づけば、次々と案件が届くように

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「この研修、新川さんどうですか?」
「来月のこの企業、いけますか?」

そんなふうに、次から次へとお声がかかるようになりました。

金額も様々。
2時間5万円の案件もあれば、4時間20万円を超える案件もある。
この前なんて、60万円を超える仕事もありました。

どんどん実績が積み上がり、
「上場企業で研修をした講師」として紹介されるようになって、
今では“ゼロイチ”に悩んでいた日々が、遠い昔のように感じられます。

私が伝えたいこと

この体験から、私は強く思います。

結局、大切なのは「目の前のことを、どれだけ丁寧にやるか」だと。

「まだ決まっていない案件」だとしても、
「決まるか分からない提案資料」だとしても、
心を込めて取り組むこと。

それを見てくれている人が、どこかに、必ずいる。

あの時、4枚のスライドを“それなり”に作っていたら、
きっと今の私はいなかった。

最後に

もし、あなたが今、
「やってみたいことはあるけれど、どうやって始めたらいいかわからない」
そんなふうに思っているなら、

まずは「すでにやっている人に、聞いてみてください」。
そして、目の前に来た小さなお願いに、全力で応えてみてください。

あなたの想像もしなかった未来が、
その“ひとつの丁寧さ”から始まるかもしれません。