「周りが公務員だから辞められない」は本当か?

「辞めたくても辞められない」
「周りに相談できる人がいない」
「本当は何をしたいのか、自分でもわからない」
最近、個別相談でお話したお二人の先生は、
まったく違う家庭環境に育ちながらも、同じように「働き方」に悩んでいました。
一人は、公務員一家。
もう一人は、起業家一家。
置かれた環境は正反対なのに、
二人とも「このままでいいのかな」という問いを抱えて、私のもとに来てくれたんです。
そこには、環境が人に与える影響の大きさと、
それでもやっぱり“自分の軸”で人生を選ぶことの大切さが、見えてきました。
今日はそんな二人のお話を通して、
「私たちは、どんな風に“自分の道”を選べるのか」について、綴ってみたいと思います。
「周りが全部“公務員”なんです」
ーどんな環境で育っても、自分の人生は“自分”が決めていい

「周りが全部“公務員”なんです」
先日、ある30代後半の女性が、個別相談の中でそう話してくれました。
「自分もそうですし、夫も親も兄弟も…親戚も。
祖父母の代までみんな公務員で、“公務員として働くのが当たり前”みたいな空気で育ってきました」
淡々と話しながらも、その奥にあるため息や葛藤が、じわじわと伝わってきました。
「だから、たまに“辞めたいかも”って思っても、そんなことを口にすることすら、なんだか許されないような気がして。
でも…このままでいいのかなって、最近よく考えるようになったんです」
とても静かな語り口でしたが、その「勇気」は、私にはとても大きなものに感じました。
***
その翌日。
別の個別相談で出会った女性が、全く違うことを話してくれました。
「ありがたいことに、私の周りは起業家ばかりなんです」
「起業家?」と私が聞き返すと、彼女は笑ってうなずきました。
「はい。夫も兄弟も、親も親戚も、みんな自営業とか会社を経営していたり、フリーランスで働いていたり。公務員なのは、私だけなんです」
「すごいですね…!」と私が言うと、彼女は少し照れくさそうに、でも真っ直ぐな目でこう言いました。
「だからかもしれません。
“辞めたらいいのかな?”とか“自分で何かできるかな?”って、まだ思える方だなと。
ありがたいんですけど…でも、私はまだ怖いって思ってしまう。
“本当に自分にできるのかな”って…」
***
この2日間で、まったく正反対の“家庭環境”をもったお二人の話を聞いて、私は深く考え込んでしまいました。
一人は、生まれたときから「安定が正義」とされる環境で育ち、
もう一人は、「リスクをとって自分の人生を切り開く」ことが当たり前の環境で育った。
でも、どちらの方も、“今の働き方に違和感を抱いている”という点では、まったく同じだったんです。
***

公務員一家で育った方は、環境的にも心理的にも、辞めることがとても難しく感じられる。
「こんなに支えてもらってきたのに、自分だけ違う道を選ぶなんて」と、自分を責めてしまいがち。
それでも、勇気を出して「違う道もあるんじゃないか」と思い始めて、相談に来てくださった。
一方、起業一家で育った方は、周りから「やってみなよ」と背中を押される分、挑戦に対するハードルは低い。だけどその分、「本当に起業でいいのかな?自分にできるかな?」と、逆のプレッシャーを感じていた。
周りの環境や言葉は、たしかに私たちの選択に大きな影響を与えます。
でも、それが「答え」ではない。
私は、お二人それぞれに、こんなことをお伝えしました。
「周りがどうであれ、“自分が本当にどうしたいか”を大事にしてください」
「公務員であることも、起業を目指すことも、どちらが良い悪いではなく、ただの“選択肢”のひとつ。本当に大切なのは、あなた自身がどう働き、どう生きたいかです」
***
公務員一家の中にいても、
「私は別の生き方をしてみたい」と感じる人もいます。
起業家一家の中にいても、
「私は今の仕事を、もっと丁寧に続けていきたい」と感じる人もいます。
環境に影響されるのは当然です。
でもそれだけに縛られて、自分の声を押し殺してしまうのは、もったいない。
あなたの人生は、あなたのものだから。
***
私は、この2人の姿から改めて思いました。
どんなに周りの声が大きくても、
どんなに“普通はこうだよ”という空気があっても、
それでも私たちは、自分の人生を“自分で選ぶ”ことができる。
その選択に「正解」はありません。
誰の期待に応えるか、ではなく、
自分が納得できる生き方をしているか。
それだけが、私たちの人生の軸なんだと、改めて感じさせられた出来事でした。

あなたは、どんな「声」に囲まれて生きてきましたか?
そして今、あなたの「本当の声」は、なんと言っていますか?
「私も、自分の本当の声を聞いてみたい」そんなあなたへ
もしあなたが今、
「このままでいいのかな」
「何か違う気がする」
そんな風に感じているなら、
それはきっと“心のサイン”です。
私は、教員としての経験や、起業家としての歩みを通して、
「本当の自分に出会うキャリアの選択肢」を見つけるお手伝いをしています。