やめる気はなかった。ただ、転職サイトを「安心材料」に開いていた。
「やめたいかもしれない」という一文が、目に飛び込んできた。
そこからが、始まりだった。
小学5年生のときに憧れた先生の姿を追いかけて教壇に立って4年目。同僚が次々と休職し、自分も「ぐじぐじ」しながら、夜こっそり転職サイトを開いていた——でも、それは「逃げたい」じゃなかった。「どうしたらいいかわからない」だった……。
ありささん(26)のリアルな葛藤と、SSプログラムで起きた変化を聞きました。
小学5年生の「あの先生」が、ずっと原点だった
新川:
まず、先生になろうと思ったきっかけから聞かせてもらえますか?
ありささん:
小学校5年生のときに出会った担任の先生がきっかけで。授業がすごく楽しくて、生徒と一緒に遊ぶし、怒るときはものすごく正面から怒るし……子どもに全力で向き合っている姿に、憧れを抱いたんです。
新川:
その気持ち、大学を選ぶころまでブレなかった感じですか?
ありささん:
法学部に行こうかなって迷った時期もあったんですけど(笑)、結局好きな歴史を生かせるところを選んで。大学受験の結果も踏まえて、教育大学に進んだという感じです。
4泊5日の合宿、専門外の授業、ベテランとのペア
新川:
2年目の学校に移ってから、どんな感じでしたか?
ありささん:
入ってすぐに4泊5日の合宿があって……これ、毎年恒例なんですよ。生徒の顔も名前も覚えられてないのに、いきなり参加で(苦笑)。
新川:
それ、1ヶ月もたってないくらいですよね。しんどいですよ、それは。
ありささん:
しかも私、専門じゃない授業も担当することになって。しかもペアで組む先生が、その道のベテランの非常勤の先生で。めちゃくちゃやりにくいなって思いました。
新川:
自分がまだ全然自信ない時期に、超ベテランと組まされる感じね。プレッシャーですよね。
ありささん:
教材も1から作るし、授業の準備だけで手いっぱいで。でも2年目は「どうすれば授業がうまくなるか」をずっと考えながら、割と前向きにやってた時期ではあったんですよ。
同僚が5〜6人、一気に休職した
新川:
今年度に入ってから、何か変わりましたか?
ありささん:
5〜6月くらいに、周りの先生が5〜6人くらい一気に休職して。
新川:
え!一気に? それは学校としてもかなりしんどい状況ですよね。
ありささん:
もう、ぐじぐじぐじぐじってなった時期があって。変わりそうにないし、このままでは多分無理かなって、だんだん転職を現実的に考えるようになっていきました。「やめたい」じゃなく、「このままでは多分無理かな」という感覚でした。
新川:
2年目のときも、少し休職してた時期があったと聞いていますが、その時も転職サイトを見ていましたか?
ありささん:
はい。見てましたね。でもあの時は、辞めようというより……なんか、「転職という選択肢もあるんだ」っていう安心材料みたいな感じで眺めてた感じで。本気で動いてはいなかったんですよね。
新川:
「逃げ場がある」ってわかってるだけで、ちょっと楽になれる、みたいな感覚ですよね。
ありささん:
そうそう、まさにそんな感じです。
「やめたいかもしれない」という一文が目に飛び込んできた

新川:
SSプログラムを知ったのはどんなきっかけでしたか?
ありささん:
新川さんが書いた転職の本があると思うんですけど、あれをどこかのタイミングで読んで。「やめたいかもしれない」って書いてあるのを見て、あ、私もそうかもしれないな、って思って。
新川:その一文が刺さったんですね。
ありささん:
本の中にワークがあって、グラフ書いてみたりしながら進めてたら、プログラムの紹介もあって。「相談もやってます」って書いてあったので、じゃあとりあえずLINE登録だけしてみようかなと。ちょうど夏休みに入るタイミングだったので、じゃあセミナー受けてみようって。
新川:
「セミナー受けてみよう」って思えたのも、夏休みっていう時間的なゆとりがあったからってのも大きそうですね。
ありささん:
それはあったと思います。学期中だったら、多分そのまま放置してたかも(笑)。
SSで気づいた「条件で見ていた自分」
新川:
SSプログラムを受けて、最初にインパクトがあったことって何ですか?
ありささん:
最初の方で「条件で転職先を考えるな」みたいな話があって。誰しもまず転職サイトで給与とか勤務地とか見てしまうと思うので、確かにそれはそうだよなって。すごくインパクトがありました。
新川:
ありささん、正直なところ条件で見てたところありましたか?
ありささん:
……ありましたね(笑)。
新川:
(笑)。でもそこに気づけたのが大事で。ワークを通じて自分の価値観とかやりたいことを掘っていって、最終的にどうでしたか?
ありささん:
転職活動で最終的に選んだところは、自分のワークで掴んだ価値観ややりたいことに沿っていると感じられるところだったので。やってよかったという気持ちが大きいです。「条件」ではなく「自分の軸」で選べた、という実感。それがSSで一番変わったことでした。
働きながら、どう転職活動を回したか
新川:
仕事をしながらの転職活動って、時間的にかなり大変だったと思います。どう工夫していましたか?
ありささん:
私、土曜出勤がある代わりに平日が1日休みなんですよ。だから面接はそこに1〜2本入れてやってました。オンライン面接は仕事終わりの夜6〜7時に設定してもらえたりもして。企業研究は朝の時間を使ってましたね。
新川:
朝! 意志が強い(笑)。
ありささん:
そんなにいっぱいは時間取れないんですけど、朝ちょこちょこって感じで。
新川:
「やるなら今」って決断できた理由ってありますか?
ありささん:
教員って人手不足だから、また戻ろうと思えば戻れると思うんですよ。でも民間への転職って、年齢でだいぶハードルが上がってくるから。やるなら今だと思って。
新川:
冷静ですよね、その判断。感情だけじゃなくてちゃんと計算してる。
ありささん:
それくらい考えないと、なかなか踏み出せないんで(笑)。
同じ場所にいる先生たちへ
新川:
同じように迷っている先生たちに、何か伝えたいことはありますか?
ありささん:
まず、自分がどうしたいかをはっきりさせることが大事かなと思って。続けたいと思うなら続ける。でも違うなと思うなら、別の道を考えてもいいんじゃないかなって。
新川:
それが言えるのって、ありささん自身が「どうしたいか」を自分でちゃんと掴めたからですよね。
ありささん:
そうですね。わからないまま走り続けてたら、多分ずっとぐじぐじしてたと思うので。
新川:
これからが楽しみですね。また進捗聞かせてもらえたら嬉しいです。
ありささん:
また0からのスタートになるので、頑張るしかないんですけど(笑)。ありがとうございました!
編集後記
ありささんのインタビューで一番刺さったのは「転職サイトを安心材料として眺めていた」という言葉だった。決断できない自分への後ろめたさじゃなく、揺れながらも準備していた自分がいた、というリアル。「やめたい」よりも先に「どうしたらいいかわからない」という人に、SSは届けたい。このインタビューがその一歩になれたら嬉しい。
取材:新川(Re-Career株式会社 代表取締役)
