教員が辞める理由ランキングTOP10|元教員107名調査が示す真の原因と給特法改正への示唆
教員が辞める理由ランキング2026年最新版。Re-Career独自調査(元教員107名)から、退職理由TOP10を発表。1位「仕事量57%」、2位「長時間労働54%」、3位「家庭両立45%」。給与は14%にとどまる。男女別・校種別の傾向、退職前にやるべき自己整理まで、データと現場知見で徹底解説。
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
📋 目次
- 調査の概要|元教員107名のリアルから読み解く
- 教員が辞める理由ランキング TOP10(2026年最新版)
- 【働き方系】TOP1-3|退職者の76.6%が「働き方」を理由に挙げた
- 【キャリア系】TOP4-6|「次の自分」を求めて辞める教員も多い
- 【将来不安・組織系】TOP7-10|「この先」への不安が辞める背中を押す
- 「給与待遇」は14%にとどまる|給特法改正への示唆
- 男女別|退職理由には明確な男女差
- 年代別|20代〜50代以上で違う退職理由の傾向
- 校種別|小中高で違う退職理由
- セルフチェック|あなたの退職理由はどのタイプ?
- タイプ別|あなたに合う選択肢
- 退職を考える教員へ|本調査が示すメッセージ
- 退職した教員が後から振り返って「これが本当の理由だった」と気づく3つのパターン
- 退職理由を整理した後の3つの選択肢
- 調査レポート全文&シリーズ記事
- まとめ|「自分の退職理由」を言語化することから始めよう
「教員が辞める理由って、結局なんなんだろう?」
給特法改正、35人学級、部活動地域移行──教員の働き方改革が進む中で、それでも教員不足は止まりません。退職教員の本音はどこにあるのか、メディアで語られない「真の理由」は何か。
本記事では、Re-Career独自調査(全国35都道府県・元教員107名)と、キャリア支援延べ1,000名以上の現場知見を組み合わせて、「教員が辞める理由ランキング2026年版」として整理しました。
結論からお伝えすると、教員が辞める理由TOP3は「仕事量」「長時間労働」「家庭との両立」。一般的に語られがちな「給与待遇」は14%にとどまります。退職判断の中心は「お金」ではなく「働き方の構造」にあるという事実が、データから明確に見えてきました。
⏱️ 30秒でわかる結論
教員が辞める理由TOP10(2026年最新):1位は「仕事量57%」、給与は14%。
1位仕事量 57%
2位長時間労働 54%
3位家庭との両立 45%
4位キャリア拡張 39%
5位仕事内容 37%
番外給与待遇は14%にとどまる
調査の概要|元教員107名のリアルから読み解く
本ランキングは、Re-Careerが2026年3〜5月に実施した独自調査「元教員キャリア実態調査2026」の結果に基づきます。
調査の基本情報
- 調査対象:教員を退職した経験を持つ方(公立・私立、常勤・非常勤を問わず)
- 調査方法:Googleフォームによる無記名アンケート
- 有効回答数:107名(全国35都道府県)
- 調査期間:2026年3月〜5月
- 属性:女性64名・男性42名、小学校49名・中学校37名・高等学校12名・特別支援学校3名
- 勤続年数:「11〜15年」が最多。中堅・ベテラン層中心
マクロな離職率データはあっても、「退職者本人の声」を体系的に整理したデータはほとんどないのが現状。この空白を埋めるために実施した調査の中から、退職理由(複数選択可)の集計結果を分析します。
教員が辞める理由ランキング TOP10(2026年最新版)
退職理由(複数選択可)の集計結果を、上位10位まで紹介します。
- 1位|仕事量:57.0%
- 2位|長時間労働:54.2%
- 3位|家庭との両立:44.9%
- 4位|キャリア拡張:39.3%
- 5位|仕事内容:37.4%
- 6位|体調:35.5%
- 7位|将来不安:29.9%
- 8位|現場の空気感・閉塞感:24.3%
- 同率9位|人間関係:20.6%
- 同率9位|制度・評価への不満:20.6%
※ 複数回答(n=107)のため、%の合計は100%になりません。%は「その理由を挙げた人の割合」です。人間関係と制度・評価への不満はどちらも22名で完全に同数のため、順位を分けず「同率9位」としています。11位は「管理職への不安」(19.6%・21名)で、TOP10には入りません。なお本文中の一部や図版では、%を四捨五入した整数で表記しています。
このランキングを「働き方系(1〜3位)」「キャリア系(4〜6位)」「将来不安・組織系(7〜10位)」の3グループに分けて、それぞれの構造を解説します。
【働き方系】TOP1-3|退職者の76.6%が「働き方」を理由に挙げた
ランキング上位3つを占めるのは、いずれも「働く量と時間」に直結する要因。回答者107名のうち82名(76.6%)が、この3つのいずれかを退職理由に挙げています(複数回答)。上位3つに回答が集中している点が、本調査の最大の発見です。
1位|仕事量 57.0%|「終わらない業務」
教員の業務は、本来の授業以外に校務分掌(生徒指導・進路指導・人権教育など多種多様)、行事運営、保護者対応、部活動指導、研修受講、書類作成と無数にあります。「いくらやっても終わらない」状態が日常化し、半数を超える57.0%(61名)の退職者が「仕事量」を退職理由に挙げています。
2位|長時間労働 54.2%|「平日朝7時〜夜9時」の日常
OECDのTALIS 2024では、日本の中学校教員の1週間当たりの仕事時間は55.1時間、小学校は52.1時間で、前回に引き続き参加国中で最長でした(OECD平均は中学校41.0時間、参加国平均は小学校40.4時間)。「平日朝7時出勤、夜9時退勤、土日も部活」が常態化する中、人間らしい生活を求めて退職する教員が多数。給特法のもとで時間外勤務手当が支給されない構造も影響しています。(出典:文部科学省「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2024 報告書のポイント」)
3位|家庭との両立 44.9%|特に女性教員に深刻
女性教員(回答64名)の57.8%=37名が「家庭との両立」を退職理由に挙げています(クロス分析より)。育児・介護・自分の健康と教員業務の両立が物理的に不可能なケースが多発。「家族のために辞める」のではなく「家族と過ごす時間を取り戻すために辞める」のがリアル。
「土日のたびに部活で家にいない父親に、子どもが「パパは仕事の人」と言うようになった。これは違うと思って辞めた。」
——40代・元中学校教諭・男性(自由記述より要約)
【キャリア系】TOP4-6|「次の自分」を求めて辞める教員も多い
働き方の限界だけでなく、「他にやりたいことが見えた」という前向きな退職理由も上位を占めます。
4位|キャリア拡張 39.3%|前向きな退職
「教員以外のキャリアを試したい」「教育の別の角度に挑戦したい」「専門性を深めたい」──こうした前向きな退職理由が4位。本調査では退職後にフリーランス・民間・公務員行政職など多様な進路に進む人が多く、教員を辞めることが「次のキャリアの始まり」になっています。
5位|仕事内容 37.4%|「やりがいの変質」
授業だけでなく、書類作成・会議・保護者対応・部活など、「本来やりたかった教育」とは違う仕事が増えたという声。教員になった原点と現実のギャップが、退職判断に影響しています。
6位|体調 35.5%|健康を損なう前に動く
体調不良が退職理由の上位に来るのは、教員の労働強度の高さの証拠。実際、本調査では「教員時代に病気休職経験あり」が27.1%(107名中29名)。退職者のおよそ4人に1人が病気休職を経験しています。
【将来不安・組織系】TOP7-10|「この先」への不安が辞める背中を押す
7位に入るのは、学校組織そのものではなく「この先も教員を続けられるのか」という将来不安です。8位以下には、個人の業務量・時間ではなく学校組織の構造に対する不満が並びます。
7位|将来不安 29.9%
32名が「将来不安」を退職理由に挙げ、体調(6位)に次ぐ7位に入りました。「10年後もこの働き方を続けられるのか」「教員不足がこれ以上進んだら、自分の担当はどうなるのか」──いま辛いことより、先が見通せないことが退職を後押しするケースです。給特法改正や部活動の地域移行など制度は動いていますが、それが自分の職場に届くまでの時間が読めない、という感覚にもつながっています。
8位|現場の空気感・閉塞感 24.3%
学校現場の「閉鎖性」「変化のなさ」に疲弊する声。新しい提案が通らない、前例踏襲が当たり前、自由な意見が言いにくい──こうした空気感が退職判断に。
同率9位|人間関係 20.6%
同僚との関係、管理職との関係、保護者との関係。特に「合わない人と毎日顔を合わせ続ける」のは教員特有のストレス。
同率9位|制度・評価への不満 20.6%
評価制度の不透明さ、頑張りが報われない構造、年功序列的な昇給などへの不満。「成果と給与が連動しない」感覚が辞める背中を押します。人間関係とはどちらも22名で同数のため、順位を分けず同率9位としています。
【11位・TOP10圏外】管理職への不安 19.6%──「管理職になりたくない」「管理職が機能していない」「管理職になっても解決しない」という声も21名から挙がりました。教員のキャリアの天井としての管理職が魅力的でない、という問題です。TOP10には入りませんが、同率9位の2項目(各22名)とはわずか1名差で、無視できない項目です。
「管理職を見て「あの人みたいになりたい」と思える人がいなかった。それが致命的だったかもしれない。」
——40代・元小学校教諭・女性(自由記述より要約)
「給与待遇」は14%にとどまる|給特法改正への示唆
本調査で最も重要な発見の一つが、「給与待遇」を退職理由として挙げた人が14%にとどまった点です。
給与は退職判断の中心ではない
2025年6月11日に成立した給特法改正(6月18日公布・令和7年法律第68号)で、教職調整額は2026年1月の5%を起点に毎年1%ずつ上がり、2031年1月に10%になることが決まりました。率は改正法附則第2項に年ごとに書き込まれており、自治体の判断で前後するものではありません。給料月額35万円の人なら、4%(14,000円)から10%(35,000円)へ月21,000円、12か月分で252,000円の増加です。期末手当・勤勉手当の算定基礎にも加わりますが、支給月数は各自治体の条例で決まるため、賞与込みの年額を全国一律の数字で示すことはできません。なお、日本の教員の法定給与(初等教育)はいまもOECD平均を下回っています(OECD『Education at a Glance 2025』)。(出典:e-Gov法令検索「給特法」/文部科学省「給特法等の一部を改正する法律の概要」)
処遇改善は教員の士気・生活の質を上げる重要な施策。でも、本調査が示すのは「給与改善だけでは退職は止まらない」という冷徹な現実です。
必要なのは「働き方の構造改革」
退職理由TOP3が「仕事量・長時間労働・家庭両立」である以上、業務量そのものの削減・長時間労働の構造的是正・柔軟な働き方が本質的な解決策。給与改善と並行して、この構造改革が進まない限り、教員不足は止まりません。
関連:給特法改正で教員の給料は本当に上がるのか|2026年スタートの段階引き上げと残業代の真実
男女別|退職理由には明確な男女差
退職理由を性別ごとに集計すると、明確な男女差が現れます。
女性教員の退職理由TOP4(回答64名)
- 長時間労働 67.2%
- 仕事量 64.1%
- 家庭との両立 57.8%
- 体調 45.3%
→ 「現状の働き方が続けられない」(防御的退職)のパターン
男性教員の退職理由TOP5(回答42名)
- 仕事量 45.2%
- キャリア拡張 45.2%
- 仕事内容 35.7%
- 長時間労働 33.3%
- 現場の空気感 31.0%
→ 「他にやりたいことが見えた」(攻撃的退職)の傾向が女性より強い
女性は「家庭・健康」が中心、男性は「キャリア・組織」が中心、という構造的な違いが見えます。
年代別|20代〜50代以上で違う退職理由の傾向
退職理由は年代によっても傾向が異なります。Re-Career独自調査のクロス分析から、年代別の特徴を整理します。
20代教員の退職理由|回答が9名のみ・傾向としては扱いません
本調査の20代は回答者が9名しかいません。1人の回答で結果が大きく振れる規模なので、「20代はこういう傾向」と割合(%)で語れるデータではないと考えています。参考として実数だけを挙げると、最も多かったのは長時間労働の8名、次いで仕事量・将来不安・キャリア拡張が各6名、仕事内容は3名でした。「20代はミスマッチ(仕事内容)で辞める」という見方は、本調査では支持されません──仕事内容を挙げた20代は9名中3名で、全体平均を下回っています。
30代教員の退職理由|「両立」と「働き方の限界」
30代(回答47名)の退職理由TOP3は「長時間労働」「仕事量」「家庭との両立」の順。結婚・出産・育児のライフイベントと教員業務の両立困難が顕在化する世代。本調査の納得度(後悔していない率)も30代が89.4%と最高で、「決めるなら今」と動ける年代であることが見えます。
40代教員の退職理由|「健康」と「組織への不安」
40代(回答30名)で全体平均との差が大きかったのは、「仕事内容」56.7%(全体37.4%)、「管理職への不安」36.7%(全体19.6%)、「体調」50.0%(全体35.5%)の3つでした。長年蓄積した疲労が体に出始める時期と、管理職を見据えたキャリア再考のタイミングが重なる年代です。
50代以上教員の退職理由|他の年代と違うのは「定年・任期満了」
50代以上(回答21名)で他の年代よりはっきり多かったのは、「定年退職」でした。定年・任期満了が視野に入る世代で、そのまま次のセカンドキャリアへ移る方もいます。一方で、この世代の特徴として語られがちな「キャリア拡張」「体調」は、いずれも全体平均を下回っており、50代以上で特に多い理由ではありませんでした。なお「家族の介護」は本調査の退職理由の選択肢に含まれておらず、データとして集計していません。
「30代で辞めた人と50代で辞めた人、理由は違うけど、共通して言えるのは「自分の人生を取り戻したい」だった。」
——40代・キャリア支援者
校種別|小中高で違う退職理由
校種別に退職理由TOP5を見ると、小学校・中学校・高校でそれぞれ上位の並びが変わることがわかります。
小学校教員(回答49名)|「学級担任の重さ」が中心
小学校(回答49名)のTOP5は仕事量63.3%・長時間労働55.1%・家庭との両立49.0%・体調36.7%・仕事内容36.7%(体調と仕事内容は同率4位)。「学級担任ほぼ100%」「保護者対応の濃さ」「行事ラッシュ」が背景にあります。
中学校教員(回答37名)|小学校との違いは「キャリア拡張」の高さ
中学校(回答37名)と小学校(回答49名)は、上位に働き方系が並ぶ点では似ています。ただし「キャリア拡張」は中学校で45.9%(17名)と「家庭との両立」に並ぶ同率3位である一方、小学校では30.6%(15名)で6番目にとどまります。1位も、中学校は「長時間労働」59.5%、小学校は「仕事量」63.3%と入れ替わります。中学校は「働き方がきつい」だけでなく、「次にやりたいことが見つかった」で辞める人の割合が高いのが特徴です。
なお、中学校の長時間労働の主因としてよく語られる「部活動指導」は、本調査の退職理由の選択肢には含まれておらず、データとして集計していません。ここでの言及は、私がキャリア相談の現場で中学校の先生から実際に伺う声にもとづくものです。
高校教員|「キャリア拡張」が長時間労働と同率1位(回答12名)
高校(回答12名)では、「キャリア拡張」が「長時間労働」と同率1位(それぞれ6名)でした。「次の挑戦」を求めて退職する人の比率が小中より高い一方で、回答が12名にとどまるため、高校全体の傾向として一般化はできません。専門教科の高度化や社会的視点の広さが影響している可能性はありますが、参考値としてご覧ください。
セルフチェック|あなたの退職理由はどのタイプ?

自分の退職理由がランキングのどこに該当するかを整理する、セルフチェックリストです。
✅ あなたの退職理由はどれ?(複数該当OK)
- 【働き方系】定時退勤できない/土日休めない/持ち帰り仕事が多い
- 【家庭系】子育てと両立できない/介護と両立できない/自分の健康時間がない
- 【キャリア系】他にやりたいことがある/教員以外の道を試したい/専門性を深めたい
- 【人間関係系】同僚・管理職と合わない/保護者対応が辛い/派閥に疲れる
- 【組織系】学校の文化に違和感/変わらない制度に絶望/評価が不透明
3つ以上当てはまる「系」が、あなたの主要な退職理由。それに合った選択肢を探すと後悔しにくいです。
タイプ別|あなたに合う選択肢

セルフチェックの結果から、自分に合う選択肢を見つけましょう。
働き方系タイプ|まず試すべき選択肢
- 休職(最大3年)で立て直し
- 配置転換(担任→専科・少人数指導)で負担減
- 時短勤務・部分休業の活用
- 異動希望(働き方の違う学校へ)
- → それでもダメなら教員以外の道へ
家庭系タイプ|時間を取り戻す選択肢
- 育休3年フル取得
- 時短勤務(子小学校入学前まで)
- 部分休業(子小学校3年生まで)
- 非常勤・パートへの切り替え
- → 家族と過ごす時間を最優先にした働き方へ
キャリア系タイプ|「次の自分」を探す選択肢
- 大学院進学・専門資格取得(学び直し)
- 教育業界(EdTech・教材・学習塾)への転身
- 民間企業(人材・コンサル・SaaS)への異業種転職
- 独立・起業・フリーランス
人間関係系・組織系タイプ|環境を変える選択肢
- 異動(別の学校へ)
- 校種転換(小→中/中→高)
- 私学・通信制・特別支援への転身
- 教育委員会・行政職への異動
- → それでもダメなら異業種転職
退職を考える教員へ|本調査が示すメッセージ
「自分はなぜ辞めたいのか」を整理するための、本調査からのメッセージ3つです。
① 「給与の問題」と「働き方の問題」を切り分ける
「給料が低いから辞めたい」と感じている人も、本当の理由は「給料に見合わない働き方」かもしれません。給特法改正で給与は上がりますが、働き方そのものが変わらなければ退職判断は変わらないことを、自分の中でも整理しておきましょう。
② 「あなたの理由」がランキングのどこか確認する
本ランキングTOP10のうち、自分に当てはまるのはどれですか?2-3つに絞れたら、自分の退職理由を「言語化」できたサイン。次は「その理由を解消できる選択肢」を探す段階に進めます。
③ 「自分だけじゃない」と知る
「辞めたい」と感じる自分が変ではなく、退職した107名が同じ理由で辞めているという事実は、心理的な救いになります。一人で抱え込まず、データに裏付けられた現実として受け止めてください。
「「自分が弱い」と思って苦しんでいたが、調査データを見て「みんな同じ理由で辞めてる」と気づいたら気持ちが軽くなった。」
——30代・元小学校教諭・女性(自由記述より要約)
退職した教員が後から振り返って「これが本当の理由だった」と気づく3つのパターン

Re-Careerに相談に来る元教員の多くが、退職後に「実は本当の退職理由はあれだった」と振り返ります。本人ですら退職時には気づいていなかった「真の理由」のパターンを3つ紹介します。
パターン①|「仕事量」と思っていたが、実は「自分らしさを失っていた」
表面的には仕事量がしんどくて辞めた人が、振り返ると「自分の人生の主導権を取り戻したかった」と気づくケース。仕事量=外的要因に見えて、実は内面的なアイデンティティの問題だった。
パターン②|「家庭との両立」と思っていたが、実は「自分のための時間がなかった」
家庭との両立を理由に退職した女性教員が、辞めて気づくのが「子どもや夫のためだけでなく、自分のために時間を使いたかった」こと。「家族のために」が「自分のために」を覆い隠していた。
パターン③|「キャリア拡張」と思っていたが、実は「今の組織から逃げたかった」
前向きな理由として「キャリア拡張」を挙げた人が、振り返ると「組織への不満」が本当の動機だったと気づくケース。前向きな理由で自分を納得させていた。
「辞めた直後は「仕事量がしんどかった」と言っていた。でも1年経って気づいたのは「自分の人生を生きたかった」だった。」
——38歳・元小学校教諭・女性(Re-Career相談より要約)
退職理由を整理した後の3つの選択肢

「自分の退職理由」を整理したら、次は「どんな選択肢があるか」のフェーズ。Re-Careerでは、退職検討中の教員に3つの選択肢を提示しています。
選択肢①|辞めずに環境を変える
休職・配置転換(担任→専科/少人数指導)・異動・働き方変更(時短・分掌軽減)など、「教員を辞めずに環境を変える」選択。退職理由が「現職場の問題」だけなら、これで解決する可能性も。
選択肢②|教員以外の道(教育業界に残る)
EdTech企業・学習塾・教材会社・大学・NPOなど、「教員は辞めるが教育には関わる」選択。教員時代のスキルを活かしながら、働き方を変えられる現実的な選択肢。
選択肢③|完全異業種への転職
人材・コンサル・SaaS・行政職など、「教育の世界を一度離れる」選択。本調査では、退職後に教育業界外の民間企業で働いた方が107名中31名(29.0%)いました(現在の就業状況、またはこれまでに経験した働き方のいずれかで該当した人数)。教育の外に出る道は、想像されているより現実的な選択肢です。
関連:教員のキャリアプラン5つの選択肢|管理職・教委・民間・独立・学び直し
調査レポート全文&シリーズ記事

📊 元教員キャリア実態調査2026|シリーズ全9本
本記事はランキング特化版です。各テーマの詳細解説はシリーズ記事へ。
職場のハラスメントで悩んでいる方は、教員のパワハラ、どこに相談する?校長・教育委員会・外部窓口の使い分けと10選+記録テンプレで、校内で言えないときの外部窓口と、証拠として残る記録の書き方をまとめています。
自分の退職理由がどのタイプかを掴んだら、教員を辞めたいと思ったときの判断基準と次の一歩で、辞める・辞めないの両方を並べて検討してみてください。
まとめ|「自分の退職理由」を言語化することから始めよう
教員が辞める理由TOP3は「仕事量」「長時間労働」「家庭との両立」。給与は14%にとどまり、退職判断の中心は「働き方の構造」にあるのがデータの示す事実です。
本記事のポイント:
- TOP3は働き方系(仕事量57%・長時間労働54%・家庭両立45%)
- キャリア系(4-6位)に「前向きな退職」も多数
- 7位は「将来不安」29.9%。いま辛いことより「先が見えないこと」で辞める人がおよそ3割
- 給与待遇は14%にとどまり、給特法改正だけでは退職は止まらない
- 男女・校種で退職理由の構造が異なる
- 「自分の退職理由」を言語化することが、後悔しない選択の第一歩
退職を考える教員も、続けたい教員も、本ランキングが「自分の現在地」を確認する材料になればうれしいです。Re-Careerは、辞める/続ける/変えるのどの選択でも、データと当事者目線で伴走します。
