教員の手当一覧と給与明細の読み方|教職調整額5%・学級担任の加算など2026年の変更【公立】

教員の手当一覧 給与明細の読み方と2026年の変更

教員の手当には、法律で全国共通のしくみが決まっているもの(教職調整額・義務教育等教員特別手当)と、自治体の条例で額が決まるもの(地域手当・扶養手当・住居手当・部活動の手当など)があります。2026年の変更も含めて、明細を1行ずつ解説します。どれも法律と自治体の条例で確かめています。

「教員 手当 一覧」で調べると上位に出てくる文部科学省の一覧表は、2007年の審議会の参考資料です。教職調整額が「給料の4%」と書かれたままで、いまの制度とは合いません。「学級担任手当 月3,000円」という言い方も見かけますが、法律にその名前の手当はなく、実際の額と対象は自治体の条例・規則で決まります。

この記事では、全国共通のしくみと、自治体ごとに違うものを分けて書きます。金額を出すときは、どの自治体の条例・規則の例かを必ず添えます。公立学校で教えてきた元教員として、明細を「読める」状態になってから、続ける・変えるを考えてほしいと思って書きました。

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。

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教員の手当は「全国共通のしくみがあるもの」と「自治体の条例で額が決まるもの」に分かれる。金額は自分の自治体の条例・規則で確かめる

教職調整額給料月額の一定割合。2026年1月から5%を基準に、毎年1月に1%ずつ上がり2031年1月に10%(給特法)。残業代の代わりの給与

義務特義務教育等教員特別手当。2026年1月から校務の種類に応じて支給する形に変わった。学級担任の加算額は条例で決まる

生活の手当地域手当・扶養手当・住居手当・通勤手当。名前は全国でほぼ同じでも、額と条件は自治体ごとに違う

仕事の手当部活動の手当(教員特殊業務手当)・主任手当・給料の調整額・へき地手当など。これも額は自治体ごと

控除共済組合の掛金、所得税、住民税。40歳からは介護掛金が加わる

教員の給与明細は「給料・手当・控除」の3つ|まず全体像

データを確認するイメージ

給与明細は、大きく3つのかたまりでできています。給料(給料表の級と号給で決まる基本の額)、手当(条件に当てはまる人に上乗せされる額)、控除(共済組合の掛金や税金として引かれる額)です。支給額の合計から控除を引いたものが、口座に振り込まれる額になります。

公立学校の先生の給与は、教育公務員特例法 第13条により「職務と責任の特殊性に基づき条例で定める」とされています。政令指定都市以外の市町村立の小・中学校の先生(県費負担教職員)なら、決めるのは都道府県の条例です(地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第42条)。政令指定都市立の学校の先生は、市の条例です。

手当の種類も、自治体が勝手に作れるわけではありません。地方自治法 第204条第2項が、自治体が条例で支給できる手当を並べています。扶養手当、地域手当、住居手当、通勤手当、特殊勤務手当、へき地手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当などです。同じ条の第3項で、手当の額と支給方法は条例で定めなければならないとされています。

平均すると、手当は月にどれくらい?

全体の水準を、総務省「令和7年 地方公務員給与の実態」第5表(職種別職員の平均給与額)で見ておきます。2025年4月1日時点の、公立の小・中学校(幼稚園を含む)教育職の、管理職を含む全年齢の平均です。教職調整額がまだ4%だった時点の数字です。

項目(1人あたり平均の月額) 金額
給与月額の合計 424,411円
うち給料月額(教職調整額・給料の調整額を含む) 364,069円
うち諸手当の合計 60,342円
(諸手当のうち)地域手当 25,191円
(諸手当のうち)通勤手当 7,259円
(諸手当のうち)扶養手当 6,967円
(諸手当のうち)住居手当 5,960円
(諸手当のうち)義務教育等教員特別手当 5,103円

これは「手当を受けていない人も含めた全員の平均」です。地域手当がゼロの地域の先生も、扶養手当のない先生も入っています。自分の明細と比べるための数字ではなく、「手当の中では地域手当の比重が大きい」という全体の形をつかむための数字として見てください。

期末手当・勤勉手当(いわゆるボーナス)は月々の明細とは別で、東京都では6月と12月に支給されます(東京都教育委員会「教員の給与制度」)。同じ総務省の調査では、支給された職員1人あたり年1,853,603円(2024年度の実績)です。

教員の手当で全国共通のしくみがあるもの|教職調整額と義務教育等教員特別手当

本が並ぶ棚

全国共通のしくみがある手当は、主に2つです。教職調整額と義務教育等教員特別手当(明細では「義務特」「教員特別手当」などと略されることがあります)。どちらも法律に根拠があり、2026年に中身が変わりました。

教職調整額|2026年1月から給料月額の5%

教職調整額は、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法) 第3条第1項にもとづく給与です。本則は「給料月額の百分の十(幼稚園の教育職員にあっては、百分の四)に相当する額を基準として、条例で定めるところにより」支給すると定めています。

2025年成立の給特法改正(令和7年法律第68号)で、教職調整額は2026年1月に5%となり、毎年1月に1%ずつ上がって2031年1月に10%になります。それまでの年ごとの率は、給特法の附則第2項に表で書かれています。

期間 教職調整額の基準となる率
2025年12月まで 給料月額の4%
2026年1月〜12月 5%
2027年1月〜12月 6%
2028年1月〜12月 7%
2029年1月〜12月 8%
2030年1月〜12月 9%
2031年1月から 10%

たとえば給料月額が30万円なら、2025年までの4%で12,000円、2026年の5%で15,000円です。明細に「教職調整額」の行があれば、給料の行の金額に今年の率を掛けて、ほぼ同じ額になっているか確かめられます(実際の支給は各自治体の条例にもとづくので、端数の扱いなどは条例で確認してください)。

幼稚園の先生は、本則の率が「百分の四」で、附則の引き上げの表は「百分の十」を読み替えるものです。公立幼稚園の先生は4%のままである点に注意してください。

対象になるのは、校長・副校長・教頭を除く教育職員です。指導改善研修を受けている期間の人も除かれます(給特法 第3条第1項)。講師については、給特法の「教育職員」に入るのは常時勤務の講師と、定年前再任用短時間勤務の講師に限られています(同法 第2条第2項)。

教職調整額は「残業代の代わり」|ボーナスの計算にも入る

同じ給特法の第3条第2項は、教育職員には「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と定めています。明細に残業代の行がないのはこのためです。東京都教育委員会「教員の給与制度」も、超過勤務手当・休日給は支給されず「これに替わる給与として」教職調整額が支給されると説明しています。

あまり知られていないのが第3条第3項です。地域手当・期末手当・勤勉手当・退職手当などを給料をもとに計算するとき、給料に教職調整額を加えた額を基礎にすると定められています。教職調整額の率が上がると、月々の額だけでなく、地域手当やボーナス、退職手当の計算の土台も上がる、ということです。

なお、給特法は公立学校の先生のための法律です(第2条第1項)。私立学校の先生の給与と手当は、勤め先の学校法人の給与規程で決まります。

義務教育等教員特別手当|2026年1月から「校務の種類」に応じて支給

義務教育等教員特別手当は、人材確保法(学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法) 第3条の「義務教育諸学校の教育職員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない」という考え方にもとづく手当です。

給特法とあわせて改正された教育公務員特例法 第13条第2項で、この手当は「校務類型に応じて支給するものとし、その額は、校務類型に係る業務の困難性その他の事情を考慮して、条例で定める」ことになりました。対象は、小学校・中学校・義務教育学校などに勤める校長と教員で、高等学校などの先生も権衡上必要と認められれば対象になります。

校務類型の基準は文部科学省令で、「学級(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校の学級に限り、特別支援学級を除く。)を担任する業務」と「それ以外の校務」の2つです。文部科学事務次官通知(令和7年9月26日・7文科初第1404号)は、これは「特定の校務類型を担当する教員に限り義務教育等教員特別手当を支給するという趣旨ではない」と書いています。担任でない先生にも、この手当は引き続き支給されます。

「学級担任手当 月3,000円」は本当?|2026年からの加算の正しい読み方

学級担任の加算を付箋で整理するイメージ

「学級担任手当が月3,000円」という話を見かけた方もいると思います。ここは正確に書いておきます。

名前は「学級担任手当」ではなく、義務教育等教員特別手当への加算

法律に「学級担任手当」という名前の手当はありません。2026年からの見直しは、先ほどの義務教育等教員特別手当の中で、学級担任をしている先生の額を上乗せする(加算する)形です。法律が決めたのは「校務の種類に応じて支給し、額は条例で定める」という枠組みまでで、全国一律の加算額は法律にも次官通知にも書かれていません。

では、3,000円という数字はどこから来たのか。出どころは国の予算です。文部科学省の令和7年度予算(案)主要事項は、義務教育費国庫負担金(公立の小・中学校などの先生の給与費の3分の1を国が負担するお金)の「教師の処遇改善」として、「学級担任への加算:月額3,000円 ※小・中学校の単式・複式学級を対象」と書いています(2026年1月から3月までの3か月分として計上され、この項目は国会で修正されずに成立しています)。つまり3,000円は、国が負担額を計算するときに学級担任への加算として見込んだ額で、先生一人ひとりへの支給額を決めたものではありません。

実際の加算額は、自治体の条例・規則で決まります。確認できた例を並べます。

自治体(資料) 学級担任への加算 補足
東京都(教育委員会「教員の給与制度」) 月3,000円 担任を補佐する業務は1,000円、複数で学級を担任する業務(補佐以外)は2,000円
栃木県(義務教育等教員特別手当に関する規則) 月3,000円 加算の対象は特別支援学級を除く学級の担任(2026年10月に現行の規則で確認)
京都府(義務教育等教員特別手当に関する規則) 月3,000円 加算の対象は特別支援学級を除く学級の担任(2026年10月に現行の規則で確認)
川崎市(義務教育等教員特別手当の支給に関する規則の一部を改正する規則・2026年1月1日施行) 月3,000円 国が対象に含めない特別支援学級の担任も対象(規則の「学級」から特別支援学級を除いていない。市の方針資料も対象に含めると説明)。方針資料では複数担任制の場合も対象

このように、3,000円という額は複数の自治体で同じでも、誰が対象になるか(特別支援学級の担任、複数担任、補佐の先生)は自治体によって違います。特別支援学級を担任している先生は、とくに自分の自治体の規則を確かめてください。

担任でない先生の「義務特」は、教職調整額とセットで見る

見落としやすいのがもう1点です。国の予算資料は「一律支給されている義務教育等教員特別手当の見直しを図る」としていて、一律の部分を縮める自治体があります。川崎市の方針資料は、一律に支給してきた義務教育等教員特別手当を手当額表の額の2/3に縮める(本給の1.5%相当額から1.0%相当額へ)と書いており、市は2025年11月28日公布の規則(2026年1月1日施行)で手当額表を改めています。島根県の補正予算資料「主な補正項目」にも、教職調整額の引き上げや学級担任加算の新設などを踏まえ、現行の手当額を「2/3程度に縮減」とあります。

この形の自治体では、学級担任でない先生の義務教育等教員特別手当の行は、見直し前より小さくなります。ただし、同じ2026年1月に教職調整額は給料月額の4%から5%に上がっています。川崎市の資料の率で比べると、教職調整額の上がり幅(給料月額の1%分)のほうが、義務特の下がり幅(本給の0.5%相当)より大きい計算です。明細は1つの行だけでなく、教職調整額と義務特の2行をセットで見てください。ほかの自治体が同じ形かどうかは、自分の自治体の規則で確かめてください。

学級担任の加算が働き方改革の中でどう位置づけられているかは、教員の働き方改革の現状と課題|変わること・変わらないことでも書いています。

自治体の条例で額が決まる手当|地域手当・扶養手当・住居手当・通勤手当

学校の校舎

ここからは、名前は全国でほぼ同じでも、額と条件が自治体ごとに違う手当です。例として東京都の数字を出しますが、ほかの道府県・政令市では額も条件も違います。必ず自分の自治体の条例・規則で確かめてください。

地域手当|勤務地で割合が変わる

東京都教育委員会「教員の給与制度」によると、東京都の地域手当は(給料月額+給料の調整額+教職調整額+管理職手当+扶養手当)に支給割合を掛けて計算します。支給割合は、区部・多摩地域等が20/100、都外地域が12/100、島しょ地域が10/100です。

先ほどの総務省の平均で、手当の中で地域手当がいちばん大きかったのは、こうした「給料に割合を掛ける」手当だからです。同じ都道府県の中でも、異動で勤務地が変わると割合が変わる自治体があります。異動の年の4月に明細の額が変わったら、まず地域手当の行を見てみてください。

扶養手当|子どもと父母等の額は自治体の条例で決まる

東京都の扶養手当の額(同じページの表)は、子1人につき月13,000円、父母等は月6,000円(管理職は3,000円)です。15歳に達した日の後の最初の4月1日から22歳に達した日以後の最初の3月31日までの子(特定期間の子)には、1人につき4,000円が加算されます。東京都の表には、配偶者の区分はありません。

扶養手当は届出をして初めて支給されます。東京都の説明では、事実が生じた日から15日を過ぎて届け出ると、届出を受理した日の翌月からの支給になります。子どもが生まれた、親を扶養に入れた、というときは、早めに学校の事務の先生に相談するのが確実です。

住居手当|年齢や家賃の条件がつくことも

東京都の住居手当は、世帯主である職員のうち、満34歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあり、自ら住むために家を借りて月15,000円以上の家賃を払っている人に支給されます。額は15,000円で、満27歳に達する日以後の最初の3月31日までにあり家賃が月30,000円以上なら30,000円です。管理職などには支給されません。

住居手当に年齢の条件があるかどうか、額がいくらかは、自治体によってまったく違います。東京都の条件を全国の条件だと思わないでください。

通勤手当|交通機関・距離で決まる

通勤手当も条例で決まります。電車・バスの定期代なのか、車通勤の距離に応じた額なのかで計算が変わり、上限額も自治体ごとです。引っ越しや異動で通勤経路が変わったら、学校の事務の先生に早めに伝えてください。

仕事内容で付く教員の手当|部活動・主任・特別支援・へき地・管理職

手当の書類を見ながら説明を受けるイメージ

担当している仕事や、勤務している学校の種類によって付く手当もあります。これも額は自治体ごとです。

部活動の手当(教員特殊業務手当)|土日の指導に日額で

部活動の指導に対する手当は、「教員特殊業務手当」の1つとして、土日などに指導した日に日額で支給する形が見られます。対象になる日・時間・額は、自治体の条例と規則で決まります。

栃木県では、栃木県公立学校職員の特殊勤務手当に関する条例 第13条第1項第4号が、学校の管理下で行われる部活動の指導業務のうち、週休日等または4時間の勤務時間が割り振られた日に行うものを対象にしています。額は同じく規則 第11条で、従事した時数が3以上の場合に日額3,900円です(2026年4月1日施行の規則の時点)。

東京都では、部活動指導業務の手当が2026年4月1日から日額3,000円から4,300円に上がっています(東京都教育委員会規則第6号・2026年3月31日公布)。2026年2月19日の教育委員会定例会で決まったもので(第15号議案資料・定例会議事録)、議事録の説明では、週休日等または半日の勤務時間が割り振られた日に、正規の勤務時間以外で3時間以上指導したときの手当です。改正の理由は「義務教育費国庫負担金における算定額が引き上げられることに伴い」と書かれています。

参考までに、2007年の文部科学省の参考資料「教員の手当一覧」では、部活動指導業務は1,200円(4時間程度)でした。いま検索でよく見かける古い金額は、この資料のものです。

主任手当(教育業務連絡指導手当)

学年主任や教務主任などの主任をしている先生に支給される手当です。栃木県の条例(第14条)では、教育業務連絡指導手当として、業務に従事した日1日につき200円です。対象になる主任の範囲は栃木県の規則(第12条)で決まっていて、学級数が少ない学校や学年では対象外になる主任もあります。

給料の調整額|特別支援学校・特別支援学級

特別支援学校に勤めている先生や、小・中学校で特別支援学級を担任している先生には、「給料の調整額」が支給される自治体があります。東京都では、給料表の級と号給にもとづいて支給されます(東京都教育委員会「教員の給与制度」)。

へき地手当・産業教育手当・定時制通信教育手当

へき地手当は、東京都の説明では、へき地教育振興法 第5条の2にもとづき、山間地や離島などの学校に勤める先生に支給されます。東京都では(給料月額+扶養手当)に支給割合を掛け、島によって12/100から25/100です。

高校では、農業・水産・工業の授業や実習を担当する先生に産業教育手当、定時制・通信制の先生に定時制通信教育手当が支給されます。東京都の場合、産業教育手当や定時制通信教育手当を受けている先生は、義務教育等教員特別手当が3/4または2/4に調整されます。

管理職手当

校長・副校長・教頭には管理職手当が支給され、そのかわりに教職調整額はありません。管理職になると給与がどう変わるかは、教頭・校長の給料はどう変わる?|管理職手当と教職調整額で詳しく書いています。

給与明細の控除の読み方|共済掛金・介護掛金・住民税

計画を立てるイメージ

明細の右側(または下側)にある「控除」の行も、読み方を知っておくと安心です。項目名は自治体の給与システムによって違うので、ここでは中身で説明します。

共済組合の掛金|医療と年金

公立学校の先生は、健康保険にあたる部分と年金の部分を、共済組合に掛金や保険料として納めます。掛金は、給料だけでなく手当も含めた報酬(標準報酬の月額)と、期末手当・勤勉手当(標準期末手当等の額)をもとに計算されます(地方公務員等共済組合法 第2条第1項第5号・第114条第3項)。

介護掛金|40歳から

介護保険法 第9条第2号で、40歳以上65歳未満の医療保険の加入者は介護保険の第2号被保険者になります。共済組合の組合員は、この第2号被保険者である月について、介護保険の分の掛金(地方公務員等共済組合法では「介護納付金に係る掛金」)も納めます(同法 第114条第1項)。40歳になったころに控除が増えるのは、これが理由です。

所得税と住民税|住民税は6月に切り替わる

所得税は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で1年分が精算されます。住民税は前の年の所得にもとづいて決まり、地方税法 第321条の5により、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から引かれます。6月の明細で控除額が変わるのは、住民税の年度が切り替わるためです。

互助会費・組合費・貯金など

このほか、互助会の会費、職員団体の組合費、財形貯蓄、共済の貯金、団体保険の保険料などが引かれていることがあります。これらは自治体の制度や本人の加入状況によるものなので、何が引かれているか分からない行があれば、学校の事務の先生に聞くのがいちばん早いです。

児童手当は勤務先から

常勤の公務員の児童手当は、住んでいる市区町村ではなく勤務先の側が認定・支給します(児童手当法 第17条)。政令指定都市以外の市町村立学校の先生(県費負担教職員)の場合は、給与を負担している都道府県です。転職や退職で公務員でなくなるときは、児童手当の手続きがどうなるかも、勤務先と住んでいる市区町村に確かめておくと安心です。

教員の手当一覧表と、自分の金額を確かめる方法

年収を考えるイラスト

ここまでの手当を、「全国共通のしくみ」と「自治体ごとに違うもの」に分けて一覧にします。

手当(明細での名前の例) 根拠 額を決めるのは
教職調整額 給特法 第3条(2026年は5%、2031年1月に10%) 法律の率を基準に、各自治体の条例
義務教育等教員特別手当(義務特) 人材確保法 第3条・教育公務員特例法 第13条第2項 各自治体の条例・規則(学級担任の加算を含む)
地域手当 地方自治法 第204条第2項 各自治体の条例(東京都の区部は20/100)
扶養手当 同上 各自治体の条例
住居手当 同上 各自治体の条例
通勤手当 同上 各自治体の条例
部活動の手当(教員特殊業務手当) 同上(特殊勤務手当) 各自治体の条例・規則(例:栃木県 日額3,900円)
主任手当(教育業務連絡指導手当) 地方自治法 第204条第2項(特殊勤務手当の一つとして定める例:栃木県) 各自治体の条例(例:栃木県 日額200円)
給料の調整額 自治体の条例(給料の一部) 各自治体の条例・規則
へき地手当 地方自治法 第204条第2項・へき地教育振興法 各自治体の条例
管理職手当 地方自治法 第204条第2項 各自治体の条例
期末手当・勤勉手当 地方自治法 第204条第2項 各自治体の条例(支給月数も自治体ごと)

自分の自治体の金額を確かめる3つの方法

・教育委員会の「給与」のページを見る。東京都のように、教員向けの手当を一覧で説明しているところがあります
・例規集(条例・規則のデータベース)で「学校職員の給与に関する条例」「義務教育等教員特別手当」「特殊勤務手当」と検索する。都道府県のサイトにあります
・学校の事務の先生に聞く。明細の行の名前と中身を、いちばん正確に知っている人です

検索で上位に出る文部科学省の「教員の手当一覧」は、2007年(平成19年)3月29日の中央教育審議会答申「今後の教員給与の在り方について」の参考資料です。手当の種類をつかむには役立ちますが、金額や率は当時のものです。いまの金額の根拠にはしないでください。

手当を知ったうえで、続ける・変えるを考える

選択肢を考えるイラスト

手当の話をしてきましたが、伝えたいのは「教員の手当は多い・少ない」ということではありません。自分の給与が何でできているかを知ると、続けるときも、変えるときも、判断の材料がそろうということです。

相談を受ける中で、「教員を辞めたら収入がどれくらい変わるか分からなくて不安」という声をよく聞きます。そのとき、明細の手当を1つずつ見ていくと、話が具体的になります。地域手当や扶養手当のように民間の会社にも似た手当があるもの、教職調整額や義務教育等教員特別手当のように教員にしかないもの、と分けて考えられるからです。

Re-Careerが2026年に行った「元教員キャリア実態調査2026」(教員を退職した経験がある107名が回答)には、教員を離れてから見た教員の働き方について、こんな声も寄せられています。

「慣習的という理由だけで続いている業務は見直しと取捨選択をして、もっと自分や家族を大事にできる働き方にしていくことが、今後の公教育における教員確保のためには必要だと思います。」
——20代・元小学校教員・女性(元教員キャリア実態調査2026 自由記述)

手当の仕組みを知ったうえで、次のどれを選んでもいいと思います。

・続ける:2026年からの教職調整額の引き上げや学級担任の加算を、自分の明細で確かめる。担任・部活・主任など、どの仕事にどの手当が付いているかを知っておく
・働き方を変える:育休や時短、休職のときに給与がどうなるかを先に知っておく(教員の育休中の給料とボーナス、産休・育休の手取り早見表、教員が休職したら給料はいくら?病気休暇・休職・傷病手当金の順番)
・立場を変える:管理職や、講師としての働き方を考える(教頭・校長の給料はどう変わる?|管理職手当と教職調整額、常勤講師の退職金はいくら?非常勤講師のボーナス・時給まで)
・先のことを考える:定年までの給料の上がり方を見ておく(教員の定年は何歳?55歳・60歳・65歳で変わる給料と再任用)
・教員以外の道を考える:転職で年収がどう変わったか、元教員の実際を知る(教員から転職して年収は上がる?下がる?)

どの道を選ぶにしても、まずは今月の明細を1枚手元に置いて、この記事の順番で行を確かめてみてください。それだけで、ぼんやりした不安の一部は、確かめられる数字に変わります。

よくある質問

Q. 教職調整額は2026年にいくらになりましたか?

A. 給特法の改正で、2026年1月から給料月額の5%を基準に支給されています。毎年1月に1%ずつ上がり、2031年1月に10%になります。実際の支給は各自治体の条例にもとづきます。校長・副校長・教頭は対象外で、公立幼稚園の先生は4%のままです。

Q. 「学級担任手当 月3,000円」は全国共通ですか?

A. 法律で全国一律に決まった額ではありません。法律が決めたのは、義務教育等教員特別手当を校務の種類に応じて支給し、額は条例で定めるという枠組みです。3,000円は、国が義務教育費国庫負担金(公立の小・中学校などの先生の給与費の3分の1を国が負担するお金)を計算するときに、学級担任への加算として見込んだ額です。東京都・栃木県・京都府などは学級担任への加算を月3,000円としていますが、特別支援学級の担任や複数担任の扱いは自治体によって違います。

Q. 部活動の手当はいくらですか?

A. 自治体ごとに違います。例として、栃木県は週休日等の部活動指導で従事した時数が3以上の場合に日額3,900円です。東京都は、2026年4月1日から日額3,000円を4,300円に改めています。

Q. 担任をしていないと、義務教育等教員特別手当はもらえないのですか?

A. もらえます。文部科学事務次官通知は、今回の改正が特定の校務類型の教員に限って支給する趣旨ではないと明記しています。ただし、川崎市や島根県の資料のように、一律の部分を2/3程度に縮めたうえで学級担任に加算する自治体があります。

Q. 非常勤講師にも教職調整額は支給されますか?

A. 給特法の「教育職員」に入る講師は、常時勤務の講師と定年前再任用短時間勤務の講師に限られています。それ以外の非常勤講師の給与は、任用の条件と自治体の条例・規則で決まるので、任用通知と募集要項で確かめてください。

Q. 私立学校の先生にも同じ手当がありますか?

A. 給特法や教育公務員特例法の手当の規定は、公立学校の先生のためのものです。私立学校の先生の給与と手当は、勤め先の学校法人の給与規程で決まります。

まとめ

・教員の給与明細は「給料・手当・控除」の3つ。手当の額と支給方法は条例で定める(地方自治法 第204条)
・全国共通のしくみがあるのは教職調整額と義務教育等教員特別手当。教職調整額は2026年1月から5%、毎年1%ずつ上がり2031年1月に10%
・学級担任への加算は「義務教育等教員特別手当」の中の上乗せ。東京都・栃木県・京都府などは月3,000円だが、対象の範囲は自治体ごと
・担任でない先生の義務特は、一律部分を縮める自治体がある。教職調整額とセットで明細を見る
・地域手当・扶養手当・住居手当・通勤手当・部活動の手当は、額も条件も自治体ごと。東京都の数字を全国の数字だと思わない
・控除は共済掛金・所得税・住民税。40歳から介護掛金、6月に住民税が切り替わる
・自分の金額は、教育委員会の給与ページ・例規集・学校の事務の先生で確かめる




Re-Career代表 新川紗世
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