やめたいのにやめられない。その気持ちを20年以上抱えてきた教員が、自分に合った働き方を見つけるまで

りりさん(50代・中学校英語23年・児童福祉施設8年・現在特別支援学級担任)

中学校で英語を教え、児童福祉施設に8年勤め、現在は特別支援学級の担任をしている りりさん(50代)。教員になって数年で「やめたい」と思い始めたが、やめられなかった。転職活動もした。公務員試験も何度も受けた。それでも動けなかった。50代になってSSプログラムに出会い、過去を振り返る中で気づいた。「本当はやりたいことがあったのに、やめるにやめられなかっただけだった」と。今は、特別支援学級の仕事が自分に合っていると感じながら、数年は続けようと思っている。

英語が好き、でも「すごくやりたい」わけでもなかった

–新川: 
教員を目指したきっかけを教えてもらえますか?

りりさん: 
大学が英語文学の専攻でした。

英語が好きで入学し、大学の留学制度を使って半年ほど行って、英語を使うことの楽しさを感じました。

卒業後の職業を考えた時に英語を使えることを探したんですが、あまり思いつかなくて。ただ教員免許は取ろうとだけ決めていたので取得しました。

教育実習に行ったら楽しくやらせてもらえたので、そのまま教員になった感じです。すごくやりたいというわけではなかったんですよね。他に公務員試験も受けていましたし。

新川: 
実習で印象に残っていることはありますか?

りりさん: 
生徒たちが素直で、一生懸命頑張っている姿を見て、いいなと思いました。最後に手紙をもらったりして、こういう職場もいいかなと思わせてくれるような経験でした。

「すごくやりたいというわけではなかった。でも実習で生徒の姿を見て、こういう職場もいいかなと思わせてもらいました」

教員3年目で「やめたい」——でも選択肢がなかった時代

新川: 
やめたいと思い始めたのはいつ頃でしたか?

りりさん: 
割と最初の頃ですね。忙しいし、残業も多いし、大変で。

仕事を始めて3年ぐらいからです。でも当時は転職という選択肢が今ほどなかったんです。就職氷河期世代なので、一度やめたらアウトという感覚があって。

やめたらお金はどうするか、生活はというのが勝ったからやめなかったという感じです。

— 新川: 
その後も何度かやめようとしましたか?

りりさん: 
40代に学校に戻ってきた頃にまた思いました。

児童福祉施設からのブランクがあってなかなかうまくいかないことも多くて、これは無理だなと感じた時期です。その頃に公務員試験を何年も受けていました。

経験者募集が出てきた時代だったので受けられたんですが、面接で「教員をやめたいんでしょ」とはっきり言われたこともあって。いや違いますって言っても伝わらなくて、これは難しいなと思いました。

「面接で「教員をやめたいんでしょ」とはっきり言われた。違いますと言っても伝わらなくて、これは難しいなと感じました」

英語教員から児童福祉施設へ——違う道を歩んだ8年間

新川: 
児童福祉施設に行かれたのはどんな経緯でしたか?

りりさん: 
行き詰まっていた時期に、こういう話があるんだけどどうかという話があって。

違うところで働くのもいいかなと思って、じゃあ行きますという感じになりました。環境を変えたいというタイミングと声がかかったのが重なった感じです。

新川: 
中学校の英語教員と、施設での仕事はどう違いましたか?

りりさん: 
中学校はやっぱり英語力アップや学力の保障が中心で、みんなで頑張ろうという雰囲気でした。

施設は、非行や生活環境から別の道に行ってしまった生徒を生活から変えていくところなので、まずは本人の気持ちに寄り添うこと、そしてその生活を良い方向に向けるというのが中心でした。

似てるけど違う、という感じです。家庭環境が大変な子も多かったので、話を聞くことをとても大事にしていました。

SSとの出会い——行き詰まりの中で見つけた別の道

新川: 
SSプログラムを知ったきっかけは何でしたか?

りりさん: 
インスタやLINEを見ていたら、教員向けのプログラムというのが流れてきて、お、こういうのがあるんだと思ったのが一つ。

公務員試験も毎年受けていたけれど年齢的にも難しくなってきていて、もう試験だけじゃダメだな、別の道もないかなと思っていた時期と重なりました。これは自分に合っている気がしてと思って申し込みました。

新川: 
受ける前に不安はありましたか?

りりさん: 
できるかどうかは思いました。

たっぷり書いたり考えたりすると聞いていて、仕事と両立できるのかなと。忙しいのが分かっている時期は避けて、4月に入る前にやらないと絶対無理だと思って、何が何でも終わらせようと頑張りました。

自分の歴史を振り返って——「本当はやりたいことがあった」

新川: 
プログラムで一番印象に残っていることは何ですか?

りりさん: 
徹底的に自分の好きなものややりたいことを見つけていって、昔からすごく振り返るワークが印象に残っています。

最初はなぜそんなに振り返るんだろうと思っていたんですが、自分の歴史を考えていく中で、あ、そんなことが好きだったのよねとか、本当はやりたいことはあったのに、やめるにやめられなくてという気持ちがあったんだなということに気づけたのが良かったと思います。

— 新川: 
コーチングはいかがでしたか?

りりさん: 
コーチングが結構良かったです。

直接話せる時間があったのが、他のオンライン講座とはちょっと違いました。こうなんじゃないですかって言ってもらえて、あ、そうなのかという気づきが多かったです。

ただ入力するだけとか、文字で返ってくるだけじゃなくて、コーチングがやっぱり効果的だったなと思っています。

「本当はやりたいことはあったのに、やめるにやめられなかっただけだったんだなということに気づけた。自分の歴史を振り返ることで、初めて分かりました」

「続ける」と選んだ理由——特別支援の仕事が合っていた

新川: 
プログラムを受けた後、やめずに続けることにしたのはなぜですか?

りりさん: 
プログラムの最後の段階では4月にやめるとか転職という話もしていたんですが、今やっている特別支援学級の仕事が結構合っているのかなという気持ちが出てきたんです。

今の仕事をもう少し、数年はやってみたい気持ちがプログラム後に出てきたので続けているという感じです。

新川: 
特別支援の仕事が合っている、というのはどういう感覚ですか?

りりさん: 
児童福祉施設の時の経験が生きているんだなと思いました。施設は小人数で1人の子にじっくり関わるというのが、今の特別支援学級に近い感じです。

個性を持った生徒たちの背景や思いを理解して、1人1人に徹底的に向き合いながら、その子の学力や生活力が少しでも伸びるような指導ができているかなと。大人数で一気に教えるよりも、1人1人にじっくり向き合う方が自分には合っていると感じています。

新川: 
受けていなかったら今どんな気持ちでいたと思いますか?

りりさん: 
やめたいやめたいとか、でもどうしていいんだろうという不安がもっと強かったんじゃないかと思います。

続けることにも迷いはあったんですが、今の働き方が合っているかなと思えるようになったのも、プログラムを受けたからかなと思っています。

「1人1人にじっくり向き合う方が自分には合っている。児童福祉施設の経験と、今の特別支援学級の仕事が繋がっていました」

悩んでいる先生へ

新川: 
50代でキャリアを悩んでいる先生たちへ、一言いただけますか?

りりさん: 
50代まで続けてこられたということは、色々ありながらも頑張っておられると思います。

生活のためにやめられないというのも正直あると思いますが、忙しい中でも講座を受けることで好きなことや自分のことを改めて整理できます。

転職の道になるかもしれないし、私みたいに結果的に続けることになるかもしれない。でもやっぱり自分を振り返る時間は必要だなと思うので、タイミングを見計らって行事の落ち着いた時期などに始めてみてもらえたらと思います。

「自分を振り返る時間は、絶対に必要だと思います。忙しいからこそ、タイミングを見計らって始めてほしいです」

編集後記

りりさんのインタビューで印象的だったのは、「やめたいのにやめられない」という状態が20年以上続いていたという事実だ。就職氷河期世代という背景もあって、選択肢がないまま走り続けてきた。でもその間も動き続けていた——公務員試験を何度も受け、施設勤務という別の環境も経験した。

「本当はやりたいことがあったのに、やめるにやめられなかっただけだった」という言葉が響いた。それが分かったのはSSで自分の歴史を振り返った時だった。人と直接話すコーチングがあったから気づけた、とも言っていた。

「続ける」という選択が、諦めではなく自分に合った働き方を見つけた結果だという点が清々しかった。児童福祉施設と特別支援学級という、一見遠い経験が今に繋がっていた。これからの数年が、りりさんにとって充実したものになることを願っている。

取材・文:新川(Re-Career株式会社 代表取締役)