退職から1年、なみさんは今——「大丈夫だった」と言えるまでの道のり【追跡インタビュー】
なみさん(関東・30代後半・小学校教員14年・令和6年度末退職→教育関係会社で業務委託勤務中)
前回のインタビュー(退職直後編)はこちら
→ https://re-career.net/archives/interview/nami
小学校教員として14年間勤め、令和6年度末に退職した なみさん。退職直後のインタビューでは「焦らず試していきたい」と話してくれた。あれから約半年——実際にはどんな道のりだったのか。焦り、試し、気づき、そしてワクワクを軸に仕事を選ぶ。教育関係の会社で業務委託として働き始めた今、退職から1年を振り返ってもらった。
退職後、「怒涛」のように動いた半年間
— 新川:
前回のインタビューから約半年。実際どんな感じで過ごしてきましたか?
— なみさん:
前回はこれからゆっくり考えますみたいな感じでしたけど、あれから怒涛のように色々動いて決まって、という感じです。
— 新川:
動かなきゃと思って動いたんですか?それともなんとなく流れで?
— なみさん:
こうしたいとがっちり決まって動き始めたというよりも、とりあえずできることをやろうと動き始めたことで、自分がやってみたいことが見えたり、あ、これ楽しいというのが見えてきたりした感じです。ぼんやり思っていたことが、動いてみることで実感できたというか、やっぱりそうだったんだなと自信を持てた感じですね。
「ぼんやり思っていたことが、動いてみることで実感できた。やっぱりそうだったんだなと、自信を持てた感じがしました」
半年後に訪れた焦り——その正体を分解する
— 新川:
退職してからどのくらいで焦りが出てきましたか?
— なみさん:
1年間はゆっくりすると決めていたので、半年は全く焦りがなかったんです。でも半年が経って「後期」というタイミングで残り期間を意識しちゃって。それと、やりたいことをいくつか試し終わったけど見つかる予定だったのに見つからなかったぞ、というのと、周りの反応が変わってきたんですよ。最初はゆっくりしなよと言っていた人たちが、え、まだ決まってないの?どうするの?みたいになって。それが焦りを後押しした感じでした。
— 新川:
その焦りをどう整理したんですか?
— なみさん:
焦りの原因を考えてみたら大きく2つあって、やりたいことを試し終わったけど予定と違う結果だったことと、収入がないことでした。収入の方はバイトでも契約社員でもちょっと働いて収入を増やせばいいんだなと思って動き始めました。収入を得るために働くと決めてから動いたので良かったんだなと、今は思います。それが逆になっていたから以前は進みが悪かったんだなと。
応募・面接・内定——動いてみて気づいたこと

— 新川:
実際に仕事を探す時、どんな風に動いていましたか?
— なみさん:
派遣会社に登録て、担当者に相談しながら、とにかく応募していました。正規でずっと働いてきたので、契約社員や派遣という形態に憧れもあって(笑)。エントリーシートを書いたり面接に進んだりする中で、自分はここの分野に興味があるんだなとか、紙の上で大事だと思っていた条件が、実際に現実が迫ってくるとそんなに重要じゃないなと気づいたり。動いてみて初めて分かることがいっぱいありました。
— 新川:
選ぶ段階では何を軸にしましたか?
— なみさん:
いくつか合格や内定をいただいた時に、条件や業務内容などを色々比べたんですけど、最終的に一番大事にしたのが「自分がどこが一番ワクワクするか」でした。そのワクワクというのが、SSでやった価値観ワークで自分が土台にしていたところだったことに気づいたんです。最初からそこで選んでいたわけじゃなくて、出揃ってからそこで気づいたという感じで。
「最終的に一番大事にしたのは「自分がどこが一番ワクワクするか」。それがSSでやった価値観ワークの土台と重なっていたと、選んでから気づきました」
今の仕事——楽しいと思える理由

— 新川:
今どんな仕事をしていますか?
— なみさん:
教育関係の会社で業務委託として働いています。完全リモートで、資料作りや教材研究みたいな仕事がメインで。得意かと言われたら苦手だし、好きな分野でもないんですけど、でも楽しいって思えています。
— 新川:
苦手な分野なのに楽しいというのは、どうしてだと思いますか?
— なみさん:
価値観ワークを見返してみたら、私が大事にしている思いやりがあるとか、ちゃんとやるとか、心地よさとかを、今の職場がちゃんとカバーしているんです。ピリピリした人がゼロで、思いを持ってしっかり責任を持って働く方々と一緒に仕事ができている。それが私にとっての価値観と合っているから楽しいんだなと気づきました。
— 新川:
自分の経験も生かせていますか?
— なみさん:
そうですね。自分の経験が生かせているということと、会社で働くというのをやってみたいという思いも満たせてくれているというところも含めて、出会えてよかったなというお仕事です。
「価値観ワークを見返したら、今の職場が自分の大事にしていることをカバーしていた。だから楽しいんだなと気づきました」
退職後の1年間——この時間の意味
— 新川:
退職からの1年間を振り返って、どんな意味があったと思いますか?
— なみさん:
この1年は、自分を大切にするということを一番大事にしていました。予想していた結果になったことも、ならなかったことも含めて、それを経験・体験できたのが自分にとっては必要な時間だったと思っています。3日でできることを1ヶ月かけてやったりもしていたと思うんですけど、今思えばそれが私には必要だったし、それがやりたかったんだなと。
— 新川:
SSで学んだことは今も活きていますか?
— なみさん:
毎月の振り返りをずっと続けていて。今月何もできていないと思っていたけど、こんなにできたことがあったじゃんと気づけたり。「あるを見る」というのが今も生かせています。揺れる自分に気づけるようになったことも、大きな変化だと思います。
「自分を大切にする、そんな一年だった。予想通りじゃなかったことも含めて、全部が必要な時間でした」
退職した人へ

— 新川:
退職直後で不安を抱えている先生たちへ、言葉をいただけますか?
— なみさん:
まず「大丈夫ですよ」ということ。私が大丈夫だったので、なんとかなります。それと、思っていることを行動に移してみることがすごく大事だなと思いました。あともう一つは、自分が何を願っているのかというのを大切にしてほしいということで。モヤモヤや焦りが出てきた時に、それが何を伝えているのかを聞いてみてほしい。私は結果よりも、試せたらそれで満足なんだ、と気づいたら、すごく楽になりました。何を求めているのかを大事にしてもらえたらと思います。
「大丈夫ですよ。私が大丈夫だったので、なんとかなります。思っていることをまず行動に移してみることが、一番大事でした」
編集後記
退職直後の なみさんのインタビューでは「焦らずゆっくり試していきたい」と話してくれていた。半年後に実際に焦りがやってきて、その正体を丁寧に分解して、一つずつ対処していった。そのプロセスが、今回のインタビューを通じてありありと伝わってきた。
「収入を得るために働くと決めてから動いたから良かった」という言葉が印象的だった。順番が変わっただけで、こんなにすっきり動けるのかということへの驚きが、なみさんの言葉ににじんでいた。
「価値観ワークを見返したら、今の職場がカバーしていた」という気づきも嬉しかった。プログラムで積み上げたものが、半年後の現実の選択の場面でちゃんと使われていた。なみさんが「大丈夫だった」と言える今、次の1年がもっと楽しみだ。
▼ なみさんの退職直後インタビュー(前回)もあわせてどうぞ
前回のインタビュー(退職直後編)はこちら
→ https://re-career.net/archives/interview/nami
取材・文:新川(Re-Career株式会社 代表取締役)
