教員から起業する完全ロードマップ|副業スタートから独立まで、元教員に向く10業種と成功パターン【元教員監修】
「教員から起業したい。でも、公務員だから起業できないのでは?」「元教員の起業事例って、実際どんなものがあるの?」——本記事では、Re-Careerに寄せられる元教員1,000名以上の相談から見えた「教員から起業する完全ロードマップ」を、法的制限・成功事例10種類・準備ステップ・落とし穴まで網羅解説します。
結論からお伝えすると、公立教員は在職中の営利活動が制限されているものの、退職後の起業は自由です。私立教員は就業規則次第で在職中の副業・起業が可能なケースもあります。ただし、いきなり退職して起業するのはハイリスク。「副業からのスモールスタート→退職→本格化」の3段階アプローチが成功パターンの王道です。
元教員の起業事例には、家庭教師・オンライン塾・教材制作・教員向けコンサル・書籍執筆・キャリアコーチ・アプリ開発など、教育×αで広がる無限の可能性があります。あなたの経験を活かせる道を、この記事で見つけてください。
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ500名以上の教員のキャリア相談に対応。
📋 目次
⏱️ 30秒でわかる結論
教員の起業は「副業スタート→退職→本格化」の3段階が王道。公務員の副業禁止規定と、退職後の自由度を正しく理解しよう。
公立教員在職中の営利活動は原則禁止/退職後は自由
私立教員就業規則次第/副業・起業可能な学校法人も増加中
成功パターン副業で月10万円到達→退職→本格化(リスク最小)
よくある業種家庭教師/オンライン塾/教材制作/キャリアコーチ/執筆/アプリ開発
教員の起業と法的制限|公立・私立で異なるルール
教員が起業を考える上で、最も重要なのは「在職中の起業可否」の法的整理です。公立と私立で扱いが全く異なるため、まず自分がどちらに該当するか確認しましょう。
公立教員:地方公務員法による営利活動制限
公立教員は地方公務員のため、地方公務員法第38条により在職中の営利活動が原則禁止されています。具体的には以下が禁止対象です。
- 営利企業の役員兼務
- 自ら営利企業を経営すること
- 職務との関連が疑われる報酬を伴う活動
ただし、教育委員会の許可を得れば認められる例外もあります。執筆活動・講演・不動産賃貸(一定規模以下)・家業手伝いなどが典型例。「絶対禁止」ではなく「許可制」であることを覚えておきましょう。詳しくは教員の副業は禁止?|公立・私立別のルールと収入を増やす方法も参考にしてください。
私立教員:就業規則次第で幅広い可能性
私立学校の教員は学校法人の就業規則により扱いが決まります。近年は副業・起業を認める学校も増加傾向。ただし、教育業界内での競合(例:他塾の運営)は禁止されるケースが多いため、就業規則の詳細確認が必須です。
退職後の起業は完全に自由
教員を退職すれば、公務員法の制限は解除されます。退職金・貯蓄を元手に、あるいは前職の教育業界人脈を活かして、自由に起業できます。ただし、退職金は「起業資金」ではなく「生活費のバッファ」として温存し、副収入で回収してから使うのが賢明です。
元教員の起業に向いている業種10選【難易度・年収付き】
元教員が起業しやすく、教員経験を最大化できる10業種を、開業難易度・想定年収・向いている人の特徴で整理しました。
1. 家庭教師・個別指導
最も参入障壁が低い定番業種。スキマ時間で始められ、教員時代の生徒・保護者ネットワークから初期顧客を得られるケースが多いです。難易度:★☆☆☆☆/想定年収:50〜500万円(規模による)/向く人:教科指導が好きな元教員
2. オンライン塾・オンライン家庭教師
コロナ以降急拡大。Zoom+教材デジタル化で、地方在住でも都市部の生徒を指導可能。プラットフォーム(マナリンク等)活用で集客も容易。難易度:★★☆☆☆/想定年収:100〜800万円/向く人:ITツールに抵抗がない元教員
3. 教材制作・教材販売
Kindle出版、note販売、Base販売など、デジタル教材を作れば在庫リスクなしで販売可能。学校向けBtoB(授業案・ワークシート集)は単価も高い。難易度:★★★☆☆/想定年収:50〜1,000万円/向く人:教材作成が得意な元教員
4. 教員向けキャリアコーチ・コンサル
教員時代の経験と、キャリアコンサルタント資格の組み合わせで、教員のキャリア相談を受ける独立業。単価が高く、リピート・紹介で回りやすい。難易度:★★★☆☆/想定年収:200〜1,500万円/向く人:話を聴く力と経験がある元教員
5. 教育系執筆・監修・ライター
教員経験を武器に、教育系メディアで記事執筆や書籍出版を行う。1本1〜5万円が相場。書籍化まで進めば印税収入も。難易度:★★★☆☆/想定年収:100〜800万円/向く人:文章を書くのが好きな元教員
6. 学校向けICTコンサル・研修講師
GIGAスクール構想以降、ICT活用を悩む学校が多く、元教員×IT知見の人材は引く手あまた。研修講師なら1回5〜20万円が相場。難易度:★★★★☆/想定年収:300〜1,000万円/向く人:ICT活用経験のある元教員
7. フリースクール・オルタナティブスクール運営
不登校児童・生徒の増加を背景に需要拡大中。NPO化する道もあり、社会的意義が大きい。ただし初期投資と運営責任が重い。難易度:★★★★★/想定年収:0〜500万円(軌道に乗るまで時間)/向く人:教育理念に強い信念を持つ元教員
8. YouTuber・オンラインコンテンツクリエイター
教育系YouTubeチャンネル、教育系Podcast、noteでの発信など。収益化には時間がかかるが、当たると大きい。難易度:★★★★☆/想定年収:0〜数千万円/向く人:発信が好きで長期戦を耐えられる元教員
9. 教育系アプリ・SaaS開発
プログラミングを学び、教育現場のペインを解決するアプリを自作。1人開発でも成功例あり(例:Studyplus、Monoxer等の元教員起業家)。難易度:★★★★★/想定年収:0〜億単位/向く人:プログラミング学習に投資できる元教員
10. 教育系イベント・セミナー主催
教員向け勉強会、保護者向けセミナー、児童向け体験イベントなどを企画・運営。単発〜継続で組み合わせやすい。難易度:★★★☆☆/想定年収:100〜500万円/向く人:企画力・人脈がある元教員
「現役中に副業で家庭教師を始めて、月10万円まで来たところで退職しました。退職金には手を付けず、副収入で回すことができたので、精神的な余裕が全然違います。『いきなり起業』は本当におすすめしません」
——Kさん(40代・元公立小学校教員→独立家庭教師)
教員が起業を成功させる7ステップ準備ロードマップ
Re-Careerが支援した元教員起業家に共通する成功パターン7ステップを整理しました。順番に進めるだけで、失敗確率が劇的に下がります。
教員起業 7ステップ準備ロードマップ
- ステップ1:自分のスキル・経験・関心を紙に100個書き出す(棚卸し)
- ステップ2:起業する業種を3つに絞り込む(複数リサーチ)
- ステップ3:在職中に副業で「小さく試す」(月1〜10万円達成が目標)
- ステップ4:家計の最悪シナリオを試算(退職後何ヶ月耐えられるか)
- ステップ5:退職金・失業手当・住民税・国保を含む資金計画作成
- ステップ6:家族・パートナーとの合意形成、応援者ネットワーク構築
- ステップ7:退職後の営業・集客・オペレーション設計を具体化
※ 7ステップ全て完了してから退職するのが理想。焦らず1〜2年かけて準備するのが王道です。
「教員向けキャリアコンサルとして独立して3年。最初の1年は貯金を切り崩す苦しい時期でしたが、SNS発信を続けて、今は月30万円ペースで回っています。教員時代の『人の話を聴く』経験がそのまま活きます」
——Mさん(40代・元公立中学校教員→キャリアコーチ)
「教員を辞めて、自分でビジネスを始めたい」——そんな想いを持つ先生は少なくありません。教員として培った指導力・計画力・コミュニケーション力は、実はビジネスの世界でも大きな武器になります。
この記事では、教員から起業した実例やスモールビジネスの始め方、リスクを抑えた独立の方法をお伝えします。「辞めるか続けるか」の二択ではなく、副業から始める選択肢も含めて考えてみましょう。
教員のスキルがビジネスで活きる理由

教員は日々、30〜40人の生徒を相手にプレゼンテーションをし、保護者対応で交渉力を磨き、行事の企画運営でプロジェクトマネジメントを実践しています。これらは起業に直結するスキルです。
特に「分かりやすく伝える力」は、マーケティングやセールスにおいて非常に重要。教材を工夫してきた経験は、商品・サービスの設計力に直結します。
私自身も教員時代に培った「人の悩みに寄り添う力」が、キャリア支援会社の立ち上げに大きく役立ちました。「ビジネス経験がない」と思い込んでいる先生が多いですが、教員としての経験はビジネスの土台そのものです。
教員経験が活きる起業分野
教員のバックグラウンドが特に活きるのは以下の分野です。
- 教育系サービス:学習塾、オンライン家庭教師、教材開発、EdTechスタートアップ
- コンサルティング・コーチング:キャリアコーチ、学習コンサルタント、研修講師
- コンテンツビジネス:教育系YouTuber、ブログ運営、オンラインコース販売
- 地域密着型サービス:学童保育、放課後デイサービス、地域の学び場運営
元教員の起業事例3選

事例①:オンライン学習塾を開業したAさん
Aさん(30代・元中学校数学教員→オンライン塾経営)は、教員7年目で独立を決意。在職中に副業として週末にオンライン個別指導を始め、生徒が20名を超えた段階で退職しました。
「教員時代の授業準備のスキルがそのまま教材づくりに使えました。最初は週末だけの副業でしたが、口コミで生徒が増えて、気づけば本業より収入が上回っていたんです。」
——Aさん(30代・元数学教員→オンライン塾経営)
現在は講師を3名雇用し、月商は教員時代の給与の2倍以上。「教えることが好き」という原点を活かした起業の成功例です。
事例②:企業研修講師に転身したBさん
Bさん(40代・元高校国語教員→研修講師)は、「伝える力」を武器に企業向け研修講師として独立。プレゼンテーション研修やコミュニケーション研修を中心に、年間50社以上の研修を担当しています。
教員時代に磨いた「飽きさせない授業づくり」のノウハウは、企業研修の世界でも高く評価されています。
事例③:教育系コンテンツで起業したCさん
Cさん(30代・元小学校教員→教育系インフルエンサー)は、教員時代にSNSで授業のアイデアを発信。フォロワー5万人を超えた段階で独立し、現在はオンラインコースの販売と書籍執筆で生計を立てています。
リスクを抑えた起業の進め方

起業と聞くと「一か八かの賭け」というイメージを持つ方もいますが、リスクを最小限に抑えて始める方法はたくさんあります。
ステップ1:副業から小さく始める
いきなり退職するのではなく、まずは副業として始めましょう。公務員の副業規定には注意が必要ですが、以下は比較的始めやすい方法です。
- ブログ・SNS発信:情報発信は「副業」に該当しないケースが多い
- スキルの棚卸し:自分の強みを言語化し、サービスの形を考える
- モニター募集:退職後すぐに始められるよう、在職中にサービス設計を固める
ステップ2:退職前の資金準備
起業資金として最低6ヶ月分の生活費は確保しておきましょう。教員の退職金も活用できますが、全額を事業資金に充てるのはリスクが高いです。
また、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など、低金利で借りられる制度もあります。事前に情報収集しておくと安心です。
ステップ3:開業届と最低限の法的手続き
個人事業主として始めるなら、開業届の提出が最初のステップ。税務署に届け出るだけで完了します。青色申告の届出も同時に行えば、最大65万円の控除が受けられます。
教員起業で陥りやすい落とし穴

私がキャリア支援をする中で、起業を目指す教員がつまずきやすいポイントがあります。
- 完璧を求めすぎる:教員は「準備を万全にしてから」と考えがちですが、ビジネスは「走りながら修正」が基本
- 価格設定が安すぎる:「お金をもらうのが申し訳ない」と感じて低価格にしがち。適正な対価を設定することが持続の鍵
- 一人で抱え込む:教員時代のクラス担任の癖で、すべて自分でやろうとする。外注やパートナーの活用が大切
- 集客の仕組みがない:良いサービスを作っても、お客さんに届かなければ意味がない。集客導線を最初に設計する
「完璧な準備なんてないんだと気づくまで、半年間動けませんでした。小さく始めて、お客さんの反応を見ながら改善していくことが大事だと実感しています。」
——Dさん(30代・元中学校理科教員→EdTech起業)
起業前に知っておきたい「お金」のリアル
起業後の収入は不安定になりがちです。教員時代のように毎月決まった額が振り込まれるわけではありません。私が支援してきた方の中でも、「最初の半年は収入ゼロだった」という方は珍しくありません。
だからこそ、事前の資金計画が重要です。具体的には以下を準備しましょう。
- 生活費6ヶ月分の貯蓄(最低でも150万円程度)
- 事業開始に必要な初期費用の見積もり
- 退職金の使い道の優先順位付け
- 配偶者がいる場合は家計の役割分担の話し合い
起業は夢のある選択ですが、お金の準備が不十分だと、焦りから良い判断ができなくなります。冷静にビジネスに向き合うためにも、金銭的な安全網を作ってから動き出すことをおすすめします。
教員が起業前にやっておくべき「3つの棚卸し」
私が起業相談を受けるときに必ずお願いしているのが、「3つの棚卸し」です。この作業をするだけで、自分のビジネスの方向性がグッと明確になります。
① スキルの棚卸し:教員時代に習得した知識・スキルをすべて書き出す。教科の専門知識だけでなく、PC操作、資料作成、時間管理、チーム運営なども含めて。
② 人脈の棚卸し:元同僚、保護者、教え子の保護者、研究会で知り合った先生など、連絡が取れる人をリストアップ。最初のお客様は既存の人脈から生まれることがほとんどです。
③ 興味関心の棚卸し:「お金にならなくてもやっていて楽しいこと」を書き出す。起業は長く続けてこそ成功するもの。情熱を持てる分野を選ぶことが、挫折しないための秘訣です。
「最初は「何で起業しよう」と悩んでいましたが、棚卸しをしたら「教員時代に独自に作っていた学習プリントの販売」という答えが自然と出てきました。今はダウンロード型の教材販売で月20万円の副収入を得ています。」
——Eさん(30代・元小学校教員→教材販売業)
まとめ
教員から起業する道は、決して特別なことではありません。教壇で培ったスキルは、ビジネスの世界でも十分に通用します。
大切なのは、「辞めるか辞めないか」ではなく、自分の可能性を広げる選択肢として起業を知っておくこと。副業から小さく始めて、手応えを感じてから本格的に動き出す——そんな堅実なアプローチが、教員出身の起業家には向いています。
一人で悩まず、まずは情報収集から始めてみませんか?
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