教員を辞めた後の進路はどうなるか|フリーランス最多・転職2回以上で年収増25%【独自調査】

教員を辞めた後の進路はフリーランス24.3%が最多、無職18.7%、民間転職など多様化。Re-Career独自調査(元教員107名)が示す退職後のキャリアのリアル。年収77.6%が減少も、転職2回以上で25%が「増えた」と回答。教員のポータブルスキル10、試行錯誤で育つキャリアまで解説。

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。

「教員を辞めたら、次は何の仕事をしているのだろう」──退職を検討する現役教員にとって、最も気になる問いです。Re-Career独自調査(全国35都道府県・元教員107名)の結果から、退職後の進路の意外なリアルが見えてきました。

結論からお伝えすると、退職後の進路は大きく多様化しています。最多はフリーランス・個人事業主(24.3%)、次いで「無職」(18.7%)、民間正社員(教育業界外)(12.1%)、民間正社員(教育業界)(9.3%)、非常勤講師・臨時的任用(7.5%)と続きます。正規教員として復帰した人はわずか4名です。年収は77.6%が「減った」と回答する一方、転職2回以上の20名では「増えた」が25%(5名)でした。

この記事では、退職後の進路の分布、年収変化のリアル、転職回数と収入の関係、教員以外で活きるスキルまで、データに基づいて整理します。

⏱️ 30秒でわかる結論

退職後の進路は多様化。フリーランス最多、転職2回以上の人では年収「増えた」が25%。

1位フリーランス・個人事業主 24.3%

2位無職 18.7%

3位民間正社員(教育業界外)12.1%

4位民間正社員(教育業界)9.3%

5位非常勤講師・臨任 7.5%

年収77.6%減 / 転職2回以上で「増えた」25%

退職後の進路|「就業状況」の分布

退職後の進路分布

「現在の主たる就業状況(最も収入が多いもの)」の主な区分は次の通りです(n=107)。

  • 個人事業主・フリーランス:26名(24.3%)
  • 無職:20名(18.7%)
  • 民間正社員(教育業界外):13名(12.1%)
  • 民間正社員(教育業界):10名(9.3%)
  • 非常勤講師・臨時的任用:8名(7.5%)
  • 法人経営者:4名
  • 正規教員として復帰:4名

正規教員として復帰した人はわずか4名です。退職後に正規教員に戻る選択をする人は極めて少数派であることが明らかになりました。

「フリーランス」が最多|時間と裁量を取り戻す働き方

フリーランス最多

退職後の進路で最多となったのは「個人事業主・フリーランス」24.3%(26名)。退職後に経験した働き方(複数選択)でも、44名(41.1%)が個人事業主・フリーランスを経験しています。

元教員のフリーランス・主な業種

  • キャリアコーチ・コンサル:教員時代の対人経験を活かす
  • ライター・編集者:文章力と教育業界知識を活用
  • 教材開発・コンテンツ制作:EdTech関連の業務委託
  • YouTuber・SNSクリエイター:教育系コンテンツ発信
  • 家庭教師・個別指導:自分のペースで子どもと関わる
  • 翻訳・通訳:語学力を活かす

フリーランスを選ぶ理由

「時間に縛られない」「上司がいない」「自分のスキルで稼げる」──フリーランスという働き方には、こうした特徴があります。なお、本調査ではフリーランスを選んだ理由までは尋ねていません。

「無職」18.7%の意味|学び直しに使う人も

学び直し期間

退職後の進路で2番目に多いのが「無職」18.7%(20名)。調査票の選択肢は「無職」で、その期間に何をしているかまでは尋ねていません。ただ、学び直しやキャリアを考え直す期間にあてる人もいます。

この期間に何をしているか

本調査では、退職後に経験した働き方(複数選択)を尋ねた質問で32.7%(35名)が「学び直し」を経験と回答。現在「無職」の20名では、6名が学び直しを経験していました。退職後の期間の使い方には、たとえば次のようなものがあります:

  • 大学院進学:教育研究・心理学・経営学などの修士課程
  • 資格取得:キャリアコンサルタント・社労士・公認心理師など
  • 講座受講:ライティング・マーケティング・プログラミングなど
  • 留学:語学や専門分野を学ぶ
  • 体力・メンタルの回復:休職を経た人の場合

関連:教員の学び直し完全ガイド|教育訓練給付金が使えない理由と在職中・退職後の選択肢

「退職して半年は「無職」だったけど、その間に大学院の入試準備とキャリアコンサルタント資格を取った。あの時間が今のキャリアの土台。」
——40代・元中学校教諭・女性(自由記述より要約)

「教員以外への転職」が大勢|進路の多様化

進路の多様化

本調査が示すもう一つの重要な発見は、「教員を辞める=教育の世界を完全に離れる」とは限らない多様な働き方の広がりです。

「教育業界に残る」選択

民間企業(教育業界)の正社員10名(9.3%)、非常勤講師・臨時的任用8名(7.5%)など、教育に関わる別の立場で働く人もいます(教育系のフリーランスは、調査票で業界を分けていないため数えられません)。

  • EdTech企業(教材開発・教室運営・カスタマーサクセス)
  • 学習塾・予備校(教室長・講師・教材編集)
  • 大学・研究機関の教員・職員
  • NPOの教育支援
  • スクールサポートスタッフ・教育委員会の指導主事

学校で講師などとして働く条件は、自治体ごとに違います。学校で講師・会計年度任用職員として働く窓口を探す(学校ではたらく)

「教育業界外への転職」

民間正社員(教育業界外)12.1% + 法人経営4名など、教育以外の分野へ転身した人も一定数います。

  • 人材業界(キャリアアドバイザー・採用担当)
  • 研修・コンサル業界
  • IT・SaaS企業のカスタマーサクセス
  • 行政職(市役所・教育委員会の事務系)
  • 独立・起業(飲食・サービス業など)

年収はどう変化したか|77.6%が「減った」も、転職2回以上で25%が「増えた」

年収変化

年収変化(教員時代との比較)は次の通りです(n=107)。

  • 減った:77.6%
  • ほぼ同じ:12.1%
  • 増えた:10.3%

現在の年収が教員時代より「減った」人が約8割(83名)。この83名には、現在働いていない18名も含みます。退職を検討する現職教員が事前に知っておくべき現実です。

転職回数別の年収変化(クロス分析)

転職回数別に見ると、次のとおりです。

  • 転職0回(60名・うち現在無職18名):減った83.3% / 増えた6.7%
  • 転職1回(27名):減った77.8% / 増えた7.4%
  • 転職2回以上(20名・うち現在無職2名):減った60.0% / 増えた25.0%(5名)

現在働いていない人を除くと、「増えた」は転職0回で42名中4名(9.5%)、1回で27名中2名(7.4%)、2回以上で18名中4名(22.2%)です。区分ごとの人数が少なく、同じ人を時間を追って調べた結果でもないため、「転職を重ねると年収が上がる」とまでは言えません。

「最初の転職は年収100万円ダウンだった。でも2社目で50万円戻して、3社目で教員時代と同じ水準。最初の転職で「全部決まる」と思わなくていい。」
——30代・元小学校教諭→人材会社・男性(自由記述より要約)

「最初の転職で全てが決まる」はウソ|キャリアは試行錯誤で育つ

キャリア試行錯誤

転職2回以上の20名のうち5名は、年収が教員時代より「増えた」と答えています。現職教員に伝えたいのは、「最初の転職で全てが決まるわけではない」ということです。

キャリアは段階的に育てるもの

「教員を辞めたら、次の仕事で人生が決まってしまう」という思い込みを持つ教員は多いですが、データは違う現実を示しています。最初の職場で年収が下がっても、その後の動き方で変わる余地はあります。

1回目の転職で「完璧」を求めない

「教員からの転職」は未経験職種への挑戦が多いため、最初は「経験を積む」「業界を知る」のが最大の目的でOK。年収にこだわらず、次のキャリアの土台を作る期間と捉えましょう。

2回目以降で年収アップを狙う

1社目で経験を積めば、2社目以降は転職市場でのバリューが大幅にアップ。教員経験+第二の業界経験を組み合わせることで、独自のキャリアパスが見えてきます。

校種別・年代別|退職後の進路の傾向

校種年代別進路

本調査では、転職先の業界や職種までは尋ねていません。ここでは「現在の主たる就業状況」を、最終勤務校種別・年代別に数えた上位だけを示します(人数が少ない区分は、傾向として読まないでください)。

校種別の傾向

  • 小学校(49名):個人事業主・フリーランス14名、無職12名、非常勤講師・臨時的任用5名、民間企業(教育業界外)正社員5名
  • 中学校(37名):個人事業主・フリーランス8名、民間企業(教育業界)正社員5名、無職5名、民間企業(教育業界外)契約・派遣社員・業務委託4名
  • 高等学校(12名):個人事業主・フリーランス4名、民間企業(教育業界外)正社員4名
  • 特別支援学校(3名):無職2名、個人事業主としての働き方を準備中1名

年代別の傾向

  • 20代(9名):民間企業(教育業界外)正社員3名、民間企業(教育業界)正社員2名
  • 30代(47名):個人事業主・フリーランス13名、無職7名、民間企業(教育業界)正社員6名
  • 40代(30名):無職9名、個人事業主・フリーランス8名、民間企業(教育業界外)正社員6名
  • 50代以上(21名):個人事業主・フリーランス4名、無職4名、正規教員として復帰3名

「40代だからもう転職難しいかな、と思っていたら、管理職経験を高く評価される機会が多かった。年代を悲観する必要はなかった。」
——45歳・元小学校教諭→教育コンサル・男性(自由記述より要約)

教員経験で活きる「ポータブルスキル」

ポータブルスキル

教員時代に培ったスキルには、他業界でも活かせるものがあります。

教員から他業界へ持っていけるスキルTOP10

  1. 対人コミュニケーション:生徒・保護者対応で培う
  2. プレゼンテーション:毎日授業=講演スキル
  3. マネジメント:30人前後のクラス運営
  4. 計画立案:年間カリキュラム・行事運営
  5. 文章力:通知表・所見・連絡文の作成
  6. 調整力:管理職・同僚・保護者との折衝
  7. 教育コンテンツ設計:授業案作成
  8. 個別指導力:生徒一人ひとりへの対応
  9. 危機管理:いじめ・事故・緊急対応
  10. 多様性への対応:個性ある生徒の理解

これらは民間業界で「対人スキル」「マネジメント力」「コンテンツ制作力」として高く評価されます。

「年収ダウン」と上手く付き合う3つの工夫

年収ダウン対策

退職直後の年収ダウンを乗り切るための、現実的な3つの工夫です。

① 退職前の経済バッファ確保(6ヶ月分以上)

退職前に6ヶ月〜1年分の生活費を別途貯蓄。退職金がある場合も、生活費はそれとは別に確保しておくと安心。

② 固定費の見直し

退職を機に住居費・通信費・サブスクなどの固定費を一度見直す。年収ダウンに合わせて固定費も下げれば、生活の質はそれほど落ちません。

③ 副業・複数収入源の確立

退職後は副業・複業を組み合わせて「複数収入源」を作るのが現代的。1社の正社員収入だけに頼らない働き方が、教員からの転身者には合います。

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シリーズ全9本へのリンク

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📊 元教員キャリア実態調査2026|シリーズ全9本

調査で見えた進路の実態を、職種ごとの解説とあわせて読むと理解が深まります。教員から転職できる仕事15選|経験の活かし方と年収をどうぞ。

まとめ|退職後の進路は想像以上に多様。試行錯誤で育つキャリア

退職後の進路はフリーランス最多・無職18.7%・民間転職・法人経営など、想像以上に多様化しています。「教員を辞めたら仕事がない」というのは事実ではないことを、退職者107名のリアルが示しています。

本記事のポイント:

  • 退職後の進路は多様化、フリーランス24%が最多・正規教員復帰はわずか4名
  • 「無職」は18.7%。現在無職の20名のうち6名は、退職後に学び直しを経験
  • 年収は77.6%が「減った」。転職2回以上の20名では「増えた」が5名(25.0%)
  • 「最初の転職で全てが決まる」はウソ。キャリアは段階的に育つ
  • 教員のポータブルスキル10は他業界で高評価

Re-Careerは、退職後のキャリア設計を含めて、現役教員に伴走します。

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Re-Career代表 新川紗世
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