教員の年金は月いくら?試算15〜17万円の内訳と、共済年金の一元化で変わったこと【2026年度】
教員の年金は、38年勤務・平均標準報酬額45万円のモデルで月約16万円(1階+2階の合計。令和8年度の計算式による試算)。共済年金は2015年10月に厚生年金へ一元化されていて、教員を辞めても加入期間は通算されるので、年金がゼロになることはありません。この記事では、3階建ての内訳、勤続年数×報酬別の試算表、辞めたときに減るもの・減らないもの、そして自分の実額を1円単位で確認する方法までを、日本年金機構と公立学校共済組合の一次情報だけで整理しました。
「教員を辞めたら年金はどうなるの?」「共済年金から厚生年金に変わると、将来もらえる額は減るの?」——キャリア相談の場で、年金の質問はいちばん多く出てきます。そして、いちばん「なんとなくの不安」で止まりやすい話でもあります。数字の出どころをはっきりさせれば、辞める・続ける・変える、どの選択をするにしても、判断の土台がつくれます。
⏱️ 30秒でわかる結論
教員の年金は3階建て。辞めても「積み上げた分」は消えません
1階老齢基礎年金。満額で月70,608円/年847,300円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれ)
2階老齢厚生年金。平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数で決まる
3階年金払い退職給付。平成27年10月に創設された公務員独自の上乗せ(掛金率0.75%)
モデル試算38年勤務・平均標準報酬額45万円で1階+2階=月約16.4万円(+3階)
辞めた場合加入期間は通算される。止まるのは3階の積立だけ
2026年4月〜在職老齢年金の基準額が月51万円→65万円に。再任用で減る人が大きく減る
📊 まず数字だけ知りたい方へ
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
📋 目次
- 教員の年金は月いくら?1階・2階・3階の内訳と勤続年数別の試算表
- 公立教員の年金が「3階建て」になる理由|共済年金は2015年に厚生年金へ一元化された
- 教員を辞めると年金はどう変わるのか|減らないもの・止まるもの
- 私立教員・常勤講師・非常勤講師の年金はどうなるか
- 退職後の空白期間と国民年金|14日以内の手続きと保険料17,920円
- 再任用で働きながら年金を受け取るとき|在職老齢年金の基準額が2026年4月に65万円へ
- 自分の年金額を1円単位で確認する3つの方法
- 転職のタイミングと年金|30代・40代・50代で違うこと
- 教員の年金についてよくある質問
- まとめ|教員の年金は「いくら減るか」より「空白を作らないか」
- 合わせて読みたい|Re-Careerの3大ガイド
教員の年金は月いくら?1階・2階・3階の内訳と勤続年数別の試算表

先に、いちばん知りたいところから書きます。公立教員の年金は3階建てで、1階と2階については、公表されている計算式に自分の数字を入れれば、おおよその月額が出せます。順番に見ていきます。
1階:老齢基礎年金は、満額で月70,608円(令和8年度)
20歳から60歳になるまでの40年間(480か月)の保険料をすべて納めていれば、満額を受け取れます。日本年金機構「老齢年金ガイド 令和8年度版」によると、令和8年度の満額は次のとおりです。
| 区分 | 年額 | 月額 |
|---|---|---|
| 昭和31年4月2日以後に生まれた方 | 847,300円 | 70,608円 |
| 昭和31年4月1日以前に生まれた方 | —— | 70,408円 |
令和8年度の年金額は、令和7年度に比べて基礎年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%の引上げになっています(日本年金機構「令和8年4月分からの年金額について」)。この1階部分は、教員でも会社員でも自営業でも同じ計算です。教員を辞めたからといって、1階が減ることはありません。減るとしたら、保険料を納めていない月があった場合だけです。
2階:老齢厚生年金は「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」
2階の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、同ガイドの6ページに計算式が明記されています。
老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式=A+B
- A:平成15年3月以前の加入期間 平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの加入月数
- B:平成15年4月以降の加入期間 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の加入月数
※平均標準報酬「月額」は賞与を含まない額、平均標準報酬「額」は賞与(標準賞与額)を含んだ月換算額です。どちらも、過去の額に再評価率を掛けて現在の価値に直したうえで平均します。※共済組合の加入期間がある方は、共済期間とそれ以外の期間をそれぞれ分けて計算します。
この式のうち、いまの現役世代に効いてくるのは主にBです。そこで「平均標準報酬額(賞与込みの月換算)× 5.481/1000 × 加入月数 ÷ 12」で、2階部分の月額を計算してみます。単位は円です。
| 平均標準報酬額 | 25年(300月) | 30年(360月) | 35年(420月) | 38年(456月) | 40年(480月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 35万円 | 47,959 | 57,550 | 67,142 | 72,897 | 76,734 |
| 40万円 | 54,810 | 65,772 | 76,734 | 83,311 | 87,696 |
| 45万円 | 61,661 | 73,993 | 86,326 | 93,725 | 98,658 |
| 50万円 | 68,512 | 82,215 | 95,918 | 104,139 | 109,620 |
| 55万円 | 75,364 | 90,436 | 105,509 | 114,553 | 120,582 |
この試算表の前提(ここを読まずに数字だけ使わないでください)
- 法律で決まっている計算式(B式)に、仮の平均標準報酬額を入れただけの試算です。実額ではありません。
- 平成15年3月以前に加入期間がある方は、その分がA式(7.125/1000・賞与を含まない平均標準報酬月額)で計算されるため、この表とはズレます。
- 平均標準報酬額は「過去の報酬に再評価率を掛けた額」なので、いまの給与明細の額面そのままではありません。
- 3階(年金払い退職給付)、加給年金額、経過的加算額は含んでいません。
正確な額は必ず、ねんきん定期便・ねんきんネット・地共済年金情報Webサイトで確認してください。
1階+2階でいくらになるか
1階を満額(月70,608円)として、38年勤務のモデルで足すと次のようになります。
| 平均標準報酬額 | 1階(満額) | 2階(38年) | 合計(月額) |
|---|---|---|---|
| 40万円 | 70,608円 | 83,311円 | 153,919円 |
| 45万円 | 70,608円 | 93,725円 | 164,333円 |
| 50万円 | 70,608円 | 104,139円 | 174,747円 |
つまり、フルキャリアの公立教員で、1階+2階がおおむね月15〜17万円。ここに3階の年金払い退職給付が乗り、配偶者の要件に当てはまれば加給年金額(令和8年度は配偶者で年243,800円)も加わります。「教員の年金は多いらしい」と言われることがありますが、それは制度が特別だからではなく、加入期間が長く、報酬が途切れにくいからです。同じ加入期間・同じ報酬なら、民間企業に勤めた人と2階の計算は同じです。
参考までに、日本年金機構が示すモデル年金(平均標準報酬45.5万円で40年就業した場合の夫婦2人分の標準的な年金額)は、令和8年度で月237,279円です。上の試算と桁がずれていないことは確認できます。
「年金の話は「よく分からないから後回し」にしてきましたが、転職を考え始めて初めてねんきんネットを見ました。数字で見えると、漠然とした不安が「具体的な計算」に変わって、判断しやすくなりました。」
——Re-Careerキャリア相談利用者(35歳・元中学校教員)
公立教員の年金が「3階建て」になる理由|共済年金は2015年に厚生年金へ一元化された

「教員は共済年金だから有利」という言い方を、いまでも耳にします。これは2015年(平成27年)10月より前の話です。いま何がどうなっているのかを、制度の側から整理します。
2015年10月の「被用者年金一元化」で何が変わったか
かつて、公務員は「共済年金」、会社員は「厚生年金」と別々の制度に加入していました。2015年10月1日に被用者年金が一元化され、共済年金は厚生年金に統合されました。現在の公立教員が加入しているのは、共済年金ではなく厚生年金です。ただし、保険料の徴収や年金の決定・支給は、引き続き公立学校共済組合が「実施機関」として行っています。
一元化で起きたこと
- 公務員も厚生年金の被保険者になった(公務員は第3号厚生年金被保険者と呼ばれる区分)
- 保険料率が民間と統一される方向で段階的に引き上げられ、差が解消された
- 共済年金独自の上乗せだった「職域加算」が廃止された
- 代わりに「年金払い退職給付」が創設された(平成27年10月〜)
平成27年9月までの組合員期間については、経過措置として「経過的職域加算額」が引き続き支給されます。ベテランの先生ほど、この経過的職域加算額の対象期間が長くなります。
3階部分「年金払い退職給付」のしくみ
地方公務員共済組合連合会と公立学校共済組合の説明によると、年金払い退職給付は次のような制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創設 | 平成27年10月(共済年金の職域部分の廃止に代わる制度) |
| 給付の種類 | 退職年金・公務障害年金・公務遺族年金の3種類 |
| 掛金率 | 0.75%(公立学校共済組合の記載) |
| 退職年金の構成 | 半分が終身退職年金、半分が有期退職年金 |
| 有期退職年金の期間 | 原則20年。10年または一時金を請求時に選べる |
| 支給開始 | 原則65歳。60歳への繰上げ、75歳への繰下げも可能 |
ここで押さえておきたいのは、3階は「積み立てた分だけもらえる」性格が強いということです。教員として働いた期間に応じて給付算定基礎額が積み上がり、辞めればそこで積立は止まりますが、それまでに積み上げた分は消えません。毎年7月下旬に自宅へ届く「給付算定基礎額残高通知書」が、この3階部分の残高のお知らせです。
教員を辞めると年金はどう変わるのか|減らないもの・止まるもの

ここが、いちばん誤解の多いところです。結論から言うと、「これまで積み上げた年金がなくなる」ということは、制度上ありません。変わるのは、これから積み上がるスピードと、3階の扱いです。
減らないもの
| 項目 | どうなるか |
|---|---|
| 厚生年金の加入期間 | 通算される。「教員15年+民間15年=30年」として計算される |
| 1階の老齢基礎年金 | 国民年金の加入期間で決まる。転職しても手続きさえすれば途切れない |
| 教員時代の2階部分 | 教員期間の報酬と月数に応じた額が、そのまま計算に残る |
| 経過的職域加算額 | 平成27年9月までの組合員期間分は、退職後も65歳から支給される |
| 3階の積立済み分 | 積み立てた給付算定基礎額は保全される |
止まるもの・変わるもの
| 項目 | どうなるか |
|---|---|
| 3階の積立 | 公務員でなくなるので停止する。転職先に企業年金や企業型DCがあれば、そちらが3階の代わりになる |
| 報酬水準 | 転職後の年収が下がればその期間の2階の積み上がりも小さくなる。逆に上がれば大きくなる |
| 実施機関 | 公立学校共済組合 → 日本年金機構(民間企業に転職した場合)。受け取るときは、期間ごとにそれぞれの実施機関から支給される |
| 受給資格期間 | 老齢年金を受け取るには通算10年以上の資格期間が必要。教員を10年務めていれば、この条件はすでに満たしている |
2階の計算式をもう一度見てください。「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」——ここに「公務員か民間か」を区別する項目はありません。一元化以降、2階についてはどこで働いたかではなく、いくらの報酬で何か月加入したかだけで決まります。
「教員が転職しても、年金が「ゼロになる」「大幅に減る」ということはありません。加入期間は通算されるため、教員時代に積み立てた分は将来しっかり受け取れます。制度を正しく理解することが、不安を解消する第一歩です。」
——Re-Career キャリアアドバイザーの支援現場より
私自身、公立中学校で英語を教えていたころ、年金の話は「定年間際の人の話」だと思っていました。実際に自分が辞めるとなって初めて、ねんきん定期便を真剣に見ました。そこで分かったのは、不安の正体は「金額が少ないこと」ではなく「金額を知らないこと」だったということです。相談に来られる先生方も、試算してみると「思っていたより減らないんですね」と表情が変わる方がほとんどです。
私立教員・常勤講師・非常勤講師の年金はどうなるか

私立学校の教員
私立学校の教職員は、日本私立学校振興・共済事業団(私学共済)に加入します。こちらも2015年10月の一元化で厚生年金に統合されており、公立・私立・民間企業のあいだで、2階部分の加入期間はすべて通算されます。公立から私立へ、私立から公立へ移った場合も、期間が切れることはありません。
私立学校の教員が辞めるときに確認することは、私立学校の教員を辞めたいときに知っておくべきことにまとめています。
常勤講師(臨時的任用教職員)
常勤の講師として働いている場合、勤務条件によって加入先が変わります。公立学校共済組合の「一般組合員」になるか、「短期組合員」として一般の厚生年金に加入するかは、任用の形によります。どちらでも2階の加入期間としては通算されますが、3階(年金払い退職給付)が積み上がるのは、公務員共済の一般組合員として加入している期間だけです。自分がどちらなのかは、給与明細の控除項目か、勤務先の事務担当に確認してください。
非常勤講師
非常勤講師は、勤務時間・勤務日数が厚生年金の加入要件を満たすかどうかで扱いが変わります。要件を満たさない場合は、国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を納める)か、配偶者に扶養されていれば第3号被保険者になります。第1号のまま長く働くと、2階部分が積み上がりません。複数校を掛け持ちしている場合の合算の扱いなど、判断が難しいケースが多いので、ここは自治体・勤務先ごとに個別に確認してください。一般論で「非常勤は厚生年金に入れない」と決めつけるのは正しくありません。
退職後の空白期間と国民年金|14日以内の手続きと保険料17,920円

年金額を実際に減らすのは、転職そのものではなく「手続きをしなかった空白期間」です。ここだけは、放っておくと本当に減ります。
退職後、次の就職先が決まっていない場合
厚生年金の資格を失い、国民年金の第1号被保険者になります。退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で手続きが必要です。保険料は令和8年度で月額17,920円(日本年金機構「国民年金の保険料はいくらですか。」)。これを自分で納めます。
配偶者の扶養に入る場合
配偶者が会社員や公務員で、自分の年収が130万円未満の見込みであれば、第3号被保険者になれます。第3号は保険料の負担がありません。手続きは配偶者の勤務先を通じて行います。
未納にすると、いくら減るのか
1階の老齢基礎年金は「480か月(40年)」加入で満額です。令和8年度の満額847,300円を480で割ると、1か月の未納につき年間およそ1,765円減る計算になります。1か月なら小さく見えますが、1年(12か月)未納にすると年間約21,000円、65歳から20年受け取るとして約42万円の差になります。
納められないときに、絶対にやってはいけないこと
- 「払えないから放置」は最悪の選択です。未納は年金額が減るうえ、障害年金・遺族年金の保障も受けられなくなることがあります。
- 経済的に厳しいときは、保険料免除制度・納付猶予制度を申請してください。免除が認められた期間は、受給資格期間に算入され、年金額にも一定割合が反映されます。
- 免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内なら追納できます。転職後に余裕ができたら追納すると、年金額を戻せます。
退職して収入が下がった年は、前年所得ではなく「退職(失業)による特例免除」の対象になる場合があります。市区町村の窓口で必ず相談してください。
再任用で働きながら年金を受け取るとき|在職老齢年金の基準額が2026年4月に65万円へ

60歳以降も再任用や再就職で働き続ける先生にとって、いちばん影響が大きいのがこの制度です。2026年(令和8年)4月から、大きく変わりました。
基準額が月51万円 → 月65万円に引き上げられた
働きながら老齢厚生年金を受け取るとき、「基本月額(老齢厚生年金の月額)+総報酬月額相当額(月給+直近1年の賞与の12分の1)」が一定額を超えると、超えた分の半分だけ年金が支給停止されます。これが在職老齢年金です。日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」によると、令和7年年金制度改正法に基づき、令和8年4月からこの基準額が月51万円から月65万円に引き上げられました。
在職老齢年金の計算式(令和8年4月以降)
- 基本月額 + 総報酬月額相当額 が65万円以下 → 全額支給
- 65万円を超える場合 → 支給額 = 基本月額 -(基本月額 + 総報酬月額相当額 - 65万円)÷ 2
※支給停止の対象になるのは2階の老齢厚生年金だけです。1階の老齢基礎年金は、働いていても全額受け取れます。
たとえば基本月額10万円・総報酬月額相当額40万円なら合計50万円で、65万円以下なので全額支給。基準額が51万円だった令和7年度までは、この水準でも人によっては調整の対象になり得ました。「働くと年金が減るから、勤務時間を抑える」という判断の前提が、2026年4月で変わっています。
再任用フルタイムだと、3階は止まる
もうひとつ、公務員特有の注意点があります。公立学校共済組合の資料によると、暫定再任用フルタイム等で公立学校共済組合の一般組合員として働いている間は、年金払い退職給付(3階)と経過的職域加算額が全額支給停止になります。退職した場合や、短期組合員(暫定再任用短時間・臨時的任用教職員等)として働く場合は全額支給されます。
つまり、60歳以降の働き方を「フルタイム再任用」にするか「短時間」にするかで、受け取れる年金の組み合わせが変わります。手取りだけを比べても答えは出ません。ここは必ず、自分の3階の残高(給付算定基礎額残高通知書)を見たうえで判断してください。
「再任用の話が出たとき、フルタイムしか考えていませんでした。共済の窓口で「短時間なら年金払い退職給付が出ますよ」と言われて、初めて選択肢が2つあることを知りました。」
——Re-Careerキャリア相談利用者(59歳・公立高校教員)
自分の年金額を1円単位で確認する3つの方法

ここまでの試算は、あくまで「計算式に仮の数字を入れたもの」です。自分の実額は、必ず次の3つで確認してください。公立教員の場合、加入記録が複数の実施機関にまたがるので、「ねんきんネットだけ見れば分かる」とは限らないのが厄介なところです。
方法1:ねんきん定期便(すべての実施機関の見込額が載る)
年1回、誕生月の25日ごろに自宅へ届きます。公立学校共済組合の資料によれば、ねんきん定期便にはすべての実施機関の見込額が掲載されます。まずはこれを捨てずに開くところからです。人事異動で加入する共済組合が変わった直後などは、情報の反映が間に合わず金額が「※」表示になることがあります。
方法2:ねんきんネット(複数パターンを自分で試算できる)
ねんきんネットに登録すると、マイナンバーカードがあればすぐログインできます。「年金見込額試算」で、「このまま教員を続けた場合」「○歳で転職して年収○万円になった場合」など、複数のシナリオを自分で試算できます。辞めるかどうかを迷っているときに、いちばん役に立つ機能です。
方法3:地共済年金情報Webサイト(公務員厚生年金期間分)
地共済年金情報Webサイトでは、公務員厚生年金期間(平成27年9月以前の期間を含む)の加入記録と見込額を確認できます。共済期間の中身を細かく見たいときは、ねんきんネットよりこちらのほうが詳しいです。利用にはインターネットからの申込みが必要です。
3階の残高は「給付算定基礎額残高通知書」で見る
- 年金払い退職給付(3階)の目安額は、毎年7月下旬に自宅へ送られてくる「給付算定基礎額残高通知書」に載っています。
- これは3階専用の通知なので、ねんきん定期便とは別物です。
- 辞めるかどうかを金額で判断するときは、ねんきん定期便(1階+2階)と、この通知書(3階)をセットで見てください。
2つを並べて初めて、「教員を続けた場合の年金の全体像」が見えます。
転職のタイミングと年金|30代・40代・50代で違うこと

30代で転職する場合(教員10〜15年+その後20年以上)
転職後の加入期間のほうが長くなるので、将来の年金額は「転職先でいくら稼ぐか」でほぼ決まります。教員期間の3階は小さいですが、経過的職域加算額の対象期間(平成27年9月以前)も短く、2015年10月以降に採用された方はそもそも対象期間がないので、失うものは限定的です。転職先に企業型DCやiDeCoの上乗せがあれば、3階を自分でつくり直せます。
40代で転職する場合(教員20年前後)
いちばん判断が難しい層です。3階の積立がそれなりに育っている一方で、転職後に年収が下がると2階の積み上がりも鈍ります。ただ、年金額の差だけで決められる問題ではありません。心身の状態、家庭の状況、あと20年その働き方を続けられるか——Re-Careerでは「年金の数字」と「健康・生活の質」を同じテーブルに並べて考えます。数字を見た結果「続ける」と決める方も、たくさんいらっしゃいます。
50代で転職・早期退職する場合(教員30年前後)
2階の大部分はすでに確定しているので、年金への影響は思っているより小さいことが多いです。この年代でむしろ効いてくるのは、退職金と、60歳以降の働き方(再任用か、再就職か)です。在職老齢年金の基準額が2026年4月に65万円へ上がったことも、この層に直接影響します。
なお、退職金の額そのものについては「教員の退職金はいくら?勤続年数別の手取り早見表」の記事で勤続年数別に整理しています。3階を自分でつくり直す方法は教員のiDeCo完全ガイド、共済組合そのものの制度は公立学校共済組合で使える制度5つにまとめました。
教員の年金についてよくある質問
Q. 教員の年金は、月いくらもらえますか?
公表されている計算式に仮の数字を入れた試算では、38年勤務・平均標準報酬額45万円の場合で1階+2階が月約16.4万円になります(1階=令和8年度満額70,608円、2階=45万円×5.481/1000×456月÷12)。ここに3階の年金払い退職給付が加わります。ただしこれは実額ではありません。加入期間・報酬・平成15年3月以前の期間の有無で変わるので、必ずねんきん定期便かねんきんネットで自分の額を確認してください。
Q. 教員の年金は民間より多いと聞きましたが、本当ですか?
2015年10月の一元化以降、2階の老齢厚生年金の計算式は民間の会社員とまったく同じです。制度として有利ということはありません。結果として金額が大きくなりやすいのは、加入期間が長く、報酬が途中で途切れにくいためです。なお3階の「年金払い退職給付」は公務員独自の上乗せですが、民間でも企業年金や企業型DCがあれば同じ位置づけの給付があります。
Q. 教員を辞めたら、それまでの年金はどうなりますか?
厚生年金の加入期間は通算されるので、教員時代に積み上げた分がなくなることはありません。「教員15年+民間15年=30年」として計算されます。止まるのは3階(年金払い退職給付)の積立だけで、それまでに積み立てた分は保全されます。平成27年9月以前の組合員期間がある方は、経過的職域加算額も退職後に受け取れます。
Q. 共済年金はもうないのですか?「教員は共済年金」と言われたのですが。
2015年(平成27年)10月1日の被用者年金一元化で、共済年金は厚生年金に統合されました。いま公立教員が加入しているのは厚生年金です。ただし、保険料の徴収や年金の決定・支給は引き続き公立学校共済組合が「実施機関」として行っているため、窓口としては共済組合のままです。ここが混乱しやすいところです。
Q. 退職してすぐ再就職しない場合、何をすればいいですか?
退職日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口で国民年金第1号被保険者の手続きをしてください。保険料は令和8年度で月額17,920円です。配偶者に扶養される場合は第3号被保険者になり、保険料の負担はありません。経済的に厳しい場合は放置せず、免除制度・納付猶予制度を申請してください。免除された期間の保険料は10年以内なら追納できます。
Q. 再任用で働くと、年金は止まりますか?
2階の老齢厚生年金については、令和8年4月から「基本月額+総報酬月額相当額」が月65万円を超えた場合にだけ、超えた分の半分が支給停止されます(令和7年度までは51万円)。1階の老齢基礎年金は働いていても全額受け取れます。ただし、暫定再任用フルタイム等で公立学校共済組合の一般組合員として働く間は、年金払い退職給付と経過的職域加算額が全額支給停止になります。
Q. 自分の年金額を正確に知る方法はありますか?
3つあります。①ねんきん定期便(毎年、誕生月に届く。すべての実施機関の見込額が載ります)②ねんきんネット(複数のシナリオで見込額を試算できます)③地共済年金情報Webサイト(公務員厚生年金期間の記録を詳しく確認できます)。3階の残高は、毎年7月下旬に届く「給付算定基礎額残高通知書」で確認します。
まとめ|教員の年金は「いくら減るか」より「空白を作らないか」
- 公立教員の年金は3階建て。1階は令和8年度の満額で月70,608円、2階は平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数、3階は年金払い退職給付。
- 38年勤務・平均標準報酬額45万円のモデル試算で、1階+2階が月約16.4万円。フルキャリアで月15〜17万円がひとつの目安(3階は別)。
- 共済年金は2015年10月に厚生年金へ一元化済み。2階の計算式は民間と同じ。
- 教員を辞めても加入期間は通算される。止まるのは3階の積立だけで、積み立てた分は消えない。
- 年金額を実際に減らすのは転職ではなく手続き漏れによる未納。1か月の未納で年約1,765円減る。払えないときは免除・猶予を申請する。
- 在職老齢年金の基準額は2026年4月から月65万円(それまでは51万円)。60歳以降の働き方の前提が変わっている。
- 実額はねんきん定期便・ねんきんネット・地共済年金情報Webサイトで確認する。3階は給付算定基礎額残高通知書。
年金は、辞める理由にも、辞めない理由にもなり得ます。大事なのは、「なんとなく不安だから動かない」を「数字を見たうえで決めた」に変えることです。辞める・続ける・変える、どの結論でもかまいません。選択肢を持ったうえで選べたなら、それが正解だと思っています。
※本記事は年金制度の一般的な情報提供を目的としています。個別の年金額、加入記録、手続きについては、年金事務所・公立学校共済組合の支部・社会保険労務士にご相談ください。自治体や任用形態によって取扱いが異なる部分があります。
合わせて読みたい|Re-Careerの3大ガイド
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