教員を辞めた後の働き方|週30時間未満44%・土日勤務なし66%・在宅37.5%【独自調査】
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のプロフェッショナル集団として、延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
「教員を辞めたら、どんな働き方ができるのだろう」──退職後の働き方の具体イメージが持てない教員、本当に多いです。Re-Career独自調査(全国30都道府県・元教員107名)は、退職後の働き方の実態を具体的な数字で示しています。
結論からお伝えすると、退職後の働き方は劇的に「自由」に変わっています。週労働時間「30時間未満」が44.2%、土日勤務「ほぼない」が66.3%、在宅勤務「あり」が47.1%──教員時代には実現が困難だった柔軟な働き方を、退職者の多くが実践しています。これが「働き方満足度4.5→7.2」という1.6倍の改善につながっている根拠です。
この記事では、退職後の働き方の具体的数字、教員時代との比較、新しい働き方の選択肢を整理します。
⏱️ 30秒でわかる結論
退職後の働き方は劇的に自由に。週30時間未満44%、土日勤務なし66%、在宅37.5%。
週労働時間30時間未満が44.2%(教員時代は週50時間以上が多数)
土日勤務ほぼないが66.3%(教員時代は土日も部活)
在宅勤務あり47.1%(教員時代はほぼ不可能)
総合満足度4.5→7.2へ約1.6倍に上昇
対価年収減77.6%を引き受けて時間と自由を獲得
週労働時間|30時間未満が44.2%
退職者の現在の週労働時間の分布は次の通りです(n=107)。
- 30時間未満:44.2%
- 30〜40時間:23.1%
- 40〜50時間:21.2%
- 50時間以上:11.5%
教員時代はOECD調査でも週56時間が標準(中学校教員)でしたが、退職後は40時間未満で働く人が67.3%(30時間未満+30〜40時間)。「労働時間が確実に減っている」のがデータから明らか。
「30時間未満」の意味
週30時間未満で働く人が44.2%もいる事実は、「フリーランス」「業務委託」「パート」「複業」といった柔軟な働き方を選択している退職者が多いことを示します。「フルタイム正社員」だけが選択肢ではないのです。
土日勤務|「ほぼない」が66.3%
退職者の土日勤務状況は次の通りです(n=107)。
- ほぼない:66.3%
- 月1〜2回:15.4%
- 毎週:18.3%
退職者の3人に2人が「土日は休み」を当たり前に実現。教員時代の「土日も部活・行事・採点」とは大きく異なる現実です。
「土日が戻ってきた」
本調査の自由記述でも、「土日が完全に休めるのが何より嬉しい」「家族と過ごす時間が戻った」という声が多数。「土日休み」は、教員時代には実現困難だった当たり前の権利でした。
「退職後、最初の土曜日に何もしなくていいと気づいて、涙が出た。「これが普通の生活なんだ」と思った。」
——40代・元中学校教諭・男性(自由記述より要約)
在宅勤務|「あり」が47.1%
在宅勤務(リモートワーク)の状況は次の通りです(n=107)。
- あり(週1以上):37.5%
- あり(時々):9.6%
- なし:52.9%
合計47.1%が在宅勤務を実践。教員時代には絶対に不可能だった働き方を、退職者の半分近くが手に入れています。
在宅勤務がもたらすもの
- 通勤時間ゼロ(教員は通勤30〜60分が標準)
- 家事・育児との両立がしやすい
- 体調が悪い日でも柔軟に対応できる
- 自分のペースで集中できる
「働き方満足度4.5→7.2」が物語るもの
本調査の最も注目すべき発見の一つが、「働き方の満足度」が教員時代の4.5点(10点満点)から現在7.2点へと約1.6倍に上昇している事実です。
満足度分布のシフト
教員時代は「1〜3点」(低満足度)が49名(47.1%)と最大ボリュームゾーンでした。一方、現在は「8〜10点」(高満足度)が59名(57%)と過半数。分布全体が右側(高満足度)に大幅シフトしています。
「収入を引き受けて、時間・健康・自由を取り戻す」
年収は77.6%が「減った」と回答しているにもかかわらず、働き方満足度は劇的に上昇。これは「収入が減るというコスト」を引き受けてでも、「自分の時間・健康・自由度」を取り戻す選択を多くの退職者がしたことを示しています。
言い換えれば、教員時代の「働き方」がそれだけ過酷だったという裏返しでもあります。
退職者が手にした「自由」の具体例
具体的に、退職者は何を「自由」として手に入れているのか。自由記述から見える具体例を整理します。
① 時間の自由
- 朝、ゆっくり起きられる
- 平日の昼間に銀行・役所に行ける
- 子どもの行事に参加できる
- 親の介護・通院に付き添える
- 趣味の時間が確保できる
② 場所の自由
- カフェやコワーキングで仕事できる
- 引っ越しの選択肢が広がる(地方移住など)
- 旅行先で仕事できる(ワーケーション)
③ 関係性の自由
- 合わない人と無理に付き合わなくていい
- 業界の外の人とつながれる
- SNSで発信できる(教員は制約多い)
④ 学び・成長の自由
- 大学院・資格取得・留学に時間を使える
- 異業種の人から学べる
- 自分のキャリアを能動的にデザインできる
「平日の昼間に役所に行ける、子どもの行事に出られる──こんな当たり前のことが、教員時代はできなかった。退職して初めて「人間らしく生きられている」と思った。」
——30代・元小学校教諭・女性(自由記述より要約)
退職者が実践する「具体的なスケジュール例」
退職後のスケジュールイメージを、4つのケースで紹介します。
ケース①|フリーランス・教育系コーチ(30代女性)
- 平日:7時起床、9〜12時クライアント対応(オンライン)、午後は教材作成や読書、子どもの送迎
- 週労働時間:約25〜30時間
- 土日:完全オフ、家族と過ごす
ケース②|民間正社員・教育系SaaS企業(30代男性)
- 平日:9時始業(リモート週3)、17時終業、残業少なめ
- 週労働時間:約40〜45時間
- 土日:基本休み、月1回は子どもとイベント参加
ケース③|非常勤講師+ライター複業(40代女性)
- 月火水:非常勤講師(午前のみ)/木金:ライター業務
- 週労働時間:約25時間
- 収入:教員時代の70%だが、時間の自由を獲得
ケース④|起業・教育NPO代表(50代男性)
- 働き方:完全自由、プロジェクトベース
- 週労働時間:30〜50時間(変動大)
- やりがい:自分で社会的意義を選べる
「「9時始業・17時終業・残業なし」が当たり前に。教員時代の自分が見たら、信じられないだろう。」
——32歳・元小学校教諭→EdTech企業・女性(自由記述より要約)
新しい働き方の選択肢|複業・複数収入源
退職者の多くが選んでいる新しい働き方として、「複業(複数の収入源を持つ)」があります。
複業のパターン例
- パートタイム+フリーランス:週3パートで安定収入+週2フリーで自由
- 非常勤講師+業務委託:教育系の複数案件を組み合わせ
- 会社員+副業:本業+ライティング・コーチングなど
- 個人事業主+投資:時間の自由を持ちながら不労所得
複業のメリット
- 1社に依存しないリスク分散
- 多様なスキル・人脈の獲得
- 1つが合わなくても他で食べていける安心感
- 自分の興味の幅で働ける
退職を検討中の教員へ|「働き方の選択肢」を持つ意味
本調査が示すのは、「教員を続ける/辞める」の二択ではなく、「自分にとって持続可能な働き方を選ぶ」という視点の重要性です。
「持続可能な働き方」とは
- 心身を損なわない働き方:週労働時間、睡眠時間、休日確保
- 家族・パートナーとの関係が維持できる働き方
- 自分のペース・自分らしさを保てる働き方
- 長期的に続けられる経済性
これらをすべて満たす働き方は、教員時代に実現困難だった人にとって、退職後に手に入る可能性が高いです。
「働き方を変える」5つのステップ
退職を視野に入れて働き方を変えるための、現実的な5ステップです。
STEP1:理想の働き方を言語化
「週何時間働きたい?」「土日は休みたい?」「在宅で働きたい?」──理想を具体的に言語化する。
STEP2:その働き方を実現する職種・業界を調査
理想に近い働き方ができる職種・業界を3つ以上リストアップ。教育業界内・教育業界外の両方を検討。
STEP3:現職と新しい働き方の収入差を試算
「年収は下がるが、時間が増える」「現状維持より総合的なQOLは上がる」を数字で確認。
STEP4:3〜6ヶ月分の生活費を確保
退職直後の経済バッファとして必須。これがないと焦って「合わない仕事」を選びがち。
STEP5:実際に動く(転職活動・人脈作り)
転職エージェント登録・SNS発信・人脈作り。退職前から並行で進めるのが理想。
シリーズ全9本へのリンク
📊 元教員キャリア実態調査2026|シリーズ全9本
まとめ|退職後の「働き方の自由」こそ、本当のリターン
退職後の働き方は、教員時代と比べて劇的に自由になっています。週労働時間が短く、土日休みが当たり前、在宅勤務も実現可能。これが「働き方満足度4.5→7.2」という1.6倍の改善の正体です。
本記事のポイント:
- 週労働時間「30時間未満」44.2%、教員時代の半分以下
- 土日勤務「ほぼない」66.3%、教員時代の土日部活地獄から解放
- 在宅勤務「あり」47.1%、教員時代は不可能だった働き方
- 「時間・場所・関係性・学びの自由」を手に入れた退職者多数
- 「複業」が新しいスタンダード、1社依存しない働き方が広がる
退職を検討する教員は、「働き方の自由」を一度真剣に試算してみてください。Re-Careerは、その判断に伴走します。
