教員の定年は何歳?55歳・60歳・65歳で変わる給料と再任用|段階引き上げ早見表【公立】
公立学校の教員の定年は、国の定年を基準に自治体の条例で決まります。国の基準では2026年度は62歳で、2年ごとに1歳ずつ上がり、2031年度から65歳です。55歳を超えた後の昇給、60歳を過ぎて7割になる給料、再任用まで条文で確認しました。
「教員の定年って、結局何歳なの?」「55歳で定年と聞いたけれど本当?」。調べると情報がばらばらで、混乱しやすいテーマです。それもそのはずで、定年そのものは条例で決まり、しかもいまは引き上げの途中です。生まれた年によって、定年の年齢が違います。
この記事では、国の法律と、例として東京都の条例の本文を読み、①自分の定年は何歳か(生年月日の早見表)②55歳と60歳で給料の何が変わるのか(号給と昇給の仕組み)③60歳以降にどんな働き方を選べるのか、を順番に整理します。辞める・続ける・働き方を変える、どれを選ぶにしても、まず「自分の場合はどうなっているか」を知るところから始めてみてください。
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
⏱️ 30秒でわかる結論
教員の定年は条例で決まる。国の基準では2031年度に65歳へ
いまの定年国の基準では2025年4月〜2027年3月は62歳。東京都の条例も同じ
65歳になる人1967年4月2日以降に生まれた人(国の基準・東京都の条例の場合)
55歳定年ではなく昇給の区切り。55歳を超えると標準の成績では昇給しない(国・東京都)
60歳60歳を超えた最初の4月1日から給料月額が7割(国の給与法・東京都の条例)
働き方定年まで常勤/短時間勤務(定年前再任用)/定年後の再任用/退職、から選べる(再任用は選考あり)
目次
教員の定年は何歳?結論:いまは62歳、2031年度から65歳(国の基準)

結論から書きます。公立学校の教員の定年は、全国一律の法律で「何歳」と決まっているわけではありません。
地方公務員法 第28条の6は、職員は定年に達した日以後の最初の3月31日までの間で条例で定める日に退職すると定め、その定年は「国の職員につき定められている定年を基準として条例で定める」としています。つまり、国の定年が物差しになり、実際の年齢は都道府県・政令市などの条例が決める、という仕組みです。
では、その物差しである国の定年は何歳か。国家公務員法 第81条の6第2項は、定年を「年齢六十五年」と定めています。ただし、いきなり65歳になったわけではありません。同法の附則第8条で、次のように2年ごとに1歳ずつ引き上げる経過措置が置かれています。
| 期間 | 国の定年 |
|---|---|
| 2023年3月31日まで(令和4年度まで) | 60歳(改正前の制度) |
| 2023年4月1日〜2025年3月31日(令和5〜6年度) | 61歳 |
| 2025年4月1日〜2027年3月31日(令和7〜8年度) | 62歳 |
| 2027年4月1日〜2029年3月31日(令和9〜10年度) | 63歳 |
| 2029年4月1日〜2031年3月31日(令和11〜12年度) | 64歳 |
| 2031年4月1日以降(令和13年度〜) | 65歳 |
出典:国家公務員法 第81条の6、附則第8条。改正前の定年60歳は、国家公務員法等の一部を改正する法律(令和3年法律第61号)の施行(2023年4月1日)前の制度です。
地方の側も、地方公務員法の附則で「令和5年4月1日から令和13年3月31日までの間」の定年について、国の特例を基準に条例で特例を定めるとされています。例として東京都「職員の定年等に関する条例」を見ると、第3条で定年を65歳とし、附則第7項で国と同じ61歳・62歳・63歳・64歳の段階を置いています。この条例は、区市町村立学校の教職員(市町村立学校職員給与負担法に規定する職員)も対象に含むと第1条で定めています。
ですから、「教員の定年は60歳」は、2023年3月までの話です。いま在職中の方にとっては、生まれた年度によって62歳〜65歳のどれかになります(定年61歳だった1963年4月2日〜1964年4月1日生まれの方は、2025年3月31日に定年退職日を迎えています)。
ここだけは自治体ごとに確認
地方公務員法は、職務の特殊性や欠員補充の難しさがある職については、条例で別の定めをすることも認めています(第28条の6第3項)。なお、臨時的に任用される職員(常勤講師など)や非常勤職員には、この定年の規定は適用されません(同条第4項)。正規の教員の定年が国と同じスケジュールかどうかは、勤務先の都道府県・政令市の「職員の定年等に関する条例」か、教育委員会からの案内で確認してください。
教員の定年早見表:生年月日でわかる定年と退職日

定年は「その年齢に達した日以後の最初の3月31日」に退職、というルールなので、何年度に何歳になるかで決まります。国の段階引き上げ(東京都の条例も同じ)に当てはめると、生年月日ごとの定年と定年退職日は次のとおりです。
| 生年月日 | 定年 | 定年退職日 |
|---|---|---|
| 1962年4月2日〜1963年4月1日 | 60歳 | 2023年3月31日 |
| 1963年4月2日〜1964年4月1日 | 61歳 | 2025年3月31日 |
| 1964年4月2日〜1965年4月1日 | 62歳 | 2027年3月31日 |
| 1965年4月2日〜1966年4月1日 | 63歳 | 2029年3月31日 |
| 1966年4月2日〜1967年4月1日 | 64歳 | 2031年3月31日 |
| 1967年4月2日以降 | 65歳 | 65歳に達した日以後の最初の3月31日 |
国家公務員法 附則第8条のスケジュールを、生年月日の区分に当てはめて当社で作成。年齢は誕生日の前日に1つ加わる扱いのため、4月1日生まれの方は前の区分に入ります。勤務先の自治体の条例が国と異なる定めをしている場合は、条例が優先します。
たとえば1964年4月2日〜1965年4月1日生まれの方は、2025年度中に61歳になりますが、そのときの定年は62歳なので退職にはなりません。2026年度中に62歳になり、2027年3月31日が定年退職日になります。
1967年4月2日以降に生まれた方は、定年が65歳です。
同じ職員室に、定年が違う人がいる
段階引き上げの期間中は、同じ職員室に「定年が62歳の先輩」と「定年が65歳の後輩」がいる、という状態になります。定年が近い先輩の話を聞くときは、先輩と自分とでは定年も、60歳以降の選択肢も違うことを前提にしておくと、話がかみ合いやすいと思います。
定年後の準備や、60代の働き方の選択肢そのものは、50代教員の定年後セカンドキャリア|退職前に始める準備チェックリストで詳しくまとめています。この記事では、制度の事実(何歳で何が変わるか)に絞って進めます。
「教員 定年 55歳」の正体:55歳で変わるのは定年ではなく昇給

「教員 定年 55歳」と検索する方がいます。結論から言うと、公立学校の教員に「55歳定年」という制度はありません。前の章で見たとおり、定年は国の基準で、いま在職中の方なら62〜65歳です。
それでも55歳という数字が出てくるのは、55歳が「昇給の扱いが変わる年齢」だからだと考えられます。
国の制度:55歳を超えると「特に良好」なときだけ昇給
一般職の職員の給与に関する法律(給与法) 第8条第8項は、55歳を超える職員(一部の職員を除く)の昇給は、勤務成績が「特に良好である場合」に限り行う、と定めています。さらに人事院規則9-8の昇給号俸数表では、55歳を超える職員の昇給の号俸数は、昇給区分に応じて次のようになっています。
| 昇給区分 | 55歳以下 | 55歳を超える職員 |
|---|---|---|
| A(極めて良好) | 8号俸以上 | 2号俸以上 |
| B(特に良好) | 6号俸 | 1号俸 |
| C(良好=標準) | 4号俸 | 0 |
| D(やや良好でない) | 2号俸 | 0 |
| E(良好でない) | 0 | 0 |
出典:人事院規則9-8 第37条・別表第七の四(行政職俸給表(一)7級以下職員等の表)。国家公務員の制度です。
つまり国の制度では、標準的な評価(C)なら55歳を超えると昇給は0になります。
教員の場合:例として東京都の条例
公立学校の教員の給与は、教育公務員特例法 第13条により「条例で定める」ことになっています。例として東京都「学校職員の給与に関する条例」を見ると、第8条第3項で良好な成績で勤務した職員の昇給を「四号給」を標準とし、第4項で「四月一日に五十五歳」を超える職員については、その「四号給」を「零」と読み替えると定めています。
東京都の条例では、4月1日時点で55歳を超えていると、標準の成績での昇給の号給数が0、ということです。より上の評価のときにどれだけ昇給するかは、同条例の委任を受けた教育委員会規則などで定められています。
55歳の意味は3つに分けて考える
・定年:55歳ではない。国の基準では、いま在職中の方は62〜65歳(生まれた年度による)
・昇給:55歳を超えると、標準の成績では昇給しない(国・東京都の条例の場合)
・それ以外(早期退職など):退職手当の扱いは自治体の条例で決まるので、教育委員会の案内で確認する
教員の給料はどう上がる?号給と昇給の仕組み

「教員 給料 上がり方」「教員 号給 上がり方」で調べている方向けに、給料が上がる仕組みそのものを整理します。金額は自治体の給料表で違うので、ここでは書きません。仕組みがわかれば、自分の給料表を見たときに読み解けるようになります。
給料表は「級」×「号給」でできている
公務員の給料表は、縦に号給(同じ仕事の中での段階)、横に級(職務の重さの段階)が並んだ表です。国の給与法では「号俸」、東京都の条例では「号給」と呼んでいます。
級がどの職に当たるかは、条例で決まっています。例として東京都「学校職員の給与に関する条例」の等級別基準職務表(教育職給料表)を見ると、次のとおりです。
| 職務の級 | 基準となる職務(東京都の条例) |
|---|---|
| 1級 | 助教諭、養護助教諭、講師 など |
| 2級 | 教諭、養護教諭、栄養教諭 など |
| 3級 | 主務教諭 |
| 4級 | 主幹教諭、指導教諭 |
| 5級 | 副校長、教頭 |
| 6級 | 校長 |
出典:東京都「学校職員の給与に関する条例」別表第一(小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の職務)。他の自治体では級の区分や職名が異なります。
給料が上がる2つのルート:昇給と昇格
給料が上がる道は、大きく2つです。
①昇給:同じ級の中で、号給が上がること。毎年の勤務成績に応じて行われます。
②昇格:級が上がること。たとえば東京都の条例では、教諭(2級)から主幹教諭(4級)になると級が変わります。
「主幹教諭になると給料は上がるの?」という疑問は、この②の話です。級が変わると、使う給料表の列が変わります。昇格したときにどの号給に位置づけられるかも、国は人事院規則、東京都は教育委員会規則で定めることになっています(給与法 第8条第5項、東京都の条例 第8条第1項)。
昇給はいつ?何号上がる?
国の制度では、一般職の職員の給与に関する法律(給与法) 第8条第6項が「人事院規則で定める日」に、その前の1年間の勤務成績に応じて昇給を行うと定め、人事院規則9-8 第34条がその日を毎年1月1日、評価の区切り(評価終了日)をその前の9月30日としています。
昇給の幅は、給与法 第8条第7項で「良好な成績で勤務した職員」を4号俸とすることが標準とされ、前の章の表のとおり、評価に応じて8号俸以上から0まで分かれます。
公立学校の教員の場合、昇給の日や基準は各自治体の条例・規則で決まります。東京都の条例では、昇給を行う日や評価の期間を「教育委員会規則で定める」とし、標準は4号給としています。自分の昇給日がいつかは、勤務先の給与の規則か、学校の事務職員・教育委員会の給与担当に確認してください。
給料を上げる別の話:給特法の改正
教職調整額の引き上げなど、制度改正で教員全体の給料が上がる話は、毎年の昇給とは別の仕組みです。こちらは給特法改正で教員の給料は本当に上がるのかで解説しています。
60歳を超えると教員の給料は7割に:いつから・何が変わるか

定年が延びたのと同時に入ったのが、60歳を超えた職員の給料を7割にする措置です。「当分の間」の措置として置かれています。
国の制度
一般職の職員の給与に関する法律(給与法) 附則第8項は、当分の間、職員の俸給月額は、60歳に達した日後における最初の4月1日以後、その職員の級・号俸に応じた額に「百分の七十」を掛けた額とする、と定めています。
ポイントは「60歳の誕生日から」ではなく、60歳になった後の最初の4月1日からという点です。たとえば1966年4月2日〜1967年4月1日生まれの方なら、2027年4月1日からが対象になります。
教員の場合:例として東京都の条例
東京都「学校職員の給与に関する条例」 付則第9項も、当分の間、職員の給料月額は、60歳に達した日後の最初の4月1日以後、級と号給に応じた額に百分の七十を掛けた額とする、と定めています。付則第11項で、臨時的に任用される職員や非常勤職員などには適用しないとしています。
この7割の措置は、国家公務員と同じ扱いを各自治体が条例で定めるよう、総務省が示しているものです。自分の場合は、勤務先の給与条例で確認してください。
「7割」になるのは給料月額
国の給与法の附則が7割にするとしているのは「俸給月額」、東京都の条例では「給料月額」です。手当やボーナス(期末・勤勉手当)がどう計算されるかは、それぞれの規定によります。年収が単純に7割になる、とは言い切れません。自分の場合の見込みは、次の章で触れる「60歳前の情報提供」で示される内容を確認するのが確実です。
もう一つ、見落としやすいのが退職金です。国の制度では、60歳に達した日から定年の前日までの間に、非違によらずに退職した場合、退職手当の基本額を「その日に定年で退職したと仮定した場合の額」と同じにする特例があります(国家公務員退職手当法 附則第12項〜第15項。国家公務員法 附則第9条が、60歳前に職員へ知らせる内容として挙げています)。地方の教員の退職手当は条例で決まるので、自分の自治体の扱いを確認してください。退職金の額の目安は、教員の退職金はいくら?勤続年数別の手取り早見表でまとめています。
「定年までしないといけない職業ではありません どの仕事も、自分が何のためにしているのか、自分が将来どうなりたいのかを考えながら、自分のライフプランを考えてほしいです 魅力ある仕事をどういう形で締めくくるか考えおくといいと思います」
——50代以上・元小学校教員・男性(元教員キャリア実態調査2026 自由記述)
60歳以降の教員の働き方:定年まで・短時間勤務・再任用・退職

定年が延びたことで、60歳以降の選び方が増えました。制度として用意されている道を、条文の順に並べます。どれが正解ということはありません。
①定年まで常勤で働く
いまの職のまま、定年まで勤める道です。前の章のとおり、60歳を超えた最初の4月1日からは給料月額が7割になります(国・東京都の条例の場合)。
②役職定年(管理職の方)
管理職の方には、もう一つ区切りがあります。地方公務員法 第28条の2は、管理監督職(管理職手当を支給される職員の職と、これに準ずる職で条例で定める職)に就いている職員が「管理監督職勤務上限年齢」に達したら、その後の最初の4月1日までに管理監督職以外の職などへ降任・転任させる、と定めています(いわゆる役職定年)。上限年齢も対象の職も条例で決まり、東京都「職員の定年等に関する条例」では上限年齢を原則60歳としています。管理職の給料と役職定年の詳しい話は、教頭・校長の給料はどう変わる?|管理職手当と教職調整額、在校時間・役職定年まででまとめています。
③定年前再任用短時間勤務(60歳以降に退職→短時間勤務で再採用)
地方公務員法 第22条の4による制度です。条例で定める年齢(国の基準は60歳。東京都「職員の定年等に関する条例」第13条も60歳)以後に退職した人を、選考により短時間勤務の職に採用できる、というものです。任期は定年退職日に当たる日までです。
給料は、国の給与法 第8条第12項・東京都の条例 第8条第9項とも、定年前再任用短時間勤務職員用の基準額に、勤務時間の割合を掛けて決める仕組みです。「フルタイムは体力的にきついけれど、学校には関わりたい」という方の選択肢になります。選考があるので、希望すれば必ず採用されるものではありません。
④定年退職後の再任用(暫定再任用)
定年が65歳になりきるまでの間の経過措置です。地方公務員法の一部を改正する法律(令和3年法律第63号)附則第4条により、定年で退職した人などを、選考により1年以内の任期で常勤の職に採用でき、任期は更新もできます。同じ経過措置で、短時間勤務の職に採用する形(暫定再任用短時間勤務)も置かれています(同法附則第6条)。任期の末日は、条例で定める年齢(国の基準は65歳)に達した年度の末日までです。定年退職した人を採用できるのは、2032年3月31日(令和14年3月31日)までとされています。
⑤定年前に退職する
定年を待たずに退職する道もあります。私自身も、公立中学校で11年勤めたあと、2020年に定年を待たずに退職しました。60歳以降に辞める場合の退職金の扱いは前の章のとおり自治体の条例次第なので、辞める前に確認しておくと安心です。
定年後に非常勤講師などとして学校に関わる道もあります。講師の任用の仕組みは自治体ごとに違うので、学校ではたらく(講師登録の窓口まとめ)で各地の窓口を確認できます。
自分の定年と60歳以降の給料を確かめる3つの方法

ここまで見てきたとおり、定年も60歳以降の給料も、最終的には自治体の条例で決まります。ネットの記事(この記事も含めて)で全国の話を読むより、自分の自治体の一次情報を見るのが確実です。確かめ方は3つあります。
方法1:60歳になる前年度の「情報提供」を待つ・求める
地方公務員法の附則は、任命権者が、職員が条例で定める年齢(東京都「職員の定年等に関する条例」では60歳)に達する年度の前年度に、60歳以降の任用・給与の措置の内容などの情報を提供し、60歳以降も勤務する意思を確認するよう努める、としています。
59歳になる年度(自治体によって違います)には、教育委員会から60歳以降の働き方の説明があるはずです。案内が来ていない、内容がわからないときは、管理職や教育委員会に聞いてかまいません。
方法2:条例を読む
都道府県・政令市の例規集で、次の2つを探します。
「職員の定年等に関する条例」(定年・役職定年・定年前再任用)
「学校職員の給与に関する条例」(昇給・55歳・60歳の7割。名称は自治体によって違います)
条例の本文は硬いですが、この記事で出てきた「附則」「付則」の部分に経過措置がまとまっていることが多く、見るところがわかっていれば読めます。
方法3:学校の事務職員・教育委員会の給与担当に聞く
自分がいま何級何号給か、次の昇給はいつか、60歳以降の給料の見込みはどうか。これらは、学校の事務職員や教育委員会の給与担当が一番詳しく知っています。聞きにくいことではありません。「定年後の生活設計のために知りたい」と伝えれば十分です。
年金の見込みも合わせて考えたい方は、教員の年金は月いくら?も参考にしてください。
定年まで働く?その前に動く?50代以上の元教員の声

最後に、制度ではなく「人」の話を少しだけ。当社が実施した元教員キャリア実態調査2026(元教員107名が回答)の自由記述から、回答時点で50代以上の方の言葉を紹介します。
「次への準備をせずに退職してしまったことが、経済的な不安定さもあり少し心残りです。十分な準備をしてからの退職であれば、安心感が違ったのかとも感じています。」
——50代以上・元特別支援学校教員・女性(元教員キャリア実態調査2026 自由記述)
「折を見て、自分を守る、育てるための勉強なり資格習得なりをされることを薦めます。」
——50代以上・元中学校教員・男性(元教員キャリア実態調査2026 自由記述)
「これまで積み重ねてきた経験は、形を変えて必ず次に生きてきます。」
——50代以上・元小学校教員・男性(元教員キャリア実態調査2026 自由記述)
定年が65歳に延びたことは、「65歳まで働かなければならない」という意味ではありません。65歳まで働ける選択肢が増えた、ということです。
定年まで勤め上げるのも、60歳で短時間勤務に切り替えるのも、定年を待たずに次の道へ進むのも、どれも本人が選んでいい道です。延べ1,000名以上のキャリア支援に携わってきた元教員として私がお伝えしたいのは、どの道を選ぶにしても、制度を知ったうえで選んでほしいということです。
まずは自分の定年が何歳で、55歳と60歳で給料がどう変わるのか。そこを確かめるだけでも、これからの数年間の見え方が変わると思います。
よくある質問
Q. 教員の定年は今何歳ですか?
A. 国の定年を基準にすると、2025年4月1日から2027年3月31日までは62歳です。公立学校の教員の定年は、国の定年を基準に各自治体の条例で決まります。東京都の条例も国と同じ段階で引き上げています。勤務先の自治体の「職員の定年等に関する条例」か教育委員会の案内で確認してください。
Q. 教員の定年は55歳ですか?
A. いいえ。公立学校の教員に55歳の定年はありません。55歳は、国の制度や東京都などの条例で、昇給の扱いが変わる年齢です。国の給与法では55歳を超える職員の昇給は勤務成績が特に良好な場合に限られ、東京都の学校職員の給与に関する条例では、4月1日に55歳を超える職員の標準の昇給の号給数が零とされています。
Q. 定年が65歳になるのは何年生まれからですか?
A. 国の段階引き上げのスケジュール(東京都の条例も同じ)に当てはめると、1967年4月2日以降に生まれた方の定年が65歳です。1966年4月2日から1967年4月1日生まれの方は64歳、1965年4月2日から1966年4月1日生まれの方は63歳です。自治体の条例が国と違う定めをしている場合は条例が優先します。
Q. 60歳を過ぎると教員の給料は本当に7割になりますか?
A. 国の給与法の附則では、60歳に達した日後の最初の4月1日から、俸給月額を級と号俸に応じた額の100分の70にするとしています。東京都の学校職員の給与に関する条例の付則も同じ内容です。7割になるのは給料月額で、手当やボーナスの計算はそれぞれの規定によります。地方の教員は勤務先の給与条例で確認してください。
Q. 教員の昇給はいつですか?
A. 国家公務員は人事院規則で毎年1月1日が昇給日と定められています。公立学校の教員の給与は条例で定めることになっており、昇給の日も自治体の条例・規則で決まります。東京都の条例では教育委員会規則で定めるとしています。勤務先の給与の規則か、学校の事務職員・教育委員会の給与担当に確認してください。
Q. 定年前再任用短時間勤務と再任用の違いは何ですか?
A. 定年前再任用短時間勤務は、60歳(国の基準。地方は条例で定める年齢)以後に退職した人を、選考により短時間勤務の職に採用する制度で、任期は定年退職日に当たる日までです。再任用(暫定再任用)は、定年で退職した人などを選考により1年以内の任期で採用する経過措置で、常勤の職のほか短時間勤務の職への採用もあります。施行日以後に定年退職した人を採用できるのは2032年3月31日までです。
まとめ
・公立学校の教員の定年は、国の定年を基準に自治体の条例で決まる。全国一律の法律で何歳と決まっているわけではない
・国の定年は2023年度から2年ごとに1歳ずつ上がり、2025年4月〜2027年3月は62歳、2031年4月から65歳。東京都の条例も同じ段階
・1967年4月2日以降に生まれた人は定年65歳(国の基準・東京都の条例の場合)
・「55歳定年」はない。55歳を超えると、標準の成績では昇給しなくなる(国・東京都の条例)
・給料は級×号給で決まる。同じ級の中で号給が上がるのが昇給、級が上がるのが昇格。国の昇給日は1月1日、標準は4号俸
・60歳に達した後の最初の4月1日から、給料月額は7割(国の給与法・東京都の条例)
・60歳以降は、定年まで常勤/定年前再任用短時間勤務/暫定再任用/退職、から選べる(定年前再任用短時間勤務・暫定再任用は選考あり)。役職定年は管理職の方の区切り
・自分の場合は、60歳前年度の情報提供・条例・事務職員や給与担当で確かめる。知ったうえで、続ける・変える・辞めるを選べばいい
