教員が休職したら給料はいくら?病気休暇・休職・傷病手当金の順番と計算式【公立・私立】
教員が休職したときの給料は、「病気休暇」「休職」「共済の傷病手当金」の3段階で決まります。ただし、病気休暇で満額の日数は条例や条例に基づく規則、休職1年目の給与の割合と最長期間は条例で決まり、全国共通ではなく勤務先の都道府県などで違います。
この記事では、全国共通で言えること(共済の傷病手当金の計算式と期間)と、自治体ごとに違うこと(病気休暇・休職中の給与)を分けて書きます。自治体ごとに違う部分は、国家公務員の法律と東京都の条例を「例」として条文つきで並べました。
読み終えたときに、「自分の場合はどこに何を聞けば数字が出るか」がわかる状態を目指します。体調がつらいときは、先に「30秒でわかる結論」だけ読んで、残りはあとからで大丈夫です。
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
⏱️ 30秒でわかる結論
休職中のお金は「病気休暇→休職→傷病手当金」の順に切り替わる。割合と日数は条例で確認する
順番病気休暇(休暇)→ 休職(分限)→ 給与が減る・止まると共済の傷病手当金
全国共通傷病手当金は1日あたり「標準報酬の月額の平均÷22」の3分の2、通算1年6か月(地方公務員等共済組合法68条)
自治体で違う病気休暇で満額の日数(条例や条例に基づく規則)、休職中の給与の割合と休職の最長期間(条例)
足し算しない給与が出ている間、傷病手当金はその分支給されない(同法71条)
私立の先生勤務先の就業規則+私学共済(日額の80%)または健康保険(計算式が違う)
結論|教員が休職したときの給料は「病気休暇→休職→傷病手当金」の3段階

最初に全体の地図を置きます。公立学校の先生が病気で学校を休むとき、お金の仕組みは次の3つの層に分かれています。
| 段階 | 何の制度か | 誰が決めるか |
|---|---|---|
| ① 病気休暇 | 休暇(勤務条件の一つ) | 勤務先の自治体の条例・規則 |
| ② 休職 | 地方公務員法28条2項1号の休職(心身の故障のため、長期の休養を要する場合) | 休職の効果(給与など)は条例 |
| ③ 傷病手当金 | 共済組合の給付 | 地方公務員等共済組合法68条(全国共通の法律) |
①と②は「給与をいくら出すか」の話で、決めるのは自治体です。地方公務員法は、職員の給与や勤務条件は条例で定める(24条5項)、休職の手続と効果も条例で定める(28条3項)としています。
政令指定都市以外の市町村立の小・中学校の先生(県費負担教職員)の給与や勤務条件は、都道府県の条例で定めることになっています(地方教育行政の組織及び運営に関する法律42条)。政令指定都市立の学校の先生は、市の条例です。つまり、同じ「公立の先生」でも、勤務先の都道府県などによって数字が変わりうる、ということです。
一方で③の傷病手当金は、共済組合が出すお金で、計算式と期間は法律で決まっています。ここだけは全国共通の話として書けます。
ネットで「病休は90日満額、休職1年目は8割、最長3年」とひとまとめに書かれているのを見かけることがあります。これは国家公務員や一部の自治体の仕組みと重なる数字ですが、あなたの自治体の数字だと確認できたものではありません。次の章から、条文で確認できたものだけを並べていきます。
出典:地方公務員法 24条・28条(e-Gov)/地方教育行政の組織及び運営に関する法律 42条(e-Gov)/地方公務員等共済組合法 68条(e-Gov)
病気休暇中の給料|満額が出る日数は条例・規則で決まる

病気休暇は「休暇」です。承認された休暇の日は、給与を減らさない、という作りになっています。問題は「何日までなら減らないのか」で、ここが条例・規則で決まります。
例として、国家公務員と東京都の学校職員の規定を並べます。どちらも「90日」という数字が出てきますが、中身の書き方は同じではありません。
| 項目 | 国家公務員(参考) | 東京都の学校職員(例) |
|---|---|---|
| 給与が減らない範囲 | 休暇による場合は減額しない(給与法15条) | 病気休暇は「教育委員会規則で定める日数」を限度に減額しない(学校職員の給与に関する条例16条) |
| 「90日」の意味 | 取得できる期間の上限。公務外の病気などの病気休暇は、原則として連続90日を超えることができない(人事院規則15-14 第21条) | 給与を減額しない日数の限度。「一回について、引き続く九十日」(同条例施行規則7条の2) |
| その先 | 療養のため病気休暇の開始日から90日を超えて引き続き勤務しないときは、その後の日の俸給の半額を減ずる(給与法附則6項) | 規則の日数を超えた病気休暇は、条例16条の「減額しない」の範囲から外れる |
国家公務員の「90日を超えたら俸給が半額」という仕組みは、国の給与法の附則にある規定です。これをそのまま地方の先生に当てはめることはできません。
東京都の学校職員では、減額されない病気休暇は「一回について、引き続く九十日」までと規則に書かれています。そこから先がどう扱われるか(休職に切り替わるのか、別の定めがあるのか)は、個別の事情と都の運用によるので、この記事では断定しません。
大事なのは、「90日」という数字が同じでも、その先の扱いは制度ごとに違うということです。ほかの道府県の先生は、自分の自治体の「学校職員の給与に関する条例」とその施行規則(名前は自治体によって違います)で、給与が減らない病気休暇の日数を確認してください。
病気休暇中に傷病手当金は出る?
給与が満額出ている日は、共済の傷病手当金は支給されません(地方公務員等共済組合法71条。くわしくは3つ後の章)。
反対に、病気休暇でも給与が減った日があれば、その分について傷病手当金が出る可能性があります。「病気休暇だから関係ない」と決めつけず、減額があった月は共済の支部に確認しましょう。
出典:一般職の職員の給与に関する法律 15条・附則6項(e-Gov)/人事院規則15-14 第21条(e-Gov)/東京都 学校職員の給与に関する条例 16条/東京都 学校職員の給与に関する条例施行規則 7条の2
休職中の給料|1年目の割合と最長期間は自治体の条例で違う

病気休暇のあと、さらに長く休む必要があるときに使われるのが「休職」です。地方公務員法28条2項1号の「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」にあたります。
休職は身分を残したまま職務から離れる扱いで、給与は「条例で定めた分だけ」出ます。東京都の分限条例は、休職者は条例で別段の定めをしない限り、いかなる給与も支給されないとしています(職員の分限に関する条例5条2項)。
では、条例でどれだけ定めているのか。ここも国と東京都を例に並べます。
| 項目 | 国家公務員(参考) | 東京都の学校職員(例) |
|---|---|---|
| 休職中の給与 | 満1年に達するまで、俸給・扶養手当・地域手当・広域異動手当・研究員調整手当・住居手当・期末手当のそれぞれ100分の80を支給することができる(給与法23条3項) | 満1年に達するまで、給料・扶養手当・地域手当・住居手当のそれぞれ100分の80(学校職員の給与に関する条例22条1項2号) |
| 1年を超えた後 | 23条に定める給与を除くほか、いかなる給与も支給しない(同条6項)。結核性疾患・公務上・通勤による休職を除き、満1年を超えた期間の支給規定はない | 22条1項2号の80%は「満一年に達するまで」。それ以降の支給規定は同号にない(結核性疾患による休職は同項1号で休職期間中100分の100) |
| 休職の最長期間 | 3年を超えない範囲内で任命権者が定める(人事院規則11-4 第5条) | 3年を超えない範囲内で任命権者が定める。復職から1年以内に同じ病気で再び休職したときは、前の休職期間と通算して3年(職員の分限に関する条例4条) |
条文を読むと、次の3点が見えてきます。
・「1年目は8割」は、国と東京都では条文で確認できました。ただし条文は「支給することができる」という書き方です。
・80%の対象は、列挙された給料と手当だけです。東京都の条例22条の列挙には通勤手当は入っていません。
・国と東京都では、結核性疾患や公務上や通勤による病気・けがによる休職を除き、満1年を過ぎると、条例・法律からの給与の支給規定がなくなります。ここから先の生活を支えるのが、次の章の傷病手当金です。
ほかの道府県の先生は、休職中の給与は「学校職員の給与に関する条例」の「休職者の給与」の条文、最長期間は「分限に関する条例」で確認できます。割合や期間が国や東京都と同じかどうかは、条文を見るまでわかりません。
この記事の対象外のもの
・結核性疾患による休職は、教育公務員特例法14条で別の扱いです(休職期間は満2年。任命権者が特に必要があると認めるときは、予算の範囲内において満3年まで延長できます。休職中は給与の全額を支給)。
・公務上の病気やけが、通勤による病気やけがは、公務災害・通勤災害として別の制度で扱われます。
出典:地方公務員法 28条(e-Gov)/一般職の職員の給与に関する法律 23条(e-Gov)/人事院規則11-4 第5条(e-Gov)/東京都 学校職員の給与に関する条例 22条/東京都 職員の分限に関する条例 4条・5条/教育公務員特例法 14条(e-Gov)
共済の傷病手当金はいくら?計算式と「給与との調整」

公立学校の先生は、公立学校共済組合の組合員です(地方公務員等共済組合法3条1項2号)。給与が減ったり止まったりしたときに生活を支えるのが、共済の傷病手当金です。ここは法律で決まっているので、全国共通の話として書けます。
いつから・いくら・いつまで
| 項目 | 内容(地方公務員等共済組合法68条) |
|---|---|
| いつから | 勤務に服することができなくなった日以後3日を経過した日から(=4日目から) |
| 1日あたりの額 | 支給を始める日の属する月以前の直近12か月の「標準報酬の月額」の平均額の22分の1の、3分の2 |
| 支給期間 | 同じ病気・けがについて通算1年6か月(結核性の病気は3年) |
| 公立学校共済組合の上乗せ | 1年6か月に、附加給付として6か月を加算(公立学校共済組合の案内) |
「標準報酬の月額」は、給料と手当(期末手当・勤勉手当などは除く)を合わせた報酬月額を、法律の等級表に当てはめた額です(同法2条1項5号・43条)。毎月の掛金の計算にも使われている額です。
計算例(数字は仮のもの)
直近12か月の標準報酬の月額がずっと36万円だった人で計算してみます。36万円は、短期給付の等級表にある月額の一つです(同法43条)。
・36万円 ÷ 22 = 16,363.6…円 → 68条の端数処理で 16,360円
・16,360円 × 3分の2 = 10,906.6…円 → 端数処理で 1日 10,907円
・支給対象の日が20日ある月なら、10,907円 × 20日 = 218,140円
支給対象になる日の数え方は、共済の案内で確認してください。たとえば公立学校共済組合大阪支部のQ&Aでは、週休日である土曜日・日曜日は支給対象にならないと説明されています。
いちばん大事なこと:給与と足し算にはならない
地方公務員等共済組合法71条は、傷病手当金の支給期間に報酬の全部または一部を受ける場合は、その受ける金額を基準に、傷病手当金の全部または一部を支給しない、としています。公立学校共済組合の案内も、報酬が支給されている場合はその額を控除した額になる、と説明しています。
つまり、病気休暇で給与が満額出ている間は、傷病手当金は出ません。休職1年目に給与の一部が出ている間は、その給与の額に応じて傷病手当金が減らされます。「給与の8割+傷病手当金」という足し算にはなりません。
給与の一部が出ている期間に傷病手当金がいくら出るか(あるいは出ないか)は、実際に支給される給与の額と標準報酬の額の関係で決まります。自分で計算するのは難しいので、共済組合の支部に聞くのが確実です。大阪支部は「傷病手当金試算シート」を案内しています。
知っておくと安心な3つのこと
・1年6か月は「満額の給与が出ていた期間」には食い込まない。68条4項は、4日目の時点で71条により全部支給しないときは「支給を始めた日」から通算する、としています。大阪支部のQ&Aでも、途中で出勤した日数は1年6か月に含まれないと説明されています。
・傷病手当金に税金はかからない。同法52条は、組合の給付を標準として租税その他の公課を課することはできないとしています(退職年金・公務遺族年金・休業手当金は例外)。
・無給になっても共済の掛金はかかる。大阪支部のQ&Aでは、給与から掛金を控除できないときは振込用紙で払い込むか、依頼書を出して傷病手当金から控除できると案内しています。
出典:地方公務員等共済組合法 3条・43条・52条・68条・71条(e-Gov)/公立学校共済組合「傷病手当金/傷病手当金附加金」/公立学校共済組合大阪支部「傷病手当金/傷病手当金附加金の請求手続き」
ボーナス・退職金・住民税|休職中に見落としやすいお金

毎月の給与以外にも、休職で動くお金があります。ここも「全国共通で言えること」と「自治体で違うこと」を分けます。
ボーナス(期末手当・勤勉手当)
国家公務員の場合、休職1年目の80%支給の対象に「期末手当」は入っていますが、「勤勉手当」は入っていません(給与法23条3項)。同条6項は、休職者には23条に定める給与のほかは支給しないとしています。
教員のボーナスの扱いは、勤務先の自治体の条例と規則で決まります。東京都の学校職員の場合、勤勉手当の支給割合のもとになる「期間率」は、基準日(6月1日・12月1日)以前6か月の「勤務期間」で決まります。この勤務期間から、病気休暇で勤務しなかった期間は日数にかかわらず除かれ、休職の期間も除かれます(学校職員の勤勉手当に関する規則3条の3第2項8号・10号)。除いたあとの勤務期間が175日以上なら期間率は100分の100で、175日未満になると段階的に下がり、0日なら0です(同規則3条の2)。また、給与の出ない休職のまま基準日を迎えた場合、その回の勤勉手当は支給されません(同規則2条1項3号)。期末手当の扱いと、ほかの自治体の扱いはこの記事では確認しきれていないため、割合は書きません。給与担当に「◯月から◯日間休んだ場合、次の期末・勤勉手当はどうなりますか」と、期間を示して聞くのがいちばん早いです。
退職金(退職手当)
国家公務員の場合、休職などで1日も職務に就くことを要しなかった月(「休職月等」。公務上の傷病による休職などは除く)は、その月数の2分の1が退職手当の勤続期間から差し引かれます(国家公務員退職手当法7条4項・6条の4)。
先生の退職手当は、都道府県などの退職手当条例で決まります。休職期間の差し引き方が国と同じか、また病気休暇の期間がどう扱われるかは、条例で確認してください。「病気休暇を取ったら退職金が減るのか」が気になる人は、退職手当の担当に直接聞くのが確実です。
住民税
個人住民税の所得割は、前年の1月1日から12月31日までの所得で計算されます(総務省)。休職して今年の給与が減っても、今年払う住民税は去年の所得が基準です。
給与が大きく減った月や無給の月に、住民税をどう払うか(給与から引けない分の扱い)は、給与担当か住んでいる市区町村に確認しておくと、あとで慌てずにすみます。
休職前にメモしておきたい「お金の確認リスト」
・病気休暇で給与が減らない日数と、その先の扱い(条例・規則)
・休職中の給与の割合と期間、対象になる手当(条例)
・標準報酬の月額と、傷病手当金の見込み額(共済の支部)
・共済掛金・住民税の払い方(給与担当・支部・市区町村)
・期末・勤勉手当と退職手当への影響(給与担当・退職手当の担当)
出典:一般職の職員の給与に関する法律 23条(e-Gov)/国家公務員退職手当法 6条の4・7条(e-Gov)/総務省「個人住民税」/東京都 学校職員の勤勉手当に関する規則 2条・3条の2・3条の3
私立学校の先生は?私学共済と健康保険で傷病手当金の計算が違う

私立学校の先生は、公立とはまったく別の仕組みです。病気で休んだときに給与をどれだけ出すか、休職を何年まで認めるかは、勤務先の学校法人の就業規則で決まります。まず就業規則の「休職」「病気休暇(私傷病休暇)」の条文を確認してください。
給与が減ったり止まったりしたときの傷病手当金は、加入している制度によって計算式が違います。学校法人に使用され報酬を受ける教職員は、私立学校教職員共済法14条で私学共済の加入者とされています。ただし、専任でない人など法律で加入者から除かれる人や、学校法人以外が設置する学校に勤める人は、別の制度に入っていることがあります。資格確認書や保険証の保険者名で確かめましょう。
| 項目 | 私学共済 | 健康保険(協会けんぽなど) |
|---|---|---|
| 1日あたりの額 | 直近12か月の標準報酬月額の平均額の22分の1の80%から、学校法人等が支払った報酬を差し引いた額 | 直近12か月の標準報酬月額の平均額の30分の1の3分の2(健康保険法99条)。報酬を受けられる期間は支給しない、少ないときは差額(108条) |
| いつから | 連続した休業3日経過後の4日目から | 労務に服することができなくなった日から3日を経過した日から |
| 期間 | 1年6か月(結核性は3年)+傷病手当金付加金6か月 | 支給を始めた日から通算1年6か月 |
| 退職後 | 引き続き1年以上加入者だった人は、条件を満たせば退職後も受けられる | 引き続き1年以上被保険者だった人は、資格を失う日の前日に受けているか、受けられる状態であれば継続(104条・協会けんぽの案内) |
同じく標準報酬月額が36万円だった場合で比べると、私学共済は 16,360円 × 80% = 約13,088円、健康保険は 36万円 ÷ 30 × 3分の2 = 8,000円 が1日あたりの額です。ただし、私学共済は土曜日・日曜日が支給の対象にならず、1日あたりの額の計算式もそれぞれ違うので、日額だけを並べて多い・少ないを判断しないでください。月にいくらになるかは、加入している制度に確認するのが確実です。
なお、私学共済の給付も健康保険の給付も、税金はかかりません(私立学校教職員共済法5条、健康保険法62条)。
出典:私立学校教職員共済法 5条・14条(e-Gov)/私学共済事業「傷病手当金」/健康保険法 62条・99条・104条・108条(e-Gov)/協会けんぽ「傷病手当金」
自分の休職中の給料を確かめる3つの手順

ここまで読んで「結局、自分はいくらなの?」と思った方へ。数字は、次の3か所に聞けば出てきます。体調がつらいときは、家族やパートナーに代わりに聞いてもらうのも一つの方法です。
手順1:自治体の条例・規則を見る
都道府県などの「例規集」をインターネットで検索し、次の3つを探します(名前は自治体によって違います。以下は東京都の例)。
・学校職員の給与に関する条例(休職者の給与、給与の減額)
・学校職員の給与に関する条例施行規則(病気休暇で減額しない日数)
・職員の分限に関する条例(休職の期間)
手順2:共済組合の支部に聞く
公立の先生は公立学校共済組合の、都道府県ごとの支部が窓口です。「標準報酬の月額はいくらか」「傷病手当金の見込み額」「無給の月の掛金の払い方」を聞けます。試算シートを用意している支部もあります。
手順3:学校の事務(給与担当)に聞く
学校の事務の方は、給与の手続きの窓口です。聞くときは、次のように期間を示すと答えが具体的になります。
・「◯月◯日から病気休暇を取った場合、給与が減らないのはいつまでですか」
・「休職になった場合、給与の割合と、対象になる手当を教えてください」
・「次の期末・勤勉手当は、休んだ期間でどう変わりますか」
・「傷病手当金の請求書は、どこから出せばいいですか」
管理職に話しづらいときは、事務の方や共済の支部に先に聞いてもかまいません。お金の見通しが立つだけで、「休む」という判断が少し軽くなる方もいると思います。
元教員107人の調査に見る「休職」と、その後の選択肢

Re-Careerでは、教員を退職した方を対象に「元教員キャリア実態調査2026」を行いました(調査期間:2026年2月〜5月、回答107人、記名式・氏名は非公開)。
この中で「教員時代に、病気休職の経験はありますか?」という問いに「あり」と答えた方は、107人中29人(27.1%)でした。回数は、1回が22人、2〜3回が6人、4回以上が1人です。調査全体の結果は 教員の病気休職率27%|独自調査 にまとめています。
| 休職・休業の合計期間(目安) | 人数(29人中) |
|---|---|
| 1〜3か月 | 6人 |
| 4〜6か月 | 5人 |
| 7〜12か月 | 6人 |
| 1年以上 | 12人 |
また、退職したときの状況を「病気休職中に退職」と答えた方は、107人中14人(13.1%)でした。休職の経験がある29人のうち、「退職を後悔していない」と答えた方は21人です。
ただし、これは退職した人だけに聞いた調査です。休職したあとに復職して、いまも教員を続けている方は含まれていません。「休職したら辞めることになる」という意味ではまったくありませんので、そのように読まないでください。
私自身も、公立中学校で英語を教えていたころに病休を取り、その後に退職しました。そのときのことは、「一度休むといけなくなる」は本当か|元教員が病休から復帰・退職を経験して見えたことに書いています。
調査の自由記述には、休職を経験した方から、いま現場にいる先生へのこんな言葉が寄せられました。
「自分を大切にしながら働いてほしい」
——50代以上・元中学校教員・女性(病気休職中に退職)
「とにかく、身体を大事にしてほしい。」
——50代以上・元小学校教員・女性(病気休職の経験あり)
「自分が大切にしていることを言語化しておくと、何かあって悩んだ際にも原点に戻ることができると思います。周りの目よりも自分の目を気にして欲しいです。」
——40代・元教員・女性(病気休職中に退職)
「僕は動画クリエイターとしてスタートしましたが、上手くいく月、そうではない月があり、お金の問題を解決してフリーランスになればよかったと思いました。」
——40代・元中学校教員・男性(病気休職の経験あり)
休職は、終わりではなく、立ち止まって考える時間でもあります。そのあとの道は、復職する・異動や働き方を変えて続ける・学校の外に出る、のどれでもかまいません。どの道を選ぶにしても、お金の見通しを先に立てておくと、焦って決めずにすみます。
・復職を考えている方は 教員のうつ病からの復職・転職完全ガイド
・退職後のお金(失業保険や退職手当)が気になる方は 教員が辞めたら失業保険はもらえる?公立は対象外でも届く5つのお金制度
・共済のほかの制度(医療・貸付など)を知りたい方は 公立学校共済組合で使える制度5つ
よくある質問
Q. 教員の病気休暇中の給料は満額ですか?
A. 承認された病気休暇は給与を減らさない作りですが、何日まで減らないかは勤務先の自治体の条例・規則で決まります。例として、東京都の学校職員は「一回について、引き続く九十日」まで減額されず、この日数を超えた病気休暇は条例16条の「減額しない」範囲から外れます(学校職員の給与に関する条例16条・同施行規則7条の2)。国家公務員の、療養のため90日を超えて引き続き勤務しないときに俸給の半額を減ずる規定(給与法附則6項)は国の仕組みで、そのまま地方の先生に当てはめることはできません。
Q. 休職1年目は給料の8割が出るというのは本当ですか?
A. 国家公務員(給与法23条3項)と東京都の学校職員(学校職員の給与に関する条例22条1項2号)では、休職期間が満1年に達するまで給料や一部の手当の100分の80を支給することができる、と定められています。全国一律の決まりではないので、自分の自治体の条例で確認してください。
Q. 休職中の給料と傷病手当金は両方もらえますか?
A. 足し算にはなりません。地方公務員等共済組合法71条により、報酬の全部または一部を受ける期間は、その額を基準に傷病手当金の全部または一部が支給されません。給与が満額出ている間は傷病手当金は出ません。給与が減っている間は、傷病手当金の額から実際に支給された給与の額を差し引いた分が支給されるため、休職中に給与の8割などが出ている期間は、傷病手当金が出ないこともあります。
Q. 共済の傷病手当金はいくら、いつまでもらえますか?
A. 1日につき、直近12か月の標準報酬の月額の平均額の22分の1の3分の2です(地方公務員等共済組合法68条)。期間は同じ病気で通算1年6か月(結核性は3年)で、公立学校共済組合では附加給付として6か月が加算されます。
Q. 休職中に退職したら傷病手当金はどうなりますか?
A. 引き続き1年以上組合員だった人が退職した場合、在職中に傷病手当金を受けていたか、受けられる状況にあったときは、退職後も残りの期間を続けて受けられます(地方公務員等共済組合法68条5項・公立学校共済組合の案内)。給与が満額出ていて傷病手当金が支給されていなかった場合も、該当するかを共済の支部に確認してください。公立学校共済組合の案内では、資格喪失後は附加給付はなく、任意継続組合員になってから要件を満たしても給付されないとされています。
Q. 傷病手当金に税金はかかりますか?
A. かかりません。地方公務員等共済組合法52条は、組合の給付を標準として租税その他の公課を課することはできないとしています。私学共済(私立学校教職員共済法5条)と健康保険(健康保険法62条)も同じです。ただし住民税は前年の所得で計算されるため、休職中でも前年分の住民税の支払いは続きます。
まとめ
・教員が休職したときのお金は「病気休暇→休職→傷病手当金」の順に切り替わります。
・病気休暇で満額の日数は条例や条例に基づく規則で、休職中の給与の割合と休職の最長期間は条例で決まり、どれも全国共通ではなく勤務先の自治体ごとに違います。国と東京都は「90日」「1年目80%」「最長3年」を条文で確認できましたが、ほかの自治体は条文を見るまでわかりません。
・共済の傷病手当金は全国共通で、1日あたり「標準報酬の月額の平均÷22」の3分の2・通算1年6か月(公立学校共済組合は附加給付6か月を加算)。給与が出ている分は差し引かれ、足し算にはなりません。
・ボーナス・退職手当・住民税・共済掛金も休職で動きます。確認リストを持って、給与担当と共済の支部に聞きましょう。
・私立の先生は就業規則と、私学共済(日額の80%)か健康保険かで計算が変わります。
・休職のあとは、復職する・働き方を変えて続ける・学校の外に出る、どの道を選んでもかまいません。お金の見通しを先に立てることが、焦らずに選ぶための土台になります。
