特別支援学校教諭・特別支援学校教員の転職完全ガイド|経験が活きる12職種と資格要件・年収の現実【元教員監修】

「特別支援学校教諭は潰しが効かない」「この経験は学校の外では通用しない」——そう思い込んだまま相談に来られる先生に、私はいちばん多くお会いします。本記事では、特別支援学校教諭の転職について、制度上の実務経験要件・応募できる12職種・給与がいくら変わるのかを、一次資料の数字で整理しました。

結論からお伝えすると、特別支援学校教諭の転職は「行き先が障害福祉・障害児支援の分野なら、制度上むしろ有利」です。気休めの話ではありません。学校で積んだ年数が、そのまま応募要件を満たす仕組みが実際にあります。

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。

担任として子どもの介助をして、自立活動を組み立てて、保護者と面談して、医療や福祉の関係機関と会議をして。仕事の中身はこれだけ幅広いのに、いざ求人サイトを開くと「特別支援学校教諭」に該当する募集が見当たらない。だから「自分の10年は学校の外では0年扱いなんだ」と思ってしまう。

ですが、それは事実と違います。

障害福祉・障害児支援の分野では、特別支援学校での勤務経験が「実務経験年数」として法令や告示にはっきり書かれています。「教員経験は活きますよ」という励ましの話ではなく、条文に年数が書いてある、という話です。

この記事では、その根拠を一次資料で確認したうえで、実際にどの職種に応募できるのか、そのとき給与はいくら変わるのかを、数字で並べていきます。私自身は元公立中学校の教員で、いまは教員専門のキャリア支援をしています。煽るつもりも、辞めさせるつもりもありません。選択肢を正確に知ったうえで、続けるか辞めるかを自分で決めてほしいと思って書いています。

⏱️ 30秒でわかる結論

特別支援学校教諭の転職は、制度上むしろ有利です。ただし、給与はほぼ確実に下がります。

制度の事実特別支援学校での就学相談・教育相談・進路相談は、相談支援専門員の実務経験として「通算5年」と告示の参考資料に明記されています

職種の話児童発達支援管理責任者・相談支援専門員・児童指導員など、応募先を12職種、職種名で挙げます

お金の話特別支援学校の教員の平均給与月額は433,141円。福祉現場は327,720〜405,480円(統計の定義が違う点も後述します)

急がない「辛い」が理由なら、異動・特別支援学級への転出・休職を先に確認してからでも遅くありません

目次

結論|「潰しが効かない」は誤解です|特別支援学校教諭の転職は制度上むしろ有利

特別支援学校教諭の転職の分岐点を示す道の分かれ道のイメージ

先に結論から書きます。

特別支援学校教諭の転職は、「行き先が障害福祉・障害児支援の分野なら、制度上むしろ有利」です。逆に、業界を問わない一般企業の総合職や営業職を狙うなら、他の校種の教員と同じだけの説明の工夫が必要になります。

この差がどこから来るのかというと、障害福祉の世界では「資格」より先に「実務経験年数」で人を見るからです。児童発達支援管理責任者も相談支援専門員も、試験に合格して取る資格ではありません。決められた業務に決められた年数従事し、決められた研修を修了した人が名乗れる仕組みになっています。

そして、その「決められた業務」の一覧に、特別支援学校での仕事が入っています。

「潰しが効かない」という思い込みが生まれる本当の理由

それでも多くの方が不安になるのは、求人票の書き方の問題だと思っています。

放課後等デイサービスの求人には「児童指導員募集」と書いてあります。就労移行支援の求人には「就労支援員募集」と書いてあります。「特別支援学校教諭歓迎」とは書いていない。だから自分が該当するのか分からない。ただそれだけのことです。

実際には、児童指導員の任用資格の条文には教員免許状が出てきますし、児発管の実務経験の範囲には学校での相談業務が出てきます。求人票に書かれていないだけで、要件は満たしているということが、かなりの頻度で起きています。

「求人を検索しても「特別支援学校教諭」で出てくるのは学校の講師募集ばかりで、民間の仕事がひとつも出てこないんです。それで、自分は学校の中でしか生きられないんだと思い込んでいました」
——39歳・公立特別支援学校教諭・女性

ただし、給与は下がります

ここを曖昧にする記事が多いので、先に書いておきます。

特別支援学校の教員から障害福祉分野に移ると、相談を受けてきた実感では、月額で3万円〜10万円程度、年収では30万〜130万円ほど下がる例が多いです。これは公的統計そのものではなく、私が見てきた範囲での目安です。もとになる公的統計の数字はお金の章で並べます。

「やりがいがあるから大丈夫」とは書きません。下がる前提で、それでも自分の生活が回るかを先に計算する。その順番が逆になると、転職してから苦しくなります。

「辛い」が理由のときは、この記事より先に読んでほしいもの

いま強い疲労やしんどさの真っ只中にいる方は、判断力そのものが落ちています。その状態で退職届を書くのはおすすめしません。ストレスの構造や、異動という選択肢については特別支援学校の教員が辛いと感じたら|転職・異動を考える前に知りたいことに整理してあります。この記事は「転職すると決めた/決めかけている人が、要件と金額を確認するためのもの」だと思ってください。

特別支援学校教諭の資格と経験が「実務経験年数」に算入される3つの制度

児童福祉法や告示など制度の根拠資料を確認するイメージ

ここが、この記事でいちばん読んでほしい章です。

「教員経験は活きます」という抽象的な話ではなく、どの制度の、どの区分に、何年としてカウントされるのかを、一次資料から並べます。

制度1:相談支援専門員 ——「特別支援学校で5年」がそのまま要件になる

相談支援専門員は、障害のある人やその家族の相談に応じ、サービス等利用計画をつくる仕事です。計画相談支援事業所や障害児相談支援事業所に配置されます。

この相談支援専門員の実務経験要件の一覧に、次の一項があります。

「ヘ 特別支援学校において、障がいのある児童及び生徒の就学相談、教育相談及び進路相談の業務に従事した期間 通算5年以上」

出典は大阪府が公表している「相談支援専門員の要件となる実務経験について」(PDF)で、これは厚生労働省告示第225号〜第227号(平成24年3月30日)にもとづく参考資料です。

つまり、特別支援学校で就学相談・教育相談・進路相談に関わってきた期間が通算5年あれば、実務経験要件を満たしうるということです。あとは相談支援従事者初任者研修を修了すれば、相談支援専門員として配置されうる状態になります。研修の日程・開催回数・受講費用は都道府県によって異なりますので、お住まいの自治体の実施要項で確認してください。

なお同じ資料には、「1年以上の実務経験とは、業務に従事した期間が1年以上であり、かつ実際に業務に従事した日数が1年あたり180日以上であること」という定義も書かれています。常勤の教員であれば、この日数要件はまず問題になりません。

制度2:児童発達支援管理責任者(児発管) ——「学校(大学を除く)の従業者」が実務経験に入る

児発管は、児童発達支援や放課後等デイサービスに1事業所につき1人以上(専任かつ常勤)の配置が義務づけられているポジションです。個別支援計画の作成が中核業務になります。

その実務経験要件を、千葉県が公表している「実務経験一覧(告示要約版)」(PDF)で確認すると、こうなっています。

区分 内容 必要年数
①相談支援業務 指定相談支援事業・居宅介護支援事業等に従事/児童相談所・福祉事務所・発達障害者支援センター等/障害者支援施設・障害児入所施設・乳児院・児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設等/障害者職業センター・障害者就業・生活支援センター/学校(大学を除く)の従業者 など 5年以上
②直接支援業務 障害者支援施設・障害児入所施設・保育所・児童養護施設・老人福祉施設等での介護等の業務/障害福祉サービス事業・障害児通所支援事業等に従事/病院・診療所・薬局・訪問看護事業所/特例子会社等での就業支援/学校(大学を除く)の従業者 など 8年以上
③有資格者等 ②の直接支援業務に従事する者で、社会福祉主事任用資格者・保育士・児童指導員任用資格者など 5年以上
④国家資格等 ①②に従事し、かつ国家資格等(医師・看護師・社会福祉士・精神保健福祉士・作業療法士など)による業務に5年以上従事 3年以上

ここは制度1(相談支援専門員)と要件の書き方が違います。相談支援専門員のほうは「就学相談、教育相談及び進路相談の業務」と担当業務まで指定されていますが、児発管のほうは「学校(大学を除く)の従業者」で、担当業務を限定していません。相談や進路指導の分掌を持っていなくても、学校の職員として働いた期間そのものが対象になりうる書き方になっています。

いずれの区分も、「かつ、老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上」という条件が付きます。特別支援学校での勤務はこの3年にも該当しうるので、教員の方にとっては障壁になりにくい条件です。

研修の順番も押さえておきましょう。基礎研修(相談支援従事者初任者研修の講義部分+サービス管理責任者等基礎研修)→ 実務(OJT)→ 実践研修という流れで、実践研修を修了したあとも、定期的に更新研修を受ける必要があります。研修の名称・時間数・開催回数・申込時期は都道府県によって異なりますので、お住まいの都道府県の実施要領で確認してください。

そして重要なのが、基礎研修は実務要件に2年満たない段階から受講できるという点です。相談支援業務なら3年、直接支援業務なら6年の時点で受講できます。特別支援学校に在職しながら基礎研修を先に済ませておく、という進め方が制度上は可能ということになります。

制度3:児童指導員任用資格 —— 条文に「教諭の免許状」と書いてある

児童指導員は、放課後等デイサービス・児童発達支援・児童養護施設・障害児入所施設などに配置される職種です。この任用資格の根拠は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第43条第1項で、その第9号にこう書かれています。

「九 教育職員免許法に規定する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校の教諭の免許状を有する者であつて、都道府県知事が適当と認めたもの」

ここで「特別支援学校教諭免許状」は列挙されていません。ですが、特別支援学校教諭免許状を取得するための基礎資格は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校いずれかの普通免許状です。つまり特別支援学校教諭免許を持っている方は、その土台となる普通免許状も併せ持っているのが通常で、第9号に該当しうる、ということになります。

この任用資格は、試験も講習もありません。免許状の写しを提出して、都道府県知事(実務上は事業所の指定権者)が認めれば成立するタイプの資格です。「いまから何かを取らないと動けない」と思っている方は、ここを確認してみてください。

必ず確認してほしいこと

  • 実務経験として認められるかどうかの最終判断は、都道府県・政令市・中核市などの指定権者が行います。同じ経歴でも自治体で判断が分かれることがあります。
  • 応募前に、勤務先の自治体の障害福祉課(または障害児支援担当課)に「特別支援学校での教育相談・進路相談の従事期間は実務経験に算入されるか」と直接確認するのが確実です。
  • 証明には実務経験証明書が要ります。学校名・在職期間・従事した業務内容を、前任校を含めて書いてもらう必要があります。在職中に用紙をもらっておくほうが、退職後に依頼するより圧倒的に楽です。

「辞めてから調べる」といちばん時間を失う部分です。在職中に電話1本かけておくだけで、進路の解像度が変わります。

「教育相談の実務経験証明書を出してもらえるか、在職中に事務室へ聞きに行きました。前例がないと言われましたが、教育委員会に確認してもらったら普通に出してもらえました。辞めてから頼んでいたら、たぶん心が折れていたと思います」
——43歳・元公立特別支援学校教諭・女性

特別支援学校教諭の転職先12職種|職種名・仕事内容・必要要件で並べる

特別支援学校教諭の転職先の選択肢を並べて比較するイメージ

ここからは職種名で並べます。「福祉業界」「教育業界」といった大分類ではなく、求人票にそのまま載っている職種名で書きます。求人検索の窓に貼り付けて使ってください。

1. 児童発達支援管理責任者(児発管)

児童発達支援・放課後等デイサービス・障害児入所施設などに配置される、個別支援計画づくりの責任者です。子ども一人ひとりのアセスメント、支援目標の設定、モニタリング、保護者面談、職員への指導が主な仕事になります。

要件:前章の実務経験+基礎研修+OJT+実践研修。教員経験の活き方:個別の教育支援計画・個別の指導計画を書いてきた経験が、そのまま個別支援計画の作成に対応します。特別支援学校教諭にとって、いちばん地続きな職種です。

2. 児童指導員(児童発達支援・放課後等デイサービス)

いわゆる「放デイの先生」です。学校の授業が終わったあとの時間帯に、遊び・活動・生活動作の支援を行います。放課後等デイサービスの人員配置は、利用児童10人までなら2人以上(うち1人は常勤)が基本で、そこに配置されるのが児童指導員または保育士です。

要件:児童指導員任用資格(第43条第9号の教員免許ルートで該当しうる)。働き方:放課後からの営業になるため、始業が昼前後の事業所が多く、朝が遅い代わりに夕方以降が中心になります。

3. 児童指導員(児童養護施設・障害児入所施設)

同じ「児童指導員」でも、入所施設は生活そのものを支える仕事です。宿直がある代わりに手当が付き、通所系より給与水準が上がる傾向があります。教員経験の活き方:寄宿舎のある特別支援学校で勤務した経験がある方は、生活支援の実務がそのまま説明できます。

4. 相談支援専門員

計画相談支援事業所・障害児相談支援事業所で、サービス等利用計画・障害児支援利用計画を作成します。学校・医療・行政・事業所の間に立ち、ケース会議を回すのが日常です。

要件:特別支援学校での就学相談・教育相談・進路相談が通算5年+相談支援従事者初任者研修の修了(日数・開催回数は都道府県ごとに異なります)。教員経験の活き方:ケース会議の進行と関係機関との調整は、特別支援学校の先生がすでに毎日やっている仕事です。

5. 訪問支援員(保育所等訪問支援)

保育所・幼稚園・小学校などを訪問し、その場の先生に対して「この子にはこう関わるといい」と助言する仕事です。子どもに直接支援もしますが、比重が大きいのは受け入れ側の職員へのコンサルテーションです。

教員経験の活き方:この職種は、学校の内部事情が分かっている人が圧倒的に強いです。時間割・行事・職員室の力学を知らない支援員の助言は、現場で受け入れられません。特別支援学校教諭の経験が、そのまま差別化になります。

6. 生活支援員(障害者支援施設・就労継続支援A型/B型)

成人の障害のある方の日常生活を支える職種です。特別支援学校の高等部で勤務していた方にとっては、「卒業生がその後どう暮らしているのか」を内側から見る仕事になります。就労継続支援では作業支援と生活支援の両方を担うことが多いです。

7. 職業指導員(就労移行支援・就労継続支援)

作業訓練・職業訓練を担当します。就労移行支援では職業指導員と生活支援員を合算して「前年度の平均利用者数÷6」以上の配置が求められます。教員経験の活き方:作業学習・現場実習の指導経験がそのまま職務経歴になります。

8. 就労支援員(就労移行支援)

就職活動そのものと、就職後の職場定着を支える職種です。就労移行支援では利用者15人に対し常勤換算1人以上の配置が必要で、法令上の資格要件はありません。

教員経験の活き方:高等部の進路指導、企業への現場実習の依頼、実習先の開拓。これは営業と就労支援そのものです。職務経歴書で「進路指導」と書くと伝わりませんが、「実習受入企業の新規開拓を年◯社」と書くと一気に伝わります。

9. 職場適応援助者(ジョブコーチ)

障害のある人が職場に定着できるよう、企業に入り込んで支援する専門職です。厚生労働省「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援について」は「ジョブコーチの種類」として、配置型(地域障害者職業センターに配置される)、訪問型(障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される)、企業在籍型(障害者を雇用する企業に雇用される)、上級ジョブコーチ(他のジョブコーチへのスーパーバイズやジョブコーチ支援のコーディネート等を行い、支援計画を作成・承認することができる)の4つを挙げています。実際の支援は、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援」によると、地域障害者職業センターの障害者職業カウンセラーが策定した支援計画にもとづいて行われます。

要件:職場適応援助者養成研修の修了が必要です。実施機関・受講対象・日程・費用は年度ごとに設定されますので、応募を考える段階で最新の募集要項を確認してください。

10. 障害者職業生活相談員/企業の障害者雇用担当

福祉側ではなく企業側で、障害のある社員の受け入れ・定着を担う仕事です。特例子会社の指導員、人事部の障害者雇用担当などがこれにあたります。障害者職業生活相談員は、一定数以上の障害者を雇用する事業所に選任が義務づけられている役割で、講習の受講で資格が得られます。

教員経験の活き方:「配慮の仕方が分かる人」は企業側に決定的に不足しています。障害特性の理解と、本人・家族・現場をつなぐ調整力を持っている元特別支援学校教諭は、ここでかなり希少です。

11. 特別支援教育支援員・介助員(自治体の会計年度任用職員)

学校に残りたい/でも担任は持ちたくない、という方の現実的な選択肢です。特別支援教育支援員は、令和3年8月に学校教育法施行規則が改正され、「教育上特別の支援を必要とする児童の学習上又は生活上必要な支援に従事する」職員として法令に位置づけられました学校教育法施行規則第65条の6)。

要件:制度上は資格を問わない任用です。注意点:多くは会計年度任用職員で、給与も身分も担任教諭より下がります。「一時的に負荷を下げる」目的なら成立しますが、恒久的な生活設計としては慎重に考えてください。

12. 教材開発・研修講師・教室長(特別支援教育/発達支援の分野)

発達支援・特別支援教育向けの教材やアプリをつくる企業、事業所職員向けの研修を提供する企業、発達に特性のある子ども向けの学習教室。ここでは「現場を知っている人」が企画職・講師職として採用されます

教員経験の活き方:教材づくり・教具の自作・指導案の作成は、そのままプロダクト企画とコンテンツ制作のスキルです。特別支援学校の先生が日常的に行っている「その子に合わせて教材を作り替える」という営みは、汎用の教材メーカーには持てない知見です。

実例:Aさん(30代・元特別支援学校教諭 → 放課後等デイサービスの児童発達支援管理責任者)

Aさんは、知的障害の特別支援学校で8年勤務していた方です。相談に来られた時点では「福祉の資格を何も持っていないので、まず資格の学校に通うべきでしょうか」とおっしゃっていました。

一緒に確認したのは3点だけです。①特別支援学校での勤務年数と、そのうち教育相談・進路相談にどれだけ関わってきたか、②自治体の障害福祉課はその期間を実務経験として扱うか、③実務経験証明書を前任校から出してもらえるか。結果として、Aさんは新しい資格を取りに行く前に、すでに児発管の基礎研修の受講ラインに立っていたことが分かりました。

Aさんはまず児童指導員として放課後等デイサービスに入り、在職しながら基礎研修と実践研修を修了して児発管になりました。年収はいったん下がりましたが、児発管に上がった時点で下げ幅はかなり戻っています。

この方に限らず、「資格を取ってから動く」より「要件をすでに満たしていないか確認してから動く」ほうが、たいてい早いというのが、相談を受けてきた実感です。

他の校種からの転職先も含めて全体を見渡したい方は、教員・教師からの転職先おすすめ15選も併せてどうぞ。同じく「職種が特殊で潰しが効かない」と思い込まれがちな立場の記事として、養護教諭の転職先12選も参考になるはずです。

お金の現実|特別支援学校教員の給与と、転職先の給与を数字で比べる

特別支援学校教員の給与と転職後の年収を比較するイメージ

ここは、いちばん都合の悪い章です。それでも数字を出します。

統計で見る、教員側と福祉側の水準

区分 平均給与月額 平均年齢 出典
特別支援学校の教員
(統計上は「高等学校教育職」に含まれる。同区分には専修・各種学校の教員も含む)
433,141円
うち給料月額370,300円+諸手当62,841円
44.7歳 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」(令和6年4月1日現在)
小・中学校の教員
(統計上の「小・中学校教育職」。同区分には幼稚園の教員も含む)
411,965円
うち給料月額353,632円+諸手当58,333円
41.5歳 同上
サービス管理責任者(常勤)
児発管は障害児支援分野の同等職
405,480円
基本給等318,460円
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」(令和6年9月)
福祉・介護職員(常勤)
児童指導員・生活支援員などの層
327,720円
基本給207,810円+手当69,920円+一時金50,000円
同上

ここで注意してほしいのは、2つの統計で「給与月額」の定義が違うことです。

総務省の平均給与月額は給料月額+諸手当で、期末勤勉手当(ボーナス)は含みません。一方、厚生労働省の平均給与額は基本給+手当+一時金(4〜9月支給分の1/6)で、ボーナスの一部が含まれています。

あわせて、厚生労働省の405,480円・327,720円という数字は、福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)を取得(届出)している事業所の、令和5年9月と令和6年9月にともに在籍していた常勤職員の平均です。加算を取得していない事業所や、この1年のあいだに入職・退職した人は含まれていません。「福祉の平均給与」そのものではないという点は、押さえておいてください。

つまり、上の表を単純に引き算すると差を小さく見積もることになります。ボーナスを除いた月々の比較でいえば、給料月額370,300円(教員)に対し基本給等318,460円(サービス管理責任者)で、約5万円の開きがあります。ただしこの2つも定義がそろっていません。総務省の平均給料月額は本給だけの額ではなく、給料の調整額、教職調整額及び管理監督職勤務上限年齢調整額を含むと定義されています(同調査「概要」第9表の注記)。つまり、このあと説明する教職調整額や特別支援学校勤務に対する給料の調整額は、370,300円のなかにすでに入っています。一方、福祉側の基本給等は基本給(月額)に「毎月決まって支払われる手当」を足した額(通勤手当・扶養手当・超過労働給与額等は含まない)です。どちらも「純粋な本給」ではなく、含まれているものが違います。サービス管理責任者側の純粋な基本給は公表されていないため、定義をそろえたときにこの差が広がるのか縮まるのかは、公表資料だけでは判定できません。この記事では「月々の水準で5万円前後の開きがある」までにとどめます。

実感としての下げ幅

統計と、実際に相談を受けてきた感覚を突き合わせると、おおむねこうなります。

  • 児童指導員・生活支援員クラスで入る場合:月額で7万〜10万円、年収で80万〜130万円ほど下がることが多いです
  • 児発管・相談支援専門員クラスで入る場合:月額で2万〜5万円、年収で30万〜60万円ほどの下げ幅に収まることが多いです
  • 企業側(障害者雇用担当・特例子会社・教材メーカー等)に入る場合:初年度は下がるが、その後の伸びは企業次第で、教員より上がる可能性も下がる可能性もあります

したがって、下げ幅を最小にしたいなら、児発管または相談支援専門員の要件を満たしてから動くのが最も効率的ということになります。前章で「基礎研修は実務要件に2年満たない段階から受講できる」と書いたのは、この順番を作れるからです。

給与のほかに「消えるもの」

金額の話は月給だけでは終わりません。退職すると次のものが同時になくなります。

  • 教職調整額:時間外勤務手当の代わりに支給されているものです。長く給料月額の4%でしたが、2025年(令和7年)6月に成立・公布された改正給特法(令和7年法律第68号。文部科学省「給特法等の一部を改正する法律の概要」)により、2026年1月1日から5%になり、以後1年ごとに1%ずつ上がって2031年1月に10%へ引き上げられます(給特法第3条第1項および附則第2項)。この記事を書いている2026年9月時点で適用されているのは5%です。ある年度に実際に何%が適用されるかは各自治体の給与条例で決まりますので、ご自身の給与明細と条例で確認してください。引き上げの途中で辞めると、この上昇分は受け取れません。
  • 特別支援学校勤務に対する給料の調整額:特別支援教育に直接従事する教員に上乗せされているもので、率は自治体の条例で定められています。ご自身の給与明細と条例で必ず確認してください。
  • 義務教育等教員特別手当:学級担任への加算が付く自治体もあります。
  • 退職手当の勤続年数:ここがいちばん大きい項目です。勤続年数が長いほど支給率が跳ね上がる設計なので、辞める年次によって金額が大きく変わります。詳しくは教員の退職金はいくら?勤続年数別の手取り早見表にまとめています。

転職前にやってほしい試算(30分で終わります)

  • 直近12か月の手取り合計を出す(給与明細12枚+賞与明細。額面ではなく手取り)
  • 志望する職種の求人3件の提示年収の下限を書き出す(上限ではなく下限で見る)
  • 差額を12で割り、月々いくら生活を縮める必要があるかを出す
  • 次年度の住民税は前年所得で決まるため、転職1年目は収入が下がっても住民税は高いままです。ここを見落とす人がとても多いです
  • 共済組合から国民健康保険・協会けんぽに変わることによる保険料と扶養の扱いの変化を確認する

この4つ目と5つ目を計算に入れていないと、転職1年目の家計がほぼ確実に苦しくなります。

「年収が90万円下がるのは覚悟していたんです。でも住民税が前年の収入で計算されることを知らなくて、転職1年目の6月に納付書が来たときは本当に青くなりました」
——41歳・元公立特別支援学校教諭→放課後等デイサービス児童指導員・女性

特別支援教育を受ける子どもは10年で倍増|求人が増えている構造的な理由

特別支援教育を受ける児童生徒数の推移データを見るイメージ

「給料が下がるなら、そもそも辞めないほうがいいのでは」と思われたかもしれません。もっともな感覚です。

そのうえで、この分野の求人が増え続けている構造だけは知っておいてほしいと思います。転職するにせよしないにせよ、自分の経験にどれだけの需要があるかを知っているのと知らないのとでは、日々の心の余裕が変わるからです。

10年で、対象の子どもが倍になった

文部科学省が毎年公表している「特別支援教育資料(令和5年度)」(学校基本統計・特別支援教育課業務調査)と、同省初等中等教育局特別支援教育課の資料「特別支援教育の充実について」(PDF)の「特別支援学校等の児童生徒の増加の状況(H25→R5)」で、直近10年間(平成25年度→令和5年度)を並べると、こうなっています。数字はいずれも義務教育段階(小学校・中学校の段階)にそろえています。特別支援学校は高等部を含めた全学部だと令和5年度で151,362人ですが、それを入れると他の行と比べられなくなるため、ここでは小学部・中学部の数で並べています。

項目 平成25年度 令和5年度 倍率
義務教育段階の全児童生徒数 1,030万人 941万人 約0.9倍(1割減)
特別支援教育を受ける児童生徒数 32.0万人 64.0万人 約2.0倍
特別支援学校の在籍者数
(小学部・中学部)
約6.7万人 約8.5万人 約1.3倍
特別支援学級の在籍者数 174,881人 372,795人 約2.1倍
通級による指導の利用者数 約7.8万人 約18.2万人
(令和3年度の値)
約2.3倍

子ども全体は1割減っているのに、特別支援教育を受ける子どもは倍になっている。この10年で、「支援を必要とする子どもへの専門的な関わり方が分かる大人」の需要だけが跳ね上がったということです。

令和5年度の特別支援学校は全国で1,178校。一方、厚生労働省「令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況」によると、放課後等デイサービス事業所は22,643事業所、児童発達支援事業所は14,855事業所(いずれも令和6年10月1日現在)。10年前の平成26年調査では5,267事業所・3,258事業所(平成26年10月1日現在)でしたから、この10年でおよそ4.3倍・4.6倍に増えた計算になります。そして児発管は1事業所につき1人以上の配置が義務です。事業所が増えれば、その数だけ児発管のポストが生まれる構造になっています。

特別支援学校の中でも、免許は「全員が持っている」わけではない

もうひとつ、自分の立ち位置を測るのに役立つ数字があります。

文部科学省「令和7年度 特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果」(国・公・私立、令和7年5月1日現在)によると、特別支援学校教員73,346人のうち、担当している障害種等の特別支援学校教諭等免許状を保有しているのは63,593人(86.7%)です。裏を返せば、13.3%にあたる9,753人は、担当している障害種等の免許を持たないまま特別支援教育に従事しているということでもあります。この調査は令和6年度から隔年実施に変わっており、前回(令和5年度)の保有率は87.2%でした。

つまり、特別支援学校教諭免許状を持っていること自体が、それなりに希少だということです。学校の中にいると「みんな持っている当たり前のもの」に見えますが、外の労働市場ではそうではありません。

「自分では専門性なんて何もないと思っていました。でも面接で「個別の指導計画を5年書いてきた」と言ったら、相手が身を乗り出してきたんです。当たり前だと思っていたことが、外では当たり前じゃなかった」
——37歳・元公立特別支援学校教諭→相談支援専門員・女性

特別支援学校の教員を辞めたいと思ったら|辞める前に確認したい選択肢3つ

特別支援学校で働き続ける選択肢を考えるイメージ

Re-Careerは「辞めるが正解」だとは考えていません。選択肢を持っている状態が正解だと考えています。ですので、転職の前に確認できる手立ても書いておきます。

選択肢1:異動(同じ校種内で、環境を変える)

特別支援学校は、学校ごとに文化も負荷もかなり違います。障害種が違えば仕事の中身が別物ですし、寄宿舎の有無、高等部の有無、児童生徒数の規模でも日常が変わります。

「特別支援学校が向いていない」のではなく「いまの学校の状況が限界」なのであれば、異動で解決することがあります。人事異動の内示の時期と、異動希望調書の提出時期を逆算して、管理職との面談で具体的に何がしんどいかを言語化しておくのが現実的な進め方です。

選択肢2:特別支援学級・通級指導教室へ移る

小・中学校の特別支援学級や通級指導教室に移るという道もあります。前章の通り、特別支援学級の在籍者数は10年で2.1倍、通級による指導の利用者数は2.3倍に増えています。担当できる人材が足りていない領域です。

特別支援学校とは業務の質が変わります。通常学級の担任や学年団との調整が増える一方、介助の身体的負担は下がることが多いです。「身体がきつい」が主因なら、検討する価値があります。

選択肢3:休職・病休で、判断を先送りする

これは逃げではありません。判断力が落ちている状態で人生の大きな決断をしないための、正しい手順です。

私自身、教員時代に病休を経験しました。当時は「休んだら終わりだ」と本気で思っていましたが、実際には休んだからこそ、その後のことを考えられるようになりました。心身が消耗しているときに書いた退職届は、回復してから見ると別人が書いたように見えることがあります。

しんどさの構造そのものについては特別支援学校の教員が辛いと感じたらに、辞めるかどうかの判断基準については「教員を辞めたい」と思ったときに読む完全ガイドにまとめてあります。先にこちらを読んでから戻ってきていただいて構いません。

また、辞める/続ける/変えるの3方向を並べて設計したい方には教員のキャリアプラン完全ガイドが向いています。

職務経歴書に何を書くか|「介助ができます」で終わらせない

特別支援学校教諭の職務経歴書を書くイメージ

特別支援学校教諭の職務経歴書には、共通した失敗パターンがあります。

「児童生徒の介助を行いました」「自立活動の指導を行いました」で終わってしまうことです。

これは謙遜ではなく、学校の中では説明する必要がなかったから語彙が育っていない、というだけの話です。ですが採用側は特別支援教育の専門家ではないので、この書き方だと何ができる人なのかが伝わりません。

翻訳の対応表

学校での言い方 職務経歴書での書き方 刺さる応募先
個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成 アセスメントにもとづく個別支援計画の立案・実行・モニタリング・改定を、年間◯名分担当 児発管/相談支援専門員
自立活動の指導 実態把握から目標設定・手立ての選定・評価までのPDCAを、障害特性に応じて個別設計 児発管/訪問支援員
関係機関との連携 医療・福祉・保健・労働の各機関とのケース会議を企画・進行。多機関の情報を統合し支援方針を合意形成 相談支援専門員/訪問支援員
保護者面談・懇談 家族支援。障害受容の段階に配慮した面談を年間◯回実施し、家庭での般化を支援 児発管/相談支援専門員
進路指導・現場実習 実習受入企業の新規開拓を年◯社。職場定着に向けたマッチングとフォローを実施 就労支援員/ジョブコーチ
作業学習の指導 作業工程の分析と治具の設計により、障害特性に応じた作業手順を再構成 職業指導員
教材・教具の自作 既製教材では対応できない特性に対し、教材を個別に設計・改良。◯種類を実用化 教材開発/研修講師
介助(食事・排泄・移動) 身体介助および医療的ケアが必要な児童生徒への日常生活支援。安全管理・記録・引き継ぎを含む 児童指導員/生活支援員

ポイントは「行為」ではなく「設計と成果」で書くことです。介助をしたことではなく、介助の手順をどう組み立て、どう引き継いだかを書く。面談をしたことではなく、何を合意したかを書く。

数字が入る箇所には必ず数字を入れてください。「担当児童生徒数」「ケース会議の年間回数」「実習受入先の開拓社数」「作成した指導計画の本数」。教員は数字で語る訓練を受けていないので、ここだけで差がつきます。

フォーマットそのものは教員の職務経歴書テンプレート|そのまま使える例文と書き方3ステップに用意してあります。上の翻訳表と組み合わせて使ってください。

面接で必ず聞かれること

障害福祉分野の面接では、ほぼ確実にこの3つを聞かれます。

  • 「学校と事業所では、支援の目的が違います。切り替えられますか」——学校は教育、事業所は福祉サービスです。「保護者は保護者ではなく利用者の家族であり、契約の相手方」という視点の違いを理解しているかを見られます。
  • 「給与が下がりますが大丈夫ですか」——ここで曖昧に答えると懸念を持たれます。前章の試算をしていれば、具体的な数字で答えられます。
  • 「なぜ学校ではなく、うちなのですか」——「学校が辛かったから」では通りません。「卒業後の生活まで関わりたい」「就学前の段階から関わりたい」など、時間軸で答えると筋が通ります。

年代別の現実的な戦略|20代・30代・40代・50代

年代別に特別支援学校教諭の転職戦略を設計するイメージ

同じ「特別支援学校教諭の転職」でも、年代で最適解は変わります。退職手当の支給率と、次の職場での育成期待が年代で違うからです。

20代:資格要件を「学校にいるうちに」積む

この年代の最大の武器は、まだ実務経験年数の途中にいることです。相談支援専門員も児発管も、必要なのは年数です。焦って早く辞めると、要件を満たすまでの年数を外で積み直すことになります。

おすすめは、在職しながら教育相談・進路相談に関わる分掌を取りにいくことです。そのうえで実務経験証明に必要な業務であることを事務室に確認しておく。数年後の選択肢の幅がまったく変わります。

どうしても心身が持たないなら、無理に年数を待つ必要はありません。児童指導員任用資格は免許状で該当しうるので、放課後等デイサービスや児童発達支援には年数を待たずに移れます。

30代:児発管・相談支援専門員の要件が見えてくる時期

採用側から見て、最も歓迎される年代です。実務経験年数がそろい始め、体力もあり、育成の余地もある。

この年代の判断ポイントは「あと何年で要件を満たすか」の一点です。特別支援学校での就学相談・教育相談・進路相談が通算5年に届くなら、届いてから動くほうが、初年度の提示年収が変わります。届くまでに3年以上かかるなら、児童指導員として先に現場に入り、事業所側で年数を積むほうが早いこともあります。

育児との両立を軸に考える方は女性教員の転職完全ガイドも併せてどうぞ。

40代:管理職ルートか、専門職ルートかの分岐

特別支援学校の中で主任・教頭を目指すのか、外で専門職として立つのか。ここが分岐点です。

40代の強みは、年数を確実に満たしていることと、職員をまとめた経験があることです。児発管は個別支援計画の作成に加えて職員への指導助言も担うので、学年主任や分掌主任の経験がそのまま評価されます。事業所の管理者と児発管を兼務するポジションも珍しくありません。

一方で、退職手当の支給率は勤続年数が伸びるほど上がります。「あと数年で支給率の区切りを越えるか」を必ず確認してから決めてください。詳細は教員の退職金はいくら?40代教員の転職完全ガイドに。

50代:ポストを絞り、フルタイムにこだわらない

50代は求人の母数が減ります。ですが、この年代でしか埋められないポストもあります。相談支援専門員、事業所の管理者、研修講師、実習受入企業との折衝役。いずれも「若さ」ではなく「関係機関との調整実績」が求められる仕事です。

また、この年代からはフルタイム正社員だけを前提にしないという考え方も現実的です。週3〜4日の相談支援、非常勤の訪問支援員、研修講師の業務委託。年金と退職手当の受給設計と組み合わせて、収入の合計で考えるほうが選択肢が広がります。

他の校種の年代別戦略は小学校教員・小学校教諭の転職完全ガイドにも整理してあります。

よくある質問

Q. 特別支援学校教諭免許しか持っていなくても、児童指導員になれますか?

A. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第43条第9号が挙げているのは「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校の教諭の免許状」で、特別支援学校教諭免許状は列挙されていません。ただし特別支援学校教諭免許状を取得するための基礎資格は幼・小・中・高いずれかの普通免許状なので、通常はその普通免許状で第9号に該当しうることになります。最終的な判断は都道府県知事(実務上は事業所の指定権者)が行うため、応募前に自治体の担当課へ確認してください。

Q. 特別支援学校での勤務は、児童発達支援管理責任者の実務経験に入りますか?

A. 千葉県が公表している「実務経験一覧(告示要約版)」では、児発管の「相談支援業務(5年以上)」にも「直接支援業務(8年以上)」にも、「学校(大学を除く)の従業者」が挙げられています。進路相談や教育相談の担当だったかどうかを問う書き方にはなっていません。いずれの区分でも「老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上」という条件が併せて付きます。実際に算入されるかは指定権者の判断になるため、実務経験証明書の様式とあわせて事前確認が必須です。

Q. 相談支援専門員になるには、特別支援学校で何年働けばよいですか?

A. 大阪府が公表している「相談支援専門員の要件となる実務経験について」(厚生労働省告示第225〜227号の参考資料)では、「特別支援学校において、障がいのある児童及び生徒の就学相談、教育相談及び進路相談の業務に従事した期間」は通算5年以上とされています。あわせて、1年としてカウントされるには年間180日以上の従事が必要と定義されています。要件を満たしたうえで相談支援従事者初任者研修を修了する流れになります(研修の日程・開催回数は都道府県によって異なります)。

Q. 在職中に児発管の基礎研修を受けておくことはできますか?

A. 制度上は可能です。基礎研修は実務要件に2年満たない段階から受講でき、相談支援業務なら3年、直接支援業務なら6年の時点が受講可能ラインとされています。ただし研修の申込先は都道府県で、定員や受講対象の設定(現に障害福祉分野の事業所に所属していることを求めるなど)が自治体ごとに異なります。受けられるかどうかは、必ずお住まいの都道府県の実施要項を確認してください。

Q. 転職すると年収はどのくらい下がりますか?

A. 統計で見ると、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」で特別支援学校の教員を含む高等学校教育職の平均給与月額は433,141円、厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」でサービス管理責任者(常勤)は405,480円、福祉・介護職員(常勤)は327,720円です。ただし前者はボーナスを含まず、後者は一時金の一部を含む定義なので、実際の差はこの引き算より大きくなります。相談を受けてきた実感では、児童指導員クラスで年収80万〜130万円、児発管・相談支援専門員クラスで年収30万〜60万円ほど下がる例が多いです。

Q. 転職1年目に、給与以外で気をつけることはありますか?

A. 住民税と社会保険です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、収入が下がった転職1年目でも、教員時代の所得にもとづく高い金額を6月から納めることになります。また公立学校共済組合から国民健康保険や協会けんぽへ切り替わるため、保険料の負担額と扶養の扱いが変わります。この2点を試算に入れていないと、転職1年目の家計が想定以上に厳しくなります。

Q. 学校に残りながら負担を減らす方法はありませんか?

A. あります。同じ特別支援学校でも障害種・寄宿舎の有無・学部構成で業務内容が大きく変わるため、異動で解決することがあります。小・中学校の特別支援学級や通級指導教室に移る道もあり、特別支援学級の在籍者数は10年で2.1倍、通級による指導の利用者数は2.3倍に増えているため、担当できる人材が求められている領域です。身体的な介助の負担が主因であれば、こちらのほうが軽くなることが多いです。

Q. 特別支援教育士(S.E.N.S)は取っておいたほうがよいですか?

A. 一般財団法人 特別支援教育士資格認定協会が認定する民間資格で、日本LD学会の正会員であることが要件のひとつとされています。転職の必須要件になっている求人はほとんど見かけませんが、教材開発・研修講師・アセスメント業務など「専門性を外部に説明する必要がある仕事」では効きます。必要ポイント数や実務経験の要件は年度で変わるため、協会の公式サイトで最新の要項を確認してください。

まとめ

  • 「特別支援学校教諭は潰しが効かない」は事実ではありません。障害福祉分野では、学校での勤務が法令・告示の実務経験年数として位置づけられています
  • 相談支援専門員は、特別支援学校での就学相談・教育相談・進路相談が通算5年で実務経験要件を満たしうる(1年=年間180日以上の従事)
  • 児童発達支援管理責任者は、相談支援業務(5年)にも直接支援業務(8年)にも「学校(大学を除く)の従業者」が入る。基礎研修は要件に2年満たない段階から受講できる
  • 児童指導員任用資格は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第43条第9号の教員免許ルートで該当しうる。試験も講習も不要
  • 応募できる職種は12ある。児発管/児童指導員(通所・入所)/相談支援専門員/訪問支援員/生活支援員/職業指導員/就労支援員/ジョブコーチ/障害者職業生活相談員/特別支援教育支援員/教材開発・研修講師
  • 給与は下がる。統計上は月額405,480〜327,720円(福祉)に対し433,141円(教員)。下げ幅を最小にしたいなら、児発管か相談支援専門員の要件を満たしてから動く
  • 転職1年目は、住民税(前年所得で計算)と社会保険の切り替えを必ず試算に入れる
  • 特別支援教育を受ける児童生徒は10年で32.0万人→64.0万人と倍増。需要は構造的に伸びている
  • 職務経歴書は「介助を行いました」ではなく「個別支援計画を年間◯名分、立案から評価まで担当」と書く。数字を入れるだけで差がつく
  • 在職中にやっておくこと:実務経験証明書の様式確認、自治体の障害福祉課への算入可否の確認、教育相談・進路相談の分掌の確保
  • 辞めるのが正解ではありません。異動・特別支援学級への転出・休職も同じ列に並べたうえで、自分で選んでください




Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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