学校事務がつらい・うつで休みたいとき|病気休暇・休職・傷病手当金の順番と、異動・転職の考え方【公立小中学校】
学校事務がつらい、うつかもしれないと感じたら、辞めるかどうかを決める前に、休むための制度を知ってください。公立小中学校の事務職員が使える病気休暇・休職・傷病手当金の順番と、異動・転職の考え方を、法令と文部科学省の統計で元教員が整理しました。
学校事務は、給与や旅費、予算、就学援助まで、学校のお金と手続きを幅広く受け持つ仕事です。小・中学校では事務職員が1人の学校も多く、「自分が休んだら学校が回らない」と感じて、限界まで我慢してしまう方もいるかもしれません。
最初にお伝えしておきます。私(新川)は公立中学校で教員として働いた側で、学校事務の仕事をしたことはありません。だからこの記事では、体験談ではなく、法律・条例と文部科学省の統計を根拠に書きます。辞めることも、続けることも、働き方を変えることも、私はどれも否定しません。
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
公立中学校で11年、私立高校で1年、あわせて12年、英語教員として勤務。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のキャリア支援会社を率い、自身も延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。
⏱️ 30秒でわかる結論
学校事務がつらいときは「休む→整える→選ぶ」の順番で。辞めるかどうかは、休んでから決めても遅くありません
まず受診つらさが続くなら医療機関へ。病気休暇の請求に医師の証明書を求める自治体があります(東京都など)
病気休暇日数と給与は自治体の条例・規則で決まる。例:国家公務員は私傷病で連続90日まで、東京都の学校職員は1回につき引き続く90日まで給与が減らない
休職例:東京都は心身の故障による休職が3年まで。国・東京都とも、休職1年までは給料などの8割を支給できる定め
傷病手当金給与が減ったり止まったりしたら、公立学校共済組合から。支給期間は通算1年6か月、さらに附加金6か月
異動・転職公立小中学校の事務職員の多くは県費負担教職員で、人事は都道府県教育委員会(政令市は市)。辞める前に雇用保険の有無と退職後の保険を確かめる
目次
学校事務がつらい・うつかもと思ったら|先に結論と、休む順番

先に結論をお伝えします。学校事務がつらくて、うつかもしれないと感じているなら、最初にするのは「辞めるかどうかを決めること」ではなく、「休める状態をつくること」です。
心身が疲れ切っているときは、判断する力そのものが落ちています。異動するか、職種を変えるか、辞めるかは、休んで少し回復してから考えても間に合います。この記事は、その順番に沿って書いています。
| 順番 | やること | この記事の章 |
|---|---|---|
| 1 | 医療機関を受診し、休む必要があるかを医師と相談する | 休み方の章 |
| 2 | 病気休暇を取る。長引くなら休職に切り替わる | 休み方の章 |
| 3 | 給与が減ったら、傷病手当金を請求する。共済の相談窓口も使う | お金と相談先の章 |
| 4 | 回復してきたら、何がつらかったのかを分けて考える | 決め方の章 |
| 5 | 異動で変わるのか、職種を変えないと変わらないのかを見極める | 異動の章・転職の章 |
病気休暇や休職の日数、給与の扱いは、全国で同じではありません。法律は大枠を決めているだけで、細かいところは都道府県や政令指定都市の条例・規則で決まります。この記事では、国の制度と東京都の条例・規則を「例」として示します。自分の場合は、必ず勤務先の自治体の規定で確かめてください。
なお、この記事は公立学校の事務職員向けです。先生(教員)の方のうつ病・休職・復職については、教員のうつ病からの復職・転職完全ガイドで詳しく書いています。
学校事務のうつ・休職は珍しくない|文部科学省の統計で見る事務職員のメンタル不調

「学校事務でうつになるなんて、自分が弱いからでは」と思う方もいるかもしれません。まず、数字を見てください。文部科学省「令和6年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、公立学校の事務職員で精神疾患により病気休職した人は、令和6年度に611人でした。
| 令和6年度(公立学校の事務職員) | 人数 | 在職者に占める割合 |
|---|---|---|
| 病気休職者 | 739人 | 1.35% |
| うち精神疾患による病気休職者 | 611人 | 1.12% |
| 病気休職者+1か月以上の病気休暇取得者 | 1,515人 | 2.78% |
| うち精神疾患によるもの | 1,122人 | 2.06% |
在職者数は54,543人(令和6年度学校基本調査)です(同調査 1-2-4 事務職員等の職種別状況)。この数字は小・中学校だけでなく、高校や特別支援学校などを含む公立学校全体の事務職員です。病気休職した739人のうち、611人(約8割)が精神疾患によるものでした。
同じ年度の先生(教育職員)は、精神疾患による病気休職が7,087人で、全教育職員の0.77%でした(同調査の概要)。割合だけを比べると、事務職員のほうが高くなっています。
校種によって差がある
ただし、校種ごとに見ると様子が違います。同「令和5年度」調査で、事務職員等(学校栄養職員を含む)の精神疾患による病気休職者の割合は、小学校0.91%、中学校0.51%、高校1.48%、特別支援学校2.18%でした(1-2-3)。同じ令和5年度の先生は、小学校0.83%、中学校0.74%です。
小・中学校の事務職員だけが特に多い、とまでは言えません。それでも、毎年数百人の事務職員が心の不調で休んでいるのは事実です。あなたが感じているつらさは、珍しいものでも、弱さの証拠でもありません。
いまの学校に来て2年未満の休職が多い
同「令和5年度」調査には、精神疾患で休職した事務職員等(学校栄養職員を含む)632人について、休職が発令された時点で「いまの学校に何年いたか」の集計もあります(1-2-8)。
6か月未満が61人、6か月以上1年未満が142人、1年以上2年未満が163人で、あわせて366人(約58%)が、いまの学校に来て2年未満で休職していました。異動や新しい学校に慣れるまでの時期は、特に注意が要る時期だと言えそうです。
同じ632人の令和6年4月1日時点の状況は、復職221人(35.0%)、引き続き休職287人(45.4%)、退職124人(19.6%)でした。休んだ人の進み方は、ひとつではありません。
事務職員がつらくなりやすい理由|1人配置・仕事の幅・「先生ではない」立場

つらさの原因は人それぞれです。ここでは、事務職員という立場に特有の「つらくなりやすい条件」を整理します。久留米大学心理学研究に載った学校事務職員のメンタルヘルスに関するレビュー論文(2025年)も、同じような背景を挙げています。
小・中学校は1人か少人数で回していることが多い
国の定数の標準(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 第9条)では、小・中学校の事務職員は、4学級以上の学校1校につき1人を基本に数えます。大規模校や、就学援助を受ける児童生徒が特に多い学校などは、1人を加えて数えます。
実際の配置は都道府県の決め方によりますが、先ほどの論文も、小・中学校の多くでは事務職員が1人であることが多いと指摘しています。1人だと、分からないことをすぐ聞ける同僚がいません。ミスの責任も、自分に集まりやすくなります。
仕事の幅が広い
学校教育法は、小学校に事務職員を置かなければならないと定め(第37条第1項。中学校は第49条で準用)、事務職員は「事務をつかさどる」としています。
文部科学省が2020年に示した事務職員の標準的な職務の例には、次のような仕事が並んでいます。
・総務:就学援助、転出入などの学籍、教科書、調査・統計、文書管理、教職員の給与・諸手当・旅費、福利厚生・公務災害
・財務:予算の編成・執行、契約・決算、学校徴収金、補助金、監査
・管財:施設・設備・教具(ICTを含む)の整備と維持管理、備品の整備計画
・さらに、学校運営への参画(会議への参加、学校評価、地域との連携、危機管理、情報管理など)
同じ通知は、事務職員を「学校組織における唯一の総務・財務等に通ずる専門職」と位置づけています。役割が大きくなる一方で、何をどこまで受け持つかは教育委員会や学校によって違い、線引きがあいまいなまま仕事が増えることもあります。
「先生ではない」立場で、先生たちと働く
職員室の中で、事務職員は少数派です。給与や旅費の書類、学校徴収金の締め切りなどで、先生たちに何度もお願いをする立場でもあります。先生たちの側からは、事務職員が1人でいくつの締め切りを抱えているのかが見えにくい、ということもあると思います。
つらさの中身が「仕事の量」なのか、「人間関係」なのか、「1人で抱える責任」なのかで、あとで取れる手が変わります。いま全部を整理できなくても大丈夫です。休んで回復してから、分けて考えれば十分です。
「自分を大切にしながら働いてほしい」
——50代以上・中学校教諭・女性(当社「元教員キャリア実態調査2026」の自由記述より。事務職員ではなく、教員時代に病気休職を経験した元教員の声です)
事務職員の休み方|病気休暇から休職へ、給与はどうなる(国と東京都の例)

ここからは、実際に休むときの制度です。公立小・中学校の事務職員の休暇や休職は、法律の大枠のもとで、都道府県(政令指定都市の学校は市)の条例・規則で決まります。
なぜ自治体ごとに違うのか
地方公務員法は、職員の給与や勤務時間などの勤務条件を条例で定めるとしています(第24条第5項)。公立小・中学校の事務職員の多くは「県費負担教職員」で、その勤務条件は都道府県の条例で定めます(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法) 第42条)。休職などの分限についても、条例で定める事項は都道府県の条例で決めます(同法第43条第3項)。
つまり、「病気休暇は何日まで」「休職中の給与は何割」という数字は、住んでいる都道府県・政令市ごとに違う可能性があります。以下は、国と東京都の例です。
ステップ1:病気休暇(まずはここから)
国家公務員の場合、私傷病による病気休暇は、療養に必要な最小限度の期間で、原則として連続90日を超えることはできません(人事院規則15-14 第21条第1項)。
東京都の区市町村立学校の事務職員には、東京都「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例」が適用されます(第2条第2号)。病気休暇を請求するときは、原則として医師の証明書を示す必要があります(同条例施行規則 第15条第3項)。
給与の面では、東京都の学校職員が病気休暇で給与を減らされないのは、1回につき引き続く90日までです(学校職員の給与に関する条例 第16条、同条例施行規則 第7条の2)。それを超えて勤務しない日は、給与が減額される扱いになります。
ステップ2:休職(病気休暇で足りないとき)
病気休暇で回復しきれないときは、休職になります。地方公務員法第28条第2項第1号は、「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」に休職できると定めています。休職の手続きや効果は条例で定めます(同条第3項)。
東京都の職員の分限に関する条例は、県費負担教職員にも適用されます(第1条)。この条例では、心身の故障による休職の期間は3年を超えない範囲で、休養の程度に応じて決めます(第4条第1項)。復職してから1年以内に同じ病気でまた休職したときは、前の休職期間と通算して3年を超えない範囲です(同条第2項)。
休職の発令の前には、任命権者が指定する医師の診断があらかじめ行われます(同条例第3条第2項)。休職中も職員の身分はそのままで、職務に就かない状態です(第5条第1項)。
休職中の給与(東京都と国の例)
| 東京都の学校職員 | 国家公務員(参考) | |
|---|---|---|
| 病気休暇 | 1回につき引き続く90日までは給与を減らさない | 私傷病は原則として連続90日まで |
| 休職(心身の故障)1年目 | 給料・扶養手当・地域手当・住居手当の80%を支給できる(満1年まで) | 俸給・扶養手当・地域手当・住居手当・期末手当などの80%を支給できる(満1年まで) |
| 休職1年を超えたあと | 条例に別の定めがない限り給与は出ない | 上の支給の定めは満1年まで(同条第6項で、ほかの給与は支給しない) |
| 根拠 | 学校職員の給与に関する条例 第22条第1項第2号、職員の分限に関する条例 第5条第2項 | 一般職の職員の給与に関する法律 第23条第3項 |
表のとおり、東京都の例では、休職して1年を過ぎると給与が出なくなります。ここで生活を支えるのが、次の章の傷病手当金です。
もう一度くり返しますが、日数や割合は自治体によって違うことがあります。勤務先の都道府県・政令市の例規集(条例・規則を集めたページ)で、「学校職員」「勤務時間」「分限」「給与」を探すと見つかります。分からなければ、学校の管理職か、市町村の教育委員会の担当に聞いてかまいません。
休みに入る前に、確かめておきたいこと
・主治医に、どのくらい休む必要がありそうかを聞く(診断書・証明書に書いてもらう)
・管理職(校長・教頭)にいつ、どう伝えるか。電話がつらければ、家族に代わりに連絡してもらう方法もある
・自分の自治体の病気休暇の上限日数と、給与が減り始める日
・休職に切り替わる場合の手続きと、指定医の診断の有無
・引き継ぎは完ぺきでなくていい。締め切りの近い仕事だけ、メモで残す
休職中のお金と相談先|傷病手当金・附加金と公立学校共済組合の窓口

公立学校の職員は、公立学校共済組合の組合員です(地方公務員等共済組合法 第3条第1項第2号)。病気で休んで給与が減ったり止まったりしたときは、共済組合から傷病手当金を受け取れる場合があります。
傷病手当金のしくみ
| 項目 | 内容(地方公務員等共済組合法 第68条ほか) |
|---|---|
| 対象 | 公務によらない病気やけがの療養のため、引き続き勤務できないとき |
| いつから | 勤務できなくなった日から3日を過ぎた日(4日目)から |
| 1日あたりの額 | 支給を始める日の属する月以前の直近12か月の標準報酬月額の平均額の22分の1の、3分の2(組合員期間が12か月未満の人は別の計算) |
| 支給期間 | 同じ病気について、通算1年6か月(結核性の病気は3年) |
| 給与との関係 | 給与が出ている間は、その額に応じて全部または一部が支給されない(第71条) |
ポイントは、給与が満額出ている間は、傷病手当金はほとんど出ないことです。公立学校共済組合「傷病手当金/傷病手当金附加金」も、「休職、休業期間中であっても報酬(給与)が支給されていれば、給付額は減額されます」と書いています。
また、1年6か月は「休み始めた日」から数えるとは限りません。給与が出ていて傷病手当金が全く支給されない間は、実際に支給が始まった日から数えます(第68条第4項)。途中で復職し、また同じ病気で休んだ場合も、出勤した期間は数えずに前後を通算します(第68条第4項。同組合福岡支部の案内も参照)。
附加金で、さらに6か月
公立学校共済組合では、傷病手当金の支給期間(1年6か月、結核性は3年)に、附加給付として6か月が加わります(同組合の案内)。東京都の例のように休職が3年まで認められる場合でも、給与が出る期間と傷病手当金・附加金の期間を合わせると、どこで収入が途切れるかが見えてきます。一度、自分の場合の日付を書き出してみてください。
休職中に退職したら、傷病手当金はどうなる?
公立学校共済組合の案内では、引き続き1年以上職員だった組合員が退職した場合で、在職中に傷病手当金を受けていたか、受けられる状況にあった場合は、退職したあとも傷病手当金(資格喪失後の傷病手当金)を受けられます(法律上は第68条第5項)。
ただし、資格喪失後の傷病手当金には附加金がありません。また、退職後に任意継続組合員になってから支給の要件を満たしても、傷病手当金は出ません。休職中に退職を考えるときは、辞める日を決める前に、所属する支部に要件を確かめてください。
お金以外の相談先
公立学校共済組合「健康相談事業」では、組合員が無料で使える相談窓口を用意しています(2026年9月に確認した内容)。
・LINEを使ったメンタルヘルス相談「心ほっとサポート@公立学校共済」(組合員が対象)
・電話・面談によるメンタルヘルス相談(臨床心理士が対応。組合員と被扶養者が対象。面談は1人年間5回まで)
・Web相談「こころの相談」(24時間受付。臨床心理士が個別に回答)
・教職員電話健康相談24(保健師などが24時間・年中無休で対応)
電話番号やLINEの登録先は、組合員専用ページに載っています。職場の人に知られずに話せる窓口として、覚えておいて損はありません。共済組合で使える制度全体は、公立学校共済組合で使える制度5つにもまとめています。
「とにかく、身体を大事にしてほしい。」
——50代以上・小学校教諭・女性(当社「元教員キャリア実態調査2026」の自由記述より。教員時代に病気休職を経験した方)
異動で変えられること・変えられないこと|県費負担教職員の人事のしくみ

「この学校がつらいだけで、学校事務の仕事そのものは嫌いではない」という方もいると思います。その場合は、異動が選択肢になります。まず、人事のしくみを知っておきましょう。
公立小・中学校の事務職員は、多くが「県費負担教職員」
政令指定都市を除く市町村立の小・中学校などの事務職員の給料は、都道府県が負担します(市町村立学校職員給与負担法 第1条)。こうした職員を「県費負担教職員」と呼び、任命権は都道府県の教育委員会にあります(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法) 第37条第1項)。
一方で、日々の服務の監督は市町村の教育委員会が行います(同法第43条第1項)。都道府県の教育委員会は、市町村の教育委員会の内申をまって、任免などの人事を行います(同法第38条第1項)。
政令指定都市の市立学校の事務職員は、この給与負担法の対象から外れていて、市の教育委員会が任命します(同法第34条)。
異動で変えられること・変えられないこと
| つらさの中身 | 異動で変わる可能性 | 考えたいこと |
|---|---|---|
| 特定の人との関係 | 変わる可能性が高い | 異動の希望を伝える時期と方法を確かめる |
| 学校の規模・業務量 | 変わる可能性がある | 1人配置か複数配置か。共同学校事務室があるか |
| 通勤時間 | 変わる可能性がある | 異動の範囲(市町村をまたぐか)を確かめる |
| 1人で責任を抱える働き方 | 学校によっては変わる | 共同学校事務室や、事務職員同士の相談先があるか |
| 学校事務の仕事そのもの | 変わりにくい | 職種を変える(転職の章)も含めて考える |
県費負担教職員の転任は、同じ都道府県の中で、市町村をまたいで行われることもあります(地教行法第38条第2項)。異動の希望の出し方や時期、どこまで配慮してもらえるかは、都道府県・政令市ごとに違います。
また、地教行法第47条の4は、教育委員会が複数の学校の事務を事務職員が共同で処理する「共同学校事務室」を置けると定めています。置いている地域では、他校の事務職員と組んで仕事をするので、1人で抱え込む状態が和らぐ可能性があります。自分の地域にあるかどうかは、市町村の教育委員会に確かめてください。
休職中や復職直後は、異動の希望を出す時期と、体調の回復が重なることもあります。主治医とも相談しながら、無理のない時期を選んでください。
「続けたいという気持ちが持てる間は素直にその気持ちに従えばいいと思います。ただ教員じゃなくなっても、本気になれば生きていけるのでご安心ください。」
——30代・中学校教諭・男性(当社「元教員キャリア実態調査2026」の自由記述より。教員時代に病気休職を経験した方)
学校事務から転職するなら|辞める前に確かめるお金と、事務の経験が生きる仕事

休んで考えた結果、「学校事務以外の仕事をしてみたい」と思うのも、自然なことです。ただ、公立学校の事務職員が辞めるときには、民間の会社員とは違う点があります。辞める前に、次の3つを確かめてください。
確かめたいこと1:雇用保険(失業手当)
公立学校の正規の事務職員は、先生と同じく地方公務員として、雇用保険の適用除外になっているのが一般的です(雇用保険法 第6条第6号、同法施行規則 第4条)。その場合、辞めても失業手当(基本手当)は原則として出ません。自分がどちらかは、給与明細に「雇用保険料」の天引きがあるかどうかで確かめられます。
代わりに、自治体の退職手当条例には「失業者の退職手当」の定めがあります。たとえば東京都の職員の退職手当に関する条例第13条は、受け取った退職手当の額が、雇用保険に入っていたら受けられた基本手当の額に満たない場合などに、その差額を支給する仕組みです(県費負担教職員も対象。第2条)。勤続が長く退職手当が多い人は、支給されないことがあります。
教員の場合の詳しい説明は、教員は失業手当(失業保険)がもらえない?にあります。事務職員も、地方公務員として考え方は同じです。
確かめたいこと2:辞めたあとの健康保険
退職すると、公立学校共済組合の組合員ではなくなります。国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るか、共済の任意継続組合員になるかを選びます。任意継続は、退職の日の前日まで引き続き1年以上組合員だった人が、退職の日から20日を経過する日までに申し出る仕組みです(地方公務員等共済組合法 第144条の2第1項)。
休職中で傷病手当金を受けている場合は、前の章のとおり、退職後も受けられるか、任意継続を選ぶと何が変わるかを、辞める前に支部に確かめておくと安心です。
確かめたいこと3:次の仕事が決まってから辞めるか
失業手当が出ないことが多い以上、収入が途切れる期間をどう乗り切るかが大事になります。体調が許すなら、在職中(休職中を含む)に情報を集め、次の仕事の見通しを立ててから辞める方が、お金の不安は小さくなります。休職中も職員の身分は続いているので、転職活動をどこまでしてよいかは、動く前に自治体の規定や人事の担当に確かめてください。
公務員の転職の相談先の選び方は、公務員の転職相談 完全ガイドにまとめています。
学校事務の経験が生きる仕事
学校事務で身につけた経験は、「学校の中の事務」だけのものではありません。給与・旅費の計算、予算の執行、契約、学校徴収金の管理、文書管理、保護者や業者とのやりとりは、ほかの職場でも使われる仕事です。
| 方向 | 仕事の例 | 生きる経験 |
|---|---|---|
| 公務員のまま職を変える | 市区町村・都道府県の行政職(経験者採用の試験を行う自治体もある) | 予算・契約・文書管理・住民対応 |
| 学校のまわりで働く | 私立学校・大学など学校法人の事務 | 学籍・就学支援・教職員の手続き |
| 民間企業の事務 | 経理・総務・人事・給与計算 | 給与・旅費・予算の執行・決算 |
| 教育関連の企業 | 学校向けのサービスや教材を扱う会社の事務・サポート | 学校の事務の流れと、先生とのやりとり |
どの道も、受験資格や募集の条件は、自治体や会社ごとに違います。まずは「自分がどの仕事を、どこまでやってきたか」を書き出してみてください。事務職への転職の考え方は、教員向けの記事ですが教員から事務職への転職も参考になると思います。
続ける・変える・辞めるの決め方|休んでから考えればいい

最後に、続ける・変える・辞めるをどう決めるかです。私の考えは、「休んでから決めればいい」です。
休んでいる間に、つらさを分けてみる
回復してきたら、紙に書き出してみてください。「何がつらかったか」を、仕事の量、人間関係、1人で抱える責任、仕事の中身、通勤や家庭の事情に分けます。
分けてみると、「この学校の、この条件がつらかった」のか、「学校事務という仕事そのものが合わない」のかが、少しずつ見えてきます。前者なら異動や働き方の調整で変わる可能性があり、後者なら職種を変える道も視野に入ります。
決める前に確かめたい7つのこと
・主治医は、復職・異動・転職のどれについて、どう言っているか
・自分の自治体の病気休暇の上限と、休職の上限・給与の割合
・傷病手当金・附加金がいつまで受けられるか(日付で)
・異動の希望をいつ、どう出せるか。共同学校事務室があるか
・辞める場合、雇用保険の対象かどうか(給与明細で確かめる)
・辞めたあとの健康保険(国保・扶養・任意継続)
・家族や信頼できる人に、いまの状況を話せているか
私自身、公立中学校での11年目に病気休暇を取り、その後2020年に退職しました。休んだことや、休んだあとの道については「一度休むといけなくなる」は本当かに書いています。教員の場合の休職中の考え方は休職から復職か転職か|休んでいる間に考えたいキャリアの選択肢にもあります。立場は違っても、「休んだあとにどうするか」は、ひとつではありません。
続けるのも、異動で環境を変えるのも、別の仕事に移るのも、どれも間違いではありません。大切なのは、疲れ切った状態で急いで決めないことだと思います。
「健康第一です!」
——50代以上・小学校教諭・女性(当社「元教員キャリア実態調査2026」の自由記述より。教員時代に病気休職を経験した方)
よくある質問
Q. 学校事務がつらくて、うつかもしれません。まず何をすればいいですか?
A. まず医療機関を受診し、休む必要があるかを医師と相談してください。休む場合は、学校の管理職に伝えて病気休暇を取ります。病気休暇の請求に医師の証明書を求める自治体もあります(東京都など)。辞めるかどうかは、休んで少し回復してから考えても間に合います。
Q. 学校事務職員の病気休暇は何日まで取れますか?
A. 自治体の条例・規則で決まるため、全国共通の日数はありません。例として、国家公務員の私傷病による病気休暇は原則として連続90日までです。東京都の学校職員は、病気休暇で給与を減らされないのが1回につき引き続く90日までです。勤務先の都道府県・政令市の規定で確かめてください。
Q. 休職中の給料はどうなりますか?
A. これも自治体によります。東京都の学校職員の場合、心身の故障による休職は、満1年までは給料・扶養手当・地域手当・住居手当の80%を支給できる定めで、1年を超えると条例に別の定めがない限り給与は出ません。国家公務員も、休職1年までは俸給などの80%を支給できる定めです。
Q. 傷病手当金はいつまで、いくらもらえますか?
A. 公立学校共済組合の傷病手当金は、勤務できなくなった日から4日目以降、1日につき直近12か月の標準報酬月額の平均額の22分の1の3分の2です(組合員期間が12か月未満の人は別の計算)。支給期間は同じ病気について通算1年6か月(結核性は3年)で、附加金として6か月が加わります。給与が出ている間は、その額に応じて減額されます。
Q. 学校事務がつらいとき、異動で解決できますか?
A. つらさの原因によります。特定の人との関係や学校の規模、通勤などは、異動で変わる可能性があります。一方、学校事務の仕事そのものが合わない場合は、異動では変わりにくいです。公立小・中学校の事務職員の多くは県費負担教職員で、人事は都道府県の教育委員会(政令市は市)が行います。希望の出し方は自治体ごとに確かめてください。
Q. 学校事務を辞めたら失業手当はもらえますか?
A. 公立学校の正規の事務職員は、地方公務員として雇用保険の適用除外になっているのが一般的で、その場合は失業手当(基本手当)は原則として出ません。給与明細に雇用保険料の天引きがあるかで確かめられます。代わりに退職手当条例の「失業者の退職手当」がありますが、退職手当との差額を埋める仕組みなので、勤続が長いと支給されないことがあります。
Q. 先生(教員)のうつ病・休職とは何が違いますか?
A. 病気休暇・休職・傷病手当金の大きな流れは、公立学校の先生と事務職員で共通する部分が多いです。ただし、職場での立場や仕事の中身、配置の人数は違います。先生の方のうつ病・休職・復職については、Re-Careerの記事「教員のうつ病からの復職・転職完全ガイド」で詳しく書いています。
まとめ
・学校事務がつらい・うつかもしれないと感じたら、先に休める状態をつくる。辞めるかどうかは、休んでから決めても遅くない
・令和6年度、公立学校の事務職員で精神疾患により病気休職した人は611人(1.12%)。あなたのつらさは珍しいものではない
・病気休暇・休職の日数と給与は、都道府県・政令市の条例・規則で決まる。国と東京都の例では、病気休暇は90日が一つの区切り、休職1年までは給料などの8割を支給できる定め
・給与が減ったり止まったりしたら、公立学校共済組合の傷病手当金(通算1年6か月)と附加金(6か月)。無料の相談窓口もある
・公立小・中学校の事務職員の多くは県費負担教職員。人間関係や学校の条件がつらいなら、異動で変わる可能性がある
・辞めるなら、雇用保険の有無、辞めたあとの健康保険、傷病手当金の扱いを先に確かめる
・続ける・異動する・転職する、どれも間違いではない。疲れ切った状態で急いで決めないこと
