新任教員が辞めたいと思ったら|1年目・2年目の悩みと選択肢

新任教員が辞めたいと思ったら|1年目・2年目の悩みと選択肢
新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ500名以上の教員のキャリア相談に対応。

「まだ1年目なのに、もう辞めたいなんて甘えだろうか」「2年目になっても慣れない。自分には向いていないのでは」——新任教員として奮闘する中で、こんな思いを抱えていませんか。

実は、新任教員の離職率は年々上昇しています。文部科学省のデータによると、精神疾患による休職者の中で20代の割合は増加傾向にあり、「若いうちは我慢」という時代ではなくなっています。

この記事では、新任教員が「辞めたい」と感じる原因と、今の状況を改善するための具体的な方法、そして辞める・辞めない両方の選択肢を整理してお伝えします。

新任教員が「辞めたい」と感じる5つの原因

新任教員の教室イメージ

1. 理想と現実のギャップ

教員を目指した頃に描いていた「子どもたちと向き合う毎日」と、実際の業務は大きく異なります。膨大な事務処理、保護者対応、部活動の運営——授業以外の業務に追われる毎日に、「こんなはずじゃなかった」と感じるのは自然なことです。

私自身も教員1年目のとき、授業準備に充てる時間がほとんど取れず、毎日深夜まで教材研究をしていました。「授業がしたくて教員になったのに、授業準備ができない」という矛盾に、何度も心が折れそうになりました。

2. 指導力不足への不安

学級崩壊とまでいかなくても、「授業が上手くいかない」「生徒が話を聞いてくれない」という経験は、新任教員にとって大きなストレスです。周りのベテラン教員と比べて自分の力不足を痛感する場面が続くと、自信を失ってしまいます。特に、研究授業や授業参観で他の先生に見られる場面は、新任教員にとって大きなプレッシャーです。

「毎日の授業が怖くて、朝起きるのが辛かった。でも同期に相談したら、みんな同じことを感じていると知って少し楽になりました」
——Aさん(20代・公立中学校1年目)

3. 職場の人間関係

新任教員にとって、職員室の人間関係は大きな壁です。指導教員との相性、先輩教員からの厳しい指導、暗黙のルール——誰にも相談できない孤立感を抱える新任教員は少なくありません。

4. 長時間労働と休めない文化

朝7時に出勤し、夜8時過ぎに退勤。土日は部活動。新任教員は特に「早く帰れない」「休めない」プレッシャーを感じやすい立場です。身体的な疲労が蓄積すると、判断力も低下し、負のスパイラルに陥りやすくなります。

5. 「石の上にも三年」プレッシャー

「最低3年は続けないと」「すぐ辞めたら次がない」——周囲からのこうしたアドバイスが、かえってプレッシャーになることがあります。しかし、心身の健康を犠牲にしてまで続けることが正解とは限りません

新任教員向けの支援制度を活用する

多くの自治体では、新任教員をサポートするためのメンター制度や初任者研修が設けられています。しかし、制度があっても「忙しくて活用できない」「指導教員との相性が合わない」というケースは少なくありません。

その場合は、学校外のサポートリソースに目を向けてみましょう。教員向けのオンラインコミュニティ、SNSでの教員同士のつながり、教育委員会が運営する相談窓口——一人で抱え込まなくていいのです。「助けを求めること」は弱さではなく、プロフェッショナルとして必要なスキルです。

私がキャリア支援をしてきて実感するのは、早い段階で「相談する」という行動を取れた方ほど、その後のキャリアを前向きに設計できているということ。新任のうちから「自分には選択肢がある」と知っておくことは、長い教員人生の中で大きなお守りになります。

辞める前に試してほしい3つのこと

新しいスタートのイメージ

1. 信頼できる人に話す

同期の教員、大学時代の友人、家族——誰でもいいので、今の気持ちを言葉にすることが大切です。「辞めたい」と口に出すことは甘えではありません。むしろ、自分の状態を客観的に把握する第一歩です。

私がキャリア支援をする中で感じるのは、「相談する」というアクション自体が、状況を変える大きなきっかけになるということ。一人で抱え込まないでください。

2. 業務の「切り捨て」を覚える

新任教員は「全部完璧にやらなければ」と思いがちですが、80点で十分な業務は80点で出す勇気が必要です。掲示物のデザインに2時間かけるより、その時間で睡眠を取る方が、翌日の授業の質は確実に上がります。

3. 異動や校種変更も視野に入れる

「教員を辞める」だけが選択肢ではありません。別の学校への異動や、小学校から中学校(またはその逆)への校種変更で、環境が劇的に変わることがあります。管理職や教育委員会に相談することも検討してみてください。

それでも辞めたいと思ったら

キャリアの選択肢

上記を試しても状況が改善しない場合、転職や退職を視野に入れることは決して逃げではありません。むしろ、自分のキャリアに対して真剣に向き合っている証拠です。

新任教員の転職市場での評価

「1〜2年で辞めたら転職に不利では?」と心配する方が多いですが、20代であれば第二新卒として評価されるケースが増えています。教員経験で身につけた「プレゼン力」「対人スキル」「責任感」は、多くの業界で求められるスキルです。

「1年目の冬に体調を崩して退職を決意しました。不安でしたが、第二新卒としてEdTech企業に転職できました。今は教育に関わりながら、自分のペースで働けています」
——Bさん(20代・元小学校教員→EdTech企業)

在職中に始められること

すぐに辞める決断ができなくても、情報収集は今日から始められます。転職サイトに登録して求人を見る、キャリア相談サービスを利用する、教員経験を活かせる業界を調べる——小さな一歩が、将来の選択肢を広げます。

大切なのは、「辞めるか辞めないか」の二択ではなく、「自分にはどんな選択肢があるのか」を知ること。それだけで、今の仕事に対する気持ちも変わってくるはずです。

まとめ

新任教員が「辞めたい」と感じることは、甘えでも逃げでもありません。理想と現実のギャップ、長時間労働、人間関係——構造的な問題が原因であることがほとんどです。

まずは信頼できる人に相談し、業務の取捨選択を覚え、異動という選択肢も検討してみてください。それでも状況が変わらなければ、転職という道もあります。あなたの人生は、あなたが選んでいいのです。


Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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Re-Careerは元教員が立ち上げた、教員専門のキャリア支援サービスです。
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