教員シングルマザーの仕事と生活|学校勤務を続ける?転職する?

教員シングルマザーの仕事と生活|学校勤務を続ける?転職する?
新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ500名以上の教員のキャリア相談に対応。

「シングルマザーになった(なる)けど、教員の仕事を続けていけるのかな」

離婚を考えている、または離婚が決まった教員女性から、Re-Careerに届く相談の中でもとくに切実なのがこのテーマです。

教員という仕事は、安定収入・社会的信用・福利厚生など、シングルマザーにとって有利な要素がある一方で、長時間労働・持ち帰り仕事・部活動など、一人親での両立を難しくする要素もあります。この記事では、教員シングルマザーが仕事と生活を成り立たせるための選択肢を、続ける/転職する両方の視点から整理します。

「離婚を決めたとき、一番不安だったのは「この仕事を続けられるか」でした。収入は必要、でも子どもの時間も守りたい。どっちかを諦めないといけないのかな、と。」
——30代・小学校教員(シングルマザー)

教員シングルマザーの「メリット」4つ

赤ちゃんを抱きしめる両親(保護者の温かさ)

① 収入が安定し、継続的に得られる

公立教員は地方公務員としての給与体系があり、景気に関係なく安定収入が確保されます。シングルマザー世帯の平均年収が約272万円(厚労省・令和3年調査)とされる中、教員の平均年収は30代で450〜550万円、40代では550〜650万円程度が目安。経済的な自立という意味では、強い基盤があります。

② 社会的信用が高く、ローン・賃貸が通りやすい

離婚後に新しい住居を探したり、住宅ローンを組み直したりする場面で、「教員」という職業は信用審査で有利に働きます。シングルマザーが直面しがちな「審査落ち」のリスクを軽減できる点は大きなメリットです。

③ 学校行事・長期休暇が子どもと合致しやすい

夏休み・冬休み・春休みといった長期休暇は、自分の仕事も子どもの学校も休みになるという、他職業にはないメリット。平日も基本的には遅くとも19〜20時には帰宅しやすい構造(部活を除く)があります。

④ 子育て経験が仕事に活きる

シングルマザーとして日々子育てしている経験は、教員としての保護者対応・児童理解にダイレクトに活きます。「同じ立場の親の気持ちがわかる先生」として、保護者からの信頼を得るケースも多いです。

教員シングルマザーの「デメリット」5つ

夜の暗い道(一人で抱える重さ)

① 長時間労働が子育て時間を圧迫する

持ち帰り仕事や会議・研修で帰宅時間が読めないのは、一人親家庭にとって大きな負担です。学童保育・保育園の延長料金、夜間のベビーシッター代など、追加費用が発生するケースもあります。

② 急な休みが取りづらい

子どもの体調不良や保育園からの呼び出しがあったとき、授業をすぐ代われる人がいない教員の構造上、「休みにくい」空気があります。子ども看護休暇はあるものの、実際に使える雰囲気かどうかは学校によって差が大きいのが現実です。

関連記事:教員の有給(年休)取得率は何%?【独自調査200名】

③ 部活顧問の負担が重くのしかかる

中学校・高校教員の場合、部活顧問の土日指導は一人親にとって致命的。「部活の日は子どもを実家に預ける」「週末は子どもと過ごせない」という状況が続くと、親子関係にもストレスが蓄積します。

④ 教員同士のつながりが「閉じた世界」になりがち

職場の人間関係が学校内に閉じがちな教員職の特性上、離婚後に「外の世界」の知り合いが少ない状態で孤立するケースがあります。同僚に相談しにくい内容(離婚や再婚、恋愛など)を抱えたとき、支援を得にくい構造があります。

⑤ 再婚・恋愛の時間を取りにくい

シングルマザーが再婚や新しい出会いを考えたとき、平日夜と土日を確保しにくい教員の仕事スケジュールは、やはりハードル。これは続けるか転職するかを考える上で、無視できない要素です。

「離婚してから2年、娘との二人暮らしは穏やかだけど、「このままでいいのかな」って思うこともあります。仕事と育児で毎日がいっぱいいっぱい。」
——30代・中学校教員(シングルマザー)

選択肢①:いまの学校勤務を続ける

万年筆で書き留める手元(計画)

続ける場合に活用したい制度

教員には公務員ならではの制度が整っています。使える制度を知って、遠慮せず活用することが大切です。

  • 時短勤務制度:小学校就学前の子を養育する場合、勤務時間を短縮できる(自治体により運用差あり)
  • 子ども看護休暇:未就学児の病気・ケガの看護のため年5日(複数子は10日)
  • 介護休暇・育児部分休業:必要に応じて柔軟に利用可能
  • ひとり親世帯向けの就労支援・手当:児童扶養手当など自治体サポート

異動希望で働き方を調整

現在の勤務校が厳しすぎる場合、毎年の人事希望で「部活負担の少ない学校」「通勤時間の短い学校」「子育てに理解がある管理職の学校」を希望することができます。異動希望書に「一人で子育てしている」という事情を具体的に書くのは、十分に許される交渉です。

続けるための「頼る仕組み」づくり

  • 実家・義実家との関係を保ち、子どもの看病・送り迎えで頼る
  • ファミリーサポート、病児保育、延長保育など公的サービスを登録
  • 同じ状況の教員ママとのネットワーク構築(Re-CCコミュニティもおすすめ)
  • 家事代行やミールキットなど、時短投資への躊躇をやめる

選択肢②:転職して働き方を変える

開いた白いドア(新しい選択)

転職を選ぶケースの多いパターン

すべてのシングルマザーに転職をおすすめするわけではありません。でも、次のような状況では転職を検討する価値があります。

  • 部活顧問を外してもらえる見込みがない
  • 通勤時間が片道1時間以上
  • 管理職・同僚の理解が得られず、精神的に疲弊している
  • 子どもと過ごす時間を最優先したい時期(幼児〜小学校低学年)

教員経験が活きる転職先

教員経験は、転職市場でも十分に評価される経験です。特にシングルマザー・共働き家庭のワークライフバランスが取りやすい業界・職種を挙げます。

  • 教育系企業:EdTech、学習塾の本部職、通信教育の教材制作など
  • 教育委員会事務局・行政:公務員としての身分を維持しつつ、部活なし・定時帰宅の職場へ
  • スクールカウンセラー・相談員:児童との関わりを活かせる専門職
  • 人事・研修業界:「教える力」をビジネス文脈で活かせる
  • 事務職(一般企業):シンプルに定時で働き、家庭時間を確保するという選択肢

関連記事:
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転職時の注意点

  • 年収がいったん下がる可能性:教員の安定給与から民間へ移ると、初年度は年収が下がるケースが多い
  • 信用情報:ローン審査中の転職はタイミングに注意
  • 退職金・共済年金:受け取り時期と税金の計算を事前確認
  • 次の職場の「子育て制度」:面接段階で遠慮なく確認する

「悩んだ末に、40歳のとき小学校教員からEdTech企業の教材企画に転職しました。年収は一時的に下がったけど、残業ゼロ・土日完全オフで、娘との時間が増えた。それが何より大きい。」
——40代・元小学校教員(現EdTech企業)

選択肢③:休職して、一度立て直す

木の机に置かれたコーヒー1杯(休息と静かな時間)

「続ける」と「転職する」の間には、「休職する」という第三の選択肢があります。

教員には、病気休職(最大3年)、介護休業、育児休業といった制度があります。シングルマザーの場合、子育てと仕事の両立で心身を消耗していれば、病気休職(適応障害・抑うつなど)の対象になり得ます。休職中は給与の一部(自治体による・最初の1年は満額支給が多い)も継続し、身分も保たれます。

休職期間中に、「復帰するか」「転職するか」をゆっくり考えることができます。

関連記事:教員の休職制度を徹底解説|休職中にできるキャリアの見直し方

「正解」は人それぞれ——判断軸を持つ

雲海と夕焼けの山(展望と選択)

続けるか、転職するか、休むか——正解は一つじゃありません。次の3つの軸で自分の現状を見てみてください。

① 経済面:必要な月収・将来の教育費

最低限必要な月収、子どもの教育費(高校・大学)、老後の貯蓄——これを数字にしてみましょう。教員として続けるなら達成できるのか、転職先候補でも足りるのか、が見えてきます。

② 時間面:子どもと過ごせる時間

子どもと朝ごはんを一緒に食べられるか、放課後に一緒にいられるか、土日を一緒に過ごせるか——時間の優先順位を書き出してみましょう。「今、時間を取れなかったら後悔する時期」は、実は限られた期間です。

③ 精神面:自分が消耗していないか

毎朝起きるのがつらくないか、休日に何も楽しめなくなっていないか、子どもに笑顔で接せているか——自分のメンタル状態をチェックすることは、何よりも大切です。自分が倒れたら、子どもを守ることもできません。

まとめ|シングルマザーでも、選択肢はちゃんとある

シングルマザーとして教員を続けるのも、転職するのも、休職するのも、どれも立派な選択です。大事なのは「こうあるべき」という他人の声ではなく、自分と子どもの生活に何が必要かを軸に決めること。

Re-Careerには、シングルマザーとして教員を続けている方、退職してキャリアチェンジした方、休職を経てまた学校に戻った方——さまざまな選択をした元教員の方がいます。それぞれが納得して選んでいれば、それが正解です。

迷ったときは、一人で抱え込まず、同じ立場の方や専門家に相談してみてください。Re-Careerでも、シングルマザーの先生方からの相談をたくさん受け付けています。

よくある質問(FAQ)

ノートと万年筆(書き出して考える)

Q. 離婚後、すぐに住宅ローンを組めますか?

A. 教員という安定職なら、単独名義でもローン審査は通りやすい傾向があります。ただし、離婚時の財産分与や養育費の取り決めが明確になっていることが前提。離婚前にファイナンシャルプランナーや弁護士に相談して、離婚後の収支計画を作っておくと安心です。

Q. シングルマザーであることを職場に伝えるべき?

A. 法律上の義務はありません。ただ、校長・教頭など直属の上司には伝えておくと、急な呼び出しや行事の配慮を受けやすくなります。同僚全員に伝える必要はなく、信頼できる人にだけ共有するのが現実的です。

Q. 再婚を視野に入れる場合、子どもへの影響は?

A. 子どもの年齢・性格・新しいパートナーとの関係性によって大きく変わります。焦って決めず、子どもの気持ちを何度も確認し、段階的に関係を築くのが鉄則。Re-Careerでは再婚を考えるシングルマザーの先生からの相談も受けています。

Q. 離婚後、教員を続けるのと辞めるの、どちらが子どもに良い?

A. どちらが良いとは一概に言えません。続けることで経済的安定を優先する選択も、転職で時間を優先する選択も、それぞれ子どもにとって価値があります。大切なのは「母親(父親)が自分を大事にしている姿」を子どもに見せること。疲れ果てた姿より、自分で選んで納得している姿が、子どもの安心につながります。


Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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Re-Careerは元教員が立ち上げた、教員専門のキャリア支援サービスです。
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