モヤモヤを抱えたまま6年続けた養護教諭が、「自分にできることをやっていこう」と思えるまで
ゆきさん(沖縄県・27歳・養護教諭臨任6年・現役続行中)
沖縄県で養護教諭として6年間働く ゆきさん(27歳)。中学生の時に保健室に救われた経験から、自分もそういう存在になりたいと養護教諭を目指した。しかし、3年目ころから、求められる役割がどんどん広がっていく感覚が重なり、漠然とした不安が積み重なっていった。安定という言葉に引っかかりながら、モヤモヤを抱えたまま続けてきた。SSプログラムで「あるを見る」という考え方に出会い、自分にできることをやっていこうと思えるようになった今、前向きに教壇に立っている。
保健室に救われた中学生が、保健室の先生を目指した
— 新川:
養護教諭を目指したきっかけを教えてもらえますか?
— ゆきさん:
中学生の時に保健室の先生にお世話になることが多くて、保健室や養護の先生が私の居場所となってくれていたんです。自分もそういう存在になりたいなと思って目指しました。中学生ぐらいから本格的に思い始めて、そのまま高校・大学と進路を選んできました。
— 新川:
実際に養護教諭になってみて、良かったと感じる瞬間はどんな時ですか?
— ゆきさん:
子どもの笑顔が見られた時や成長が見られた時、そして卒業してからの姿を見た時が一番嬉しいです。元気にしている姿を見ると、この仕事をやっていて良かったなと思います。
「保健室が私の居場所になってくれた。自分もそういう存在になりたいと思って、養護教諭を目指しました」
3年目からの重なり——どこまで求められるのか
— 新川:
大変さを感じ始めたのはいつ頃でしたか?
— ゆきさん:
3年目ぐらいですね。子どもたちが抱える課題が複雑になってきていて、何かあったらとりあえず保健室に、とりあえず養護の先生に、という対応が増えてきていて。特別支援もメンタルヘルスも職員の健康問題も、全部養護の先生がみたいな感じで言われることが増えて、どこまで求められているんだろうという不安がありました。
— 新川:
さらに部活動の顧問もされているんですよね。
— ゆきさん:
小さい学校なので部活も受け持っています。養護教諭で部活を持つのはあまり多くないと思うんですが、土日出勤もあってそれもきつかったですね。月曜から金曜も責任を追いながら、部活もやるという状況でした。
— 新川:
そうした状況の中で、やめたいという気持ちは浮かびましたか?
— ゆきさん:
これを定年まで続けられるのかという漠然とした不安という感じですね。でもやっぱり安定という部分が一番引っかかっていたかもしれません。しんどいな、定年まで働けないなと思いつつも、安定があるからやめるほどには動けないという感じでした。
「どこまで求められているんだろうという不安がありました。でも安定への引っかかりが、やめるという選択を遠ざけていました」
SSとの出会い——自分と向き合うきっかけを探していた
— 新川:
SSを知ったのはどんなきっかけでしたか?
— ゆきさん:
インスタで検索していて見つけて、ちょうど1週間後にセミナーがあったので、出てみようかなというくらいの気持ちで参加しました。セミナーで「あるを見る」という言葉や、変えられないものではなく自分自身は変えられる、変えられるものにフォーカスするという言葉を聞いて、自分自身を知りたい、向き合ういいきっかけになると思いました。
— 新川:
プログラムを受けてみようと思った決め手は何でしたか?
— ゆきさん:
自分自身と向き合ってこなかったなということに気づいて。そこが大きかったと思います。
「あるを見る」——気持ちが変わったワード
— 新川:
プログラムで特に印象に残っていることは何ですか?
— ゆきさん:
毎回いろんな気づきがあって楽しかったんですが、やっぱりステップ2の「あるを見る」から始まって、グッドシングス(good things)を自分で楽しみながらやれていたのが大きかったです。気持ち的にも前向きになれているなと感じました。
— 新川:
プログラムを受ける前と後で、自分に対する感覚はどう変わりましたか?
— ゆきさん:
前は他の先生と比べたりして、自分でいいのかなとか自分なんてって思うことがあったんですが、「あるを見る」で自分にもできることがあるなとか、自分ができることをやっていこうという気持ちがプラスの方向に向かいました。
— 新川:
受けていなかったらどうなっていたと思いますか?
— ゆきさん:
不安やモヤモヤを抱えたまま、少しの自信もないままだったと思います。モヤモヤを1番抱えたままというのが大きかったかもしれません。
「「あるを見る」で、自分にもできることがあると思えるようになった。気持ちがプラスの方向に向かいました」
今の気持ち——自分ができることをやっていこう

— 新川:
今はどんな気持ちで働いていますか?
— ゆきさん:
モヤモヤすることはなくなっていて、本当に自分ができることをやっていこうという感じです。続けることを自分で選んで、前向きに働けています。
— 新川:
これからについてはどんなことを考えていますか?
— ゆきさん:
SSで見つけたやりたいことに向かっていくことも考えています。この選択が絶対守らなきゃいけないものではないですし、いざ次の挑戦というタイミングが来た時に迷わず進めるような自信と経験を積んでいきたいです。
「モヤモヤはなくなりました。自分ができることをやっていこうという気持ちで、今は前向きに働けています」
迷っている先生へ
— 新川:
続ける自信がない、転職してもいいのか迷っている先生たちへ一言いただけますか?
— ゆきさん:
自分が出した選択ならどんな選択でも正解だと思います。一度自分と向き合うことで答えが出てくると思うので、自分と向き合って選択してみたらいいかなと思います。
「自分が出した選択なら、どんな選択でも正解。まず自分と向き合って、そこから選択してみてほしいです」
編集後記
ゆきさんのインタビューで印象的だったのは、「保健室に救われた子どもが、保健室の先生になった」という原点のきれいさだ。憧れから始まったキャリアが、3年目から重さを増していく。でもその重さに押しつぶされるのではなく、「あるを見る」という考え方を手にして、自分ができることに目を向けていった。
27歳という若さで6年間、養護教諭として部活顧問まで担いながら走ってきた。モヤモヤを抱えながらも安定という言葉に引っかかって動けなかった時間が、SSを通じて少しずつ変化していった。
「自分が出した選択ならどんな選択でも正解」という言葉が、27歳の養護教諭から出てくることに温かさを感じた。自分と向き合う経験が、他の誰かへのメッセージになっていた。
取材・文:新川(Re-Career株式会社 代表取締役)
