教員の履歴書の書き方|志望動機・職歴欄の記入例つき

教員の履歴書の書き方
新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に感じた「このままでいいのか」という想いを原点に、教員専門のキャリア支援会社を設立。延べ500名以上の教員のキャリア相談に対応。

「履歴書って、何をどう書けばいいんだろう?」――教員として長年働いてきた方ほど、いざ履歴書を書こうとすると手が止まってしまうのではないでしょうか。民間企業への応募はもちろん、別の自治体への転職や非常勤講師への切り替えなど、さまざまな場面で履歴書は求められます。

しかし、教員の経歴は一般的な職歴とは少し異なります。「職歴欄にはどこまで書くの?」「志望動機はどうまとめればいいの?」といった疑問は、転職活動が初めての教員にとって切実な悩みかもしれません。

この記事では、教員が履歴書を書くときに押さえておきたいポイントを、志望動機・職歴欄の具体的な記入例とともに解説します。転職するかどうかはまだ決めていないという方も、「書ける状態」にしておくことは、自分のキャリアを見つめ直す大切な一歩です。

教員の履歴書が「書きにくい」と感じる理由

履歴書の書き方

履歴書を書こうとして「何を書けばいいかわからない」と感じる教員は少なくありません。その背景には、教員という職業特有の事情があります。まずは、なぜ教員にとって履歴書が書きにくいのかを整理してみましょう。

職歴が「1社のみ」になりやすい

新卒で教員になり、そのまま同じ自治体で10年、15年と勤務している方は多いのではないでしょうか。民間企業であれば部署異動や昇進が職歴欄に反映されますが、教員の場合は「○○市立△△中学校 着任」「○○市立□□中学校 異動」のように、変化が乏しく見えてしまうことがあります。

しかし、実際には担当教科の変更、学年主任や教務主任への就任、部活動顧問、校内研究の推進など、役割や責任は大きく変化しています。これらをどう職歴欄に盛り込むかが最初のポイントになります。

「成果」を数字で語る経験が少ない

民間企業では「売上○%アップ」「新規顧客○件獲得」のように成果を数値化するのが一般的です。一方、教員の仕事は数値化しにくいものが多く、「自分には書ける成果がない」と感じてしまう方もいるかもしれません。ですが、教員にも書ける成果はたくさんあります。これについては後のセクションで詳しくお伝えします。

志望動機の「軸」が定まりにくい

「教員を辞めて何がしたいのか」が明確でないと、志望動機は曖昧になりがちです。特に、辞めたい理由が「今の環境がつらいから」という場合、志望動機をポジティブに書くのは難しく感じるかもしれません。大切なのは、「辞めたい理由」と「志望動機」を切り離して考えることです。

Re-Careerの相談でも、「履歴書を書こうとしたら、職歴欄に『○○市立△△中学校 教諭』としか書けなくて、手が止まった」という声をよくいただきます。民間企業を経験していないと、書き方の”お手本”がないので当然のことです。

「教員しかやったことがないから、職歴欄に書くことが何もない気がして…。でもアドバイスをもらって書いてみたら、自分の経験って意外と伝えられるんだと気づきました」
——Aさん(30代・元小学校教員→教育系NPO)

私自身も教員時代、「もし転職するとしたら、履歴書に何を書けばいいんだろう」と不安に感じたことがあります。でも大丈夫です。教員としての経験は、書き方次第でしっかり伝わります。

教員の履歴書・職歴欄の書き方と記入例

キャリアに悩む教員

ここからは、履歴書の各項目について具体的な書き方を解説します。教員経験をどのように表現するかで、採用担当者への印象は大きく変わります。

職歴欄の基本フォーマット

教員の職歴は、以下のように記載するのが基本です。

【記入例】

令和○年4月 ○○県○○市立△△中学校 着任(英語科担当)
令和○年4月 ○○県○○市立□□中学校 異動(英語科担当・学年主任)
令和○年3月 ○○県○○市立□□中学校 退職(予定)

ポイントは、単に学校名だけでなく、担当教科や役職も併記することです。学年主任、教務主任、研究主任、特別支援コーディネーターなどの役割は、マネジメント経験やリーダーシップの証明になります。

非常勤・臨時的任用の場合の書き方

常勤講師や非常勤講師として勤務した期間がある場合は、「常勤講師として勤務」「非常勤講師(週○時間)として勤務」のように明記しましょう。雇用形態を正直に書くことは、信頼感につながります。

免許・資格欄の書き方

教員免許は必ず記載しましょう。「中学校教諭一種免許状(英語)」「高等学校教諭一種免許状(英語)」のように、学校種・種別・教科を正式名称で書きます。その他、TOEIC、英検、ICT関連資格、カウンセリング資格なども保有していれば記載します。

教員の履歴書・志望動機の書き方と記入例

ノートパソコンで作業するイメージ

志望動機は、採用担当者が最も注目する項目の一つです。教員からの転職の場合、「なぜ教員を辞めるのか」と「なぜこの会社を志望するのか」の両方に答える必要があります。

志望動機の3つの構成要素

志望動機は、以下の3つの要素で構成すると説得力が増します。

1. 教員経験で得たスキルや強み
まず、教員として培ったスキルを具体的に示します。「プレゼンテーション能力」「多様な関係者との調整力」「カリキュラム設計力」など、民間でも通用する言葉に置き換えることが大切です。

2. 転職を考えたきっかけ(前向きな表現で)
「教育に携わる中で、より広い対象に学びの機会を届けたいと考えるようになりました」のように、ネガティブな退職理由ではなく、前向きな方向性として語ります。

3. 志望企業・職種との接点
応募先の事業内容や理念と、自分の経験・価値観がどう重なるかを具体的に書きます。

志望動機の記入例(EdTech企業への応募)

【記入例】

「10年間の教員経験の中で、ICTを活用した授業改善に取り組み、タブレット端末を活用した個別最適化学習の実践を行ってまいりました。この経験を通じて、テクノロジーの力で教育の可能性を広げることに強い関心を持つようになりました。貴社のプロダクトが目指す『すべての子どもに質の高い学びを届ける』というビジョンに共感し、教育現場のリアルな課題を知る者として、プロダクト開発やカスタマーサクセスの領域で貢献したいと考えております。」

志望動機のNG例と改善ポイント

NG例:「教員の仕事が激務で体調を崩したため、転職を考えました。」

これは正直な理由かもしれませんが、採用担当者には「うちでも同じことにならないか」と不安を与えてしまいます。改善例:「教員として多くの経験を積む中で、自身の専門性を活かしながらも、より持続可能な働き方でキャリアを築きたいと考えるようになりました。」のように、前向きな意思決定として伝えることが重要です。

志望動機をまとめる際には、教員の自己PRの書き方の記事も参考にしてみてください。自己PRと志望動機は密接に関連しており、一貫性を持たせることで説得力が格段に上がります。

履歴書と職務経歴書の違いと使い分け

コーヒーを飲みながら考える

転職活動では、履歴書と職務経歴書の両方を求められることがほとんどです。それぞれの役割を理解し、適切に使い分けることが大切です。

履歴書の役割:「基本情報」を伝える書類

履歴書は、氏名・住所・学歴・職歴・免許・志望動機といった基本的なプロフィールを伝える書類です。フォーマットが決まっているため、書ける情報量には限りがあります。だからこそ、簡潔かつ正確に記載することが求められます。

職務経歴書の役割:「何ができるか」を伝える書類

職務経歴書は、これまでの業務内容や実績を自由な形式で詳しくアピールするための書類です。教員の場合、担当学年・教科・校務分掌・部活動指導・研究活動・保護者対応など、幅広い業務を具体的に記載できます。

職務経歴書の書き方については、教員の職務経歴書に書く「成果」の見つけ方と書き方10例の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてお読みください。

両方で一貫したストーリーを描く

履歴書と職務経歴書は、別々の書類ではありますが、一つのストーリーとして読まれることを意識しましょう。履歴書の志望動機で述べた方向性が、職務経歴書の実績や自己PRで裏付けられている状態が理想です。

教員が履歴書を書くときの5つの注意点

新しい始まりのイメージ

最後に、教員が履歴書を書く際に見落としがちな注意点を5つまとめます。細かい点ですが、採用担当者の印象を左右するポイントです。

1. 写真は「ビジネス仕様」で準備する

教員時代の証明写真をそのまま使い回すのは避けましょう。スーツ着用、背景は白または薄いブルーで、清潔感のあるビジネスフォトを用意します。写真館やスピード写真でも、ビジネス用途に適したものを選びましょう。

2. 手書きかPC作成かは応募先に合わせる

最近はPC作成が主流ですが、業界や企業によっては手書きを好む場合もあります。指定がなければPC作成で問題ありませんが、丁寧さを重視する企業には手書きも選択肢です。

3. 「教諭」と「講師」の区別を正確に

正規採用の「教諭」と、臨時的任用の「講師」は明確に区別して記載しましょう。曖昧な表現は信用を損ねる原因になります。

4. 退職理由は簡潔に

履歴書の職歴欄では、退職理由は「一身上の都合により退職」で十分です。詳しい理由は面接で聞かれた際に答えればよいので、履歴書では事実のみを簡潔に記載しましょう。面接での答え方については、教員の転職面接で「なぜ辞めるのか」にどう答える?の記事が参考になります。

5. 誤字脱字・年号のミスに注意

基本中の基本ですが、誤字脱字や年号の計算ミスは意外に多いものです。特に、着任年月日や異動年月日は正確に記載しましょう。提出前に必ず第三者にチェックしてもらうことをおすすめします。

まとめ

教員の履歴書の書き方について、職歴欄から志望動機、注意点まで解説してきました。ポイントを振り返ります。

  1. 職歴欄には学校名だけでなく、担当教科・役職・校務分掌も記載してアピール材料にする
  2. 志望動機は「教員経験で得た強み」「転職のきっかけ(前向きに)」「応募先との接点」の3要素で構成する
  3. 履歴書と職務経歴書は一つのストーリーとして一貫性を持たせる
  4. 写真・表記の正確さ・退職理由の書き方など、細部にも気を配る

転職するかどうかを決める前でも、履歴書を「書ける状態」にしておくことには大きな価値があります。自分のキャリアを棚卸しし、言葉にするプロセスそのものが、これからの選択に力を与えてくれるはずです。辞める・辞めないに関わらず、選択肢を知っておくことが、あなた自身のキャリアを守る第一歩です。


Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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