英語教師の英語力が低いと言われる理由|元英語教員が語る現場のリアルとレベルアップ法

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のプロフェッショナル集団として、延べ1,000名以上のキャリア支援に携わる。

「英語教師なのに英語が話せない」「中学・高校の英語教員のレベルが低い」

ネット上では、英語教員のレベルを批判する声を見かけることがあります。実際に「英語 教師 レベル 低い」と検索する人の中には、英語教員自身が「自分の英語力で本当に教えていいのか」と不安を抱えて検索しているケースもとても多いんです。

結論からお伝えすると、「英語教員のレベルが低い」と一括りにする見方は実態に合いません。一方で、現場の英語教員が「英語力を保ち、伸ばすこと」に難しさを抱えているのは事実です。その背景には、教員個人の能力ではなく、構造的な3つの理由があります。

この記事では、「英語教師のレベルが低い」と言われる背景、文科省データで見る実態、現場で英語力が伸びにくい3つの構造的理由、そして私自身の英語教員時代の体験から、今すぐできるレベルアップ法、英語力に悩む教員のキャリア選択肢まで、元公立中学校英語教員10年以上、キャリア支援1,000名以上の私が当事者目線でお伝えします。

この記事でわかること

  • 「英語教師のレベルが低い」と検索される背景と検索者の心理
  • 英検準1級保持率など文科省データで見る実態
  • 英語力が伸びにくい3つの構造的理由
  • 今すぐできるレベルアップ法5選
  • 英語力に悩む英語教員のキャリア選択肢

「英語教師のレベルが低い」と言われる背景|検索する人の心理

英語教員の悩み

「英語 教師 レベル 低い」というキーワードで検索する人は、大きく分けて4つのタイプに分かれます。

タイプ①:英語教員自身が自分の英語力に不安を感じている

実は検索者の多くが当事者である英語教員自身です。「自分の発音は本当に大丈夫だろうか」「ネイティブ並みに話せないのに英語を教えていいのか」という自己評価の低さからの不安検索。最も切実で、寄り添いたい層です。

タイプ②:保護者・受験生・学習者が学校英語に疑問を感じている

「学校の英語教師にネイティブ並みの発音を求めるのはナンセンス」という意見もある一方で、保護者や学習者は「結果として英語が話せない大人が量産されている」現実から、教員のレベルを批判的に検索することがあります。

タイプ③:英語教員を目指す学生・社会人

「自分のレベルで英語教員になれるのか」「英検何級くらいあれば足りるのか」を調べたい層。受験対策・キャリア選択の文脈での検索です。

タイプ④:教育改革を議論する人(メディア・研究者・政策関係者)

日本の英語教育改革の文脈で、教員のレベルを論じる目的で検索する層。現場視点ではないため、批判的な議論になりがちです。

それぞれの検索者にとって、必要な情報は違います。この記事では、特にタイプ①の「英語力に悩む現役英語教員」に向けて、当事者目線で書いています

データで見る英語教員のレベル|英検準1級保持率と現場のリアル

データを確認する

「英語教員のレベルが低い」と一括りに言われがちですが、客観データで見るとどうでしょうか。文部科学省の「英語教育実施状況調査」から見える実態を整理します。

英検準1級以上保持率:中学52%/高校75%

文科省が目標として掲げる「中学校英語教員:英検準1級相当以上」「高校英語教員:英検準1級相当以上」の保持率は、2023年度調査で中学校52.1%、高校75.4%。10年前(2013年度)は中学27.7%・高校52.7%だったので、大幅に向上していることがわかります。

政府目標は中学75%・高校85%

政府が掲げる目標は中学校75%・高校85%以上。中学校はまだ目標に届いていませんが、年々上昇傾向にあります。「英語教員の英語力は10年前に比べて確実に底上げされている」というのが客観的な事実です。

地域差・学校差は大きい

ただし、地域・学校による差は依然として大きく、都道府県別では中学校で30%台〜70%台まで開きがあります。「英語教員のレベル」を一括りに語ることは、データ上も実態に合いません。

「準1級」だけでは測れないものもある

英検準1級は「Cレベル(自立した英語使用者)」相当。日常会話・授業運営には十分なレベルですが、ネイティブとの自然なディスカッションや専門的な議論には1級・準1級上位の能力が必要です。「英検準1級保持=完璧」ではないという前提も大切です。

「英検準1級は持っているけど、それでも教室で英語だけで授業するのには不安がある。資格と実用力にはギャップがある。」
——38歳・公立中学校英語教員・女性

海外と比較した日本の英語教員養成|韓国・フィンランドとの違い

海外との比較

「日本の英語教員のレベル」を語るなら、海外との比較も参考になります。教員養成・採用・研修の制度設計が大きく異なるからです。

韓国|採用試験で英語力を厳格に審査

韓国では英語教員採用試験でTEPS(韓国版TOEFLのようなもの)の高スコアが事実上必須。さらに2009年から「英語授業を英語で行う」方針が国レベルで進められ、教員の英語力底上げが体系的に進められてきました。日本と比べて「英語力そのものを採用基準にする」姿勢が明確です。

フィンランド|大学院修了が教員免許の前提

フィンランドでは教員になるのに修士号(5年制)が必須。英語教員も「英語学」「教育学」両方の修士課程を経るため、英語力と教育専門性の両立が制度的に担保されています。給与は日本と同程度ですが、社会的地位は非常に高いのが特徴です。

日本|学部卒で採用、その後の研修も指導法中心

日本は学部卒(4年)で教員免許取得・採用可能。採用後の研修も「指導法・生徒指導」が中心で、英語力そのもののブラッシュアップは個人の努力に委ねられているのが現状。制度設計上、海外と比べて「英語力を制度として保つ仕組み」が弱いのです。

「日本の英語教員のレベルが低い」という見方は、教員個人の問題ではなく、制度設計の違いに由来する部分が大きいと言えます。

なぜ「英語力が低くなりがち」なのか|3つの構造的理由

構造的な要因

個々の英語教員が努力しているのに、なぜ「英語力を保つ・伸ばすのが難しい」状況が生まれるのか。3つの構造的な理由を整理します。

① 英語を使う環境が極端に少ない

英語教員といえども、日々の業務のほとんどは日本語です。職員室の会話、保護者対応、校務分掌、各種会議、書類作成──英語を使う場面は授業中のみ。ネイティブの先生がいる学校でも、ALTとの会話は休み時間に少しだけ、というケースがほとんどです。

英語力は「使わなければ落ちる」もの。1日の中で英語を使う時間がほぼ授業時間のみという環境では、能動的に学び直しの時間を作らない限り、現役で働いているうちに英語力が落ちていく感覚を持つのは当然のことです。

② 英語学習に投資する時間が確保できない

教員の長時間労働は周知の通り。授業準備・成績処理・部活動・保護者対応で1日が終わり、自分の英語学習に充てる時間が物理的に取れないのが現実。「英語の勉強をしたい」と思っても、平日は教材準備で手一杯、土日も部活動や校務に追われている──そんな声を本当によく聞きます。

③ 「教える専門性」と「使える専門性」がズレている

日本の英語教員養成課程では、「教える技術」「教育心理」「学習指導要領」の比重が大きく、「英語を実用的に使う技術」の訓練時間は限られています。教育実習中も英語の指導法を学ぶ時間が中心で、英語力そのものを伸ばす機会は少ない構造です。

そのうえ、採用後の研修も「指導法」「生徒指導」「教育課題」が中心で、英語力そのもののブラッシュアップ研修は限定的。「英語を教えるプロ」と「英語を使えるプロ」は本来別物であり、両方を兼ね備える機会が制度的に少ないのです。

小学校英語教科化で広がる「教える側の悩み」

小学校英語の授業

2020年度から、小学校5・6年生で英語が教科化されました。この制度変更は、英語教員のレベル議論にも新しい論点を加えています。

小学校教員の多くは「英語専門」ではない

小学校英語の教科化で、本来は専門外の小学校教員が英語の授業を担当するケースが一気に増えました。中学英語教員と違って小学校教員には英語専科の養成過程がないため、「教員になってから英語を学び直す」必要に迫られる人が多発しています。

専科教員配置はまだ十分でない

一部自治体では英語専科教員を配置していますが、全国的にはまだ追いついていないのが現状。担任が英語授業も担当する形が大半で、小学校教員のなかには「英語の発音に自信がない」「外国語活動はまだしも教科として教えるのは不安」という声が多くあります。

ALTの活用にも限界

ALT(外国語指導助手)と組んで授業を行う体制も整備されていますが、ALTは1校に常駐ではないことが多く、週1〜2回の訪問に限られます。残りの授業は日本人教員のみで進める必要があり、結局「英語力に不安を抱えた教員が教える」状況は解消されていません。

「英語教員のレベル」を議論するなら、中高だけでなく小学校英語の教える側の負担にも目を向ける必要があります。

私(新川)の英語教員時代の体験|現場で英語力を保つ難しさ

振り返りの時間

ここで少しだけ私自身の体験をお伝えします。私は静岡県の公立中学校で英語教員として10年以上勤務しました。当時の英語力との向き合い方を振り返ると、構造的な難しさを痛感します。

外国語大学に進学した私が、それでも持てなかった自信

私は某外国語大学に進学し、英語を専門的に学びました。でも、当時から「話せる」自信はそんなにありませんでした。まさに日本人特有の英語教育を受けてきたので、文法は正しく使える。でも、「話す」ことに関しては、ずっと自信を持てずにいたんです。発音も正しいかわからない。外国人と話しても通じないこともある。

教員になってからも、中学生よりはもちろん話せるけど、それが外に出て通用するものであるかは自信がなかった。「外大卒の英語教員」という肩書きと、自分の実感する英語力のギャップは、ずっと心の中にありました。

授業内英語だけでは伸びていく感覚はなかった

実際、英語を使うのが授業の中だけ。それも中学生向けに「ゆっくり・はっきり・分かりやすく」という配慮で話し続けるので、自然な会話のスピード感とは違う英語を毎日使い続けることになる。実用的な英語力という意味では、確実に伸びている感覚はありませんでした

そして授業なので、会話レベルの音量ではない。30〜40人に向かって、きれいな発音をし続けるのもなかなか苦労しました。声量を出しながら正確な発音をキープするのは想像以上に難しく、後半の授業になると声も発音も疲れていく感覚がありました。

教員になった時、私は英検2級しか持っていなかった

正直に言うと、教員になったときの私は英検2級しか持っていませんでした。外大卒業しているのに英検2級。それでも授業はできるんです。でも、毎年英語教員に来る英語力調査の中の「準1級を持っていますか?」という質問に「NO」と答えるのが恥ずかしくもあり、このままじゃダメだなと思い、教員になってから準1級の勉強をして合格しました

「英語教員なんだから準1級は余裕じゃない?」と思うかもしれませんが、なかなかハードに勉強しないと難しかったです。働きながら時間を見つけてやっていました。近頃は、小学生から英検に力を入れている子もいて、生徒の中にも準1級を目指している子もいました。正直、その子より先に取ってやろうという気持ちも、私のモチベーションのひとつでした。

準1級に合格しても、「資格があるから大丈夫」とは思えませんでした。生徒や保護者に英語で何か質問されたとき、咄嗟の英語が出てこない瞬間があると、自分のレベルへの不安が一気に広がります。「英語教員」という肩書きと、実際の英語力のギャップに苦しむ感覚は、多くの英語教員に共通するものだと思います。

学び直しの時間が取れない悔しさ|朝4時起きで勉強した日々

「ちゃんと英語を学び直したい」と何度も思いました。でも、平日は授業準備+校務分掌+部活動で夜遅く、土日も部活動。英語ニュースを聞く時間も、海外ドラマで英語に触れる時間も、まとまって取れない悔しさがありました。

それでも、私は英検準1級を目指していたとき、朝4時に起きて朝勉強を毎日していました。もちろん眠い日もあるけど、「英語を使っていつか何かができるかも」という気持ちで、頑張りました。その後、当然ながら日中働くのは大変でしたけれど。

ただ、そういった姿は他の同僚には異常に見えたみたいです。「そこまでやるんだ」「すごいね、自分はそこまでできない」と何度も言われました。今振り返ると、教員という仕事自体が「英語学習に専念しにくい構造」なんだと思います。英語に限らず他の教科の先生も専門性を上げる必要はあると思うけど、実際やっている人はほぼ見たことがありません。それくらい、教員の日常は学び直しに不向きな構造です。

「英語教員になっても、常に英語には自信がなかった。というのは多くの英語教員が共感する話です。」
——新川紗世

英語教師が今すぐできるレベルアップ法5選

学び直しの計画

「英語力を伸ばしたい、でも時間がない」教員に向けて、すぐに始められる実践的な方法を5つ紹介します。

① 通勤時間を「英語インプット時間」に変える

通勤時間は1日30分〜1時間。これを英語ポッドキャスト・英語ニュース・オーディオブックに変えるだけで、年間100時間以上の英語インプットが確保できます。「BBC Learning English」「TED Talks」「6 Minute English」などは無料で活用できます。

② オンライン英会話を週1回・25分から

「使わないと落ちる」が英語力の基本ルール。オンライン英会話は1回25分、月数千円から始められ、確実に英語のアウトプット機会を確保できます。「DMM英会話」「ネイティブキャンプ」「Cambly」など教員にも人気です。

③ 海外ドラマ・映画を英語字幕で見る

勉強としてではなく、娯楽として英語に触れる時間を意識的に作るのもおすすめ。Netflix・Disney+で英語字幕を表示しながら見るだけで、生きた英語表現に触れられます。週末の1時間でも続けると違いが出ます。

④ 学校のALT・外国人と意識的に話す

ALTやネイティブ教員と「日本語ではなく英語で会話する習慣」を作ること。最初は週1回、ランチタイムに10分でも構いません。意識して英語を使うことで、職場が学習環境に変わります。

⑤ 英語の専門書・教材を毎日10分読む

授業準備のついでに、英語で書かれた指導法の本・英語教育の論文・英語ニュース記事を10分でも読む習慣を。教材研究と英語力UPを同時進行で進められます。

「英語力に悩む英語教員」のキャリア選択肢

キャリア選択肢

「英語力をもっと伸ばしたい」「英語をもっと使う仕事をしたい」と考える英語教員には、複数のキャリア選択肢があります。

① 留学・短期語学研修で英語力を再構築

夏休み・長期休暇を活用した短期語学研修や、休職を取って中長期留学する選択肢。自治体によっては「教員海外派遣研修」制度があり、給与をもらいながら留学できる場合もあります。

② 私学・国際学校・SELHi校への異動

英語をより使う環境を求めるなら、私立の国際コース・SELHi(スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール)・インターナショナルスクールなどが選択肢に。英語で授業を行う機会が圧倒的に多い環境です。

③ 教育系民間企業(英語教育・EdTech)

英会話スクール(ベルリッツ・ECC・GABAなど)、オンライン英会話運営会社、英語教材会社(旺文社・アルクなど)、EdTech企業など、「英語教育を民間で続ける」キャリアパスも豊富です。

④ 完全異業種への転職(外資系・通訳・翻訳)

英語を活かせる完全異業種としては、外資系企業・貿易商社・通訳・翻訳・国際協力NGOなど。30〜40代で異業種転職する英語教員は、Re-Careerの相談者にも一定数います。

関連:英語教員の転職先おすすめ10選|語学力を活かせる仕事

よくある質問(FAQ)

よくある質問

Q1. 英語教員になるには、英検何級くらい必要ですか?

A. 教員免許取得には特定の英語資格は必須ではありませんが、採用試験対策と現場対応を考えると、最低でも英検準1級レベルを目指したいところ。中学校なら準1級、高校なら準1級〜1級を持っていると現場で自信を持って指導できます。

Q2. 英語が話せない英語教員でも、教えていいのでしょうか?

A. 「ネイティブ並みに話せる」必要はありません。日本人英語教員の役割は、生徒の母語(日本語)の感覚を理解した上で英語の構造を伝えることにあります。とはいえ、最低限の発音・文法・コミュニケーション力は持ち続ける努力が必要です。

Q3. 英語教員になってから英語力が落ちた気がします。どうしたら?

A. それは多くの英語教員が共通して感じている悩みです。本記事の「レベルアップ法5選」を1つでも継続することから始めてください。「学び直し」のための長期休暇取得や留学も選択肢に入れていいです。

Q4. 英語教員を辞めて、英語を活かせる仕事はありますか?

A. たくさんあります。教育系民間企業(英会話スクール・教材会社・EdTech)、企業研修講師、通訳・翻訳、外資系企業のカスタマーサクセス、国際協力NGOなど。「英語×教育経験」は民間市場で評価される強みです。

まとめ|「レベルが低い」より「構造を理解して、選択肢を持つ」

「英語教師のレベルが低い」と一括りにする見方は、データ上も実態に合いません。一方で、現場の英語教員が「英語力を保ち、伸ばすこと」に難しさを抱えているのは事実で、その難しさは個人の能力ではなく構造的な問題に由来します。

本記事のポイントを再確認しましょう。

  • 英検準1級以上保持率は中学52%/高校75%。10年で大幅向上
  • 英語力が伸びにくい構造は「英語使用環境の少なさ」「学習時間が取れない」「養成課程のズレ」
  • レベルアップ法は「通勤インプット」「オンライン英会話」「海外ドラマ」「ALT会話」「専門書10分」の5つ
  • キャリア選択肢は「留学・研修」「私学・国際校」「教育系民間」「完全異業種」

もしあなたが今、自分の英語力に不安を感じているなら、それはあなたの能力の問題ではなく、英語教員という仕事の構造の問題です。学び直すこともできるし、別のキャリアで英語力を発揮することもできます。

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Re-Career代表 新川紗世
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