教員の副業は禁止?|公立・私立別のルールと収入を増やす方法

新川紗世 Re-Career代表

この記事の著者

新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役

元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のプロフェッショナル集団として、延べ1000名以上のキャリア支援に携わる。

教員の副業—禁止か許可か、その実態

選択肢2.png — 副業の選択肢

「教員は副業が禁止されている」—多くの教員がそう認識していますが、実は状況はより複雑です。公立と私立で大きく異なり、また、何を「副業」と見なすかによっても変わります。さらに近年、働き方改革やDX推進の中で、教員の副業を認める動きも広がっています。

本記事では、教員の副業ルールと、許可される活動の形態、そして将来のキャリアにつながる副業の選び方について、詳しく説明します。

公務員(公立教員)の副業規制の法的根拠

法律で禁止されていること

公立教員は、地方公務員法第33条で「営利を目的とした事業への従事」を禁止されています。これは公務に専念する義務からの規定です。

要するに、「金銭を得ることを目的とした活動」は原則として禁止されているということです。

例えば:

  • 禁止される例:不動産賃貸業、飲食店経営、コンサルティング業務、Web制作での受託案件、ブログでの広告収入
  • 許可される可能性がある例:執筆や講演(教員活動の延長線上)、専門分野での講義、投資や資産運用(営利事業ではなく資産活動と見なされる)

「営利事業」の解釈の幅

一見すると厳しく見える法律ですが、実際の運用は各自治体によって異なります。

  • 「教育に関連する活動」であれば許可する自治体
  • 「継続的な収入」でなければ許可する自治体
  • 「申請・許可制」で個別対応する自治体

つまり、「絶対に禁止」ではなく、「事前申告の上、許可が出れば可能」というニュアンスに近い自治体も増えています。

懲戒処分のリスク

ただし、許可なく副業をした場合、懲戒処分を受ける可能性があります。処分の重さは、副業の内容や継続期間によって異なります。

  • 注意や厳重注意
  • 給与の減額
  • 停職(最大6ヶ月)
  • 免職(最悪の場合)

大切なのは、「黙ってやる」のではなく、「事前に相談・許可を得る」ということです。

私立教員の副業事情

年収1.png — 収入のイメージ

法的な規制は比較的緩い

私立教員の場合、学校法人との雇用契約によって副業ルールが決まります。公立教員ほど法的な制限はありません。

就業規則を確認することが必須ですが、多くの私立学校では「学校の教育方針に反しない限り、許可」というニュアンスの規定が多いです。

学校法人によって対応が異なる

メリット:副業を許可する私立学校も増えており、講師活動や執筆活動を公然と行っている教員も多いです。給与が公立より低い場合が多いため、副業による収入補填を黙認する学校もあります。

デメリット:一方で、「副業は一切禁止」という厳しい学校法人もあります。また、許可・不許可の基準が曖昧な場合も多く、人間関係に左右される可能性もあります。

事前確認が重要

私立教員が副業を考える場合は、必ず人事部や管理職に相談し、可能な活動の範囲を確認することが大切です。

許可される副業の種類

執筆活動—教科書や教材の執筆

許可されやすさ:高い

教育関連の書籍や教材の執筆は、教員の専門性を活かした活動として、比較的許可されやすいです。

  • 教科書の執筆(出版社と契約)
  • 教育雑誌への記事執筆
  • 教材本の出版
  • Noteやブログでの教育関連記事(広告なし)

ただし、公立教員の場合は「教員活動の範囲内」と見なされることが条件になる場合が多いです。

講演・研修講師—専門知識を活かした講演

「「副業禁止」だと思い込んでいたんですが、実は執筆活動は許可されると知って驚きました。教材のブログを始めたら、それが転職時のポートフォリオになったんです」

——Re-Career受講生・30代女性・元高校英語教諭

許可されやすさ:高い

教員研修、PTA講演、企業研修での講師活動は、教員の専門性を社会に還元する活動として見なされ、許可されやすいです。

  • 他校の教員向け研修講師
  • 教育委員会主催の講座講師
  • 企業向けリーダーシップ研修講師
  • 大学でのゲスト講演

ただし、「継続的な営利事業」と見なされないよう、「非常勤講師」や「顧問」の名義で契約することが多いです。

オンライン教育—スキル販売プラットフォーム

許可されやすさ:中程度(許可申請が必要)

近年、Udemy、ストアカなどのオンライン教育プラットフォームで、教科や受験指導のコースを販売する教員も増えています。

公立教員の場合は、事前に校長と相談し、「生徒の指導に支障がない」「学校の方針に反しない」という条件で許可を得ることが多いです。

私立教員の場合は、学校法人の判断によります。

投資・資産運用—副業ではないと見なされるもの

許可されやすさ:高い

重要なポイント:投資や資産運用は「副業」ではなく、「資産管理活動」と見なされるため、多くの場合許可不要です。

  • 株式投資
  • 不動産投資(ただし「事業的規模」になると営利事業と見なされる可能性あり)
  • 投資信託
  • 暗号資産

ただし、「給与所得以外の所得が20万円を超える場合」は確定申告が必要になり、会社に収入が明らかになる場合があります。

許可が難しい副業の例

  • 飲食店経営やECサイト運営(継続的な営利事業)
  • 生徒からの有料個別指導(校外での営利教育)
  • 不動産賃貸業(事業的規模の場合)
  • ブログやYouTubeの広告収入(営利を目的とした情報発信)
PC作業

副業申請の手続き

公立教員の場合

副業を考える場合、以下の流れで進めます。

Step 1: 校長に相談

まず、直属の校長に相談します。「このような活動を考えているが、許可されるか」と質問することが大切です。

Step 2: 教育委員会への申請

校長の了解が得られたら、教育委員会に「兼業許可申請書」を提出します。申請書には、活動内容、報酬額(予定)、実施時期などを記載します。

Step 3: 許可通知

教育委員会が審査し、許可が下りたら、許可通知書が交付されます。

注意点:事前申請せず、黙ってやるのは絶対に避けましょう。発覚した場合、懲戒処分のリスクがあります。

私立教員の場合

学校法人によって異なりますが、一般的には以下のような流れです。

Step 1: 就業規則を確認

まず、学校法人の就業規則を確認し、副業のルールを把握します。

Step 2: 管理職に相談

管理職(教頭や人事部)に、活動内容を相談します。

Step 3: 承認書や誓約書の提出

学校法人が要求する場合、承認書や誓約書を提出します。

注意点:私立の場合、ルールが曖昧なことが多いので、「口約束」ではなく、できれば書面での確認をすることが大切です。

教員のスキルを活かした副収入の可能性

指導スキルの活かし方

教員の最大の資産は「教える能力」です。これを活かした副業は、許可されやすく、かつ報酬も比較的高いです。

  • オンライン家庭教師:時給3,000〜5,000円程度。WizusやVIPゲートなどのプラットフォームで登録可能
  • 教育ベンチャーでの講師:時給2,000〜3,000円。RISU、スタサプなど
  • 企業研修講師:1回数万円〜の報酬。コミュニケーションスキルなど

「副業というか、自分のスキルを試す場が欲しかったんです。週末にオンラインで英会話を教え始めたら、「先生の教え方が分かりやすい」と言われて、自信になりました」

——Re-Career受講生・20代男性・元中学校教諭

執筆・発信活動

  • Noteでの有料記事:教科指導の技法など、ニッチなテーマで月数千〜万円
  • 教育雑誌への記事執筆:1本数千〜3万円程度
  • Amazonで教材本の出版:継続的な収入源。ただし大きな金額ではない

スキル販売プラットフォーム

  • Udemy:オンラインコース販売。初期投資ゼロで、得点戦略や教科指導など様々なコースが売れる
  • ストアカ:教える力を活かしたワークショップ。講演スキル、英語、受験対策など
  • Teachable:自分のコース販売プラットフォーム。より自由な設定が可能

現実的な収入規模

正直に言うと、教員の副業で「大きな収入」を期待するのは難しいです。

  • オンライン家庭教師:月1〜5万円程度(週3〜4日で1〜2時間)
  • 執筆活動:月1〜3万円程度(継続的な執筆の場合)
  • オンラインコース:月5千〜2万円程度(初期に売上があっても、継続性は不確定)

給与の劇的な増加ではなく、「月数万円の補填」程度の認識が現実的です。

投資・資産運用は副業に当たるか

一般的な解釈:資産活動であり副業ではない

多くの自治体は、株式投資や投資信託を「副業」ではなく「資産活動」と見なします。つまり、許可申請の必要がない場合が多いのです。

理由としては、「経営や営業活動を伴わない」「受動的な所得」であることが挙げられます。

注意:事業的規模の不動産投資

ただし、不動産投資が「事業的規模」になると、話は変わります。複数物件の経営、管理会社の雇用、広告宣伝などが伴う場合は、「不動産営利事業」と見なされ、許可が必要になる可能性があります。

一般的には「5棟10室以上」の規模で「事業的」と判断されますが、各自治体の基準は異なるので、事前確認が大切です。

給与所得以外の所得が20万円を超える場合

重要なポイント:投資による利益や副業の収入が、年間で20万円を超える場合、確定申告が必要になります。

その際、収入が会社(学校)にも報告される可能性があります。つまり、「隠れた収入」が明らかになるリスクがあるのです。

投資でも副業でも、「申告義務」と「学校への報告義務」を理解しておくことが大切です。

年収1

副業が将来のキャリアにつながる選び方

「単なる小遣い稼ぎ」ではなく「キャリア形成」として考える

副業を選ぶときは、「月数万円稼げるから」という理由だけではなく、「これが将来のキャリアにどうつながるか」を考えることが大切です。

例えば:

  • 教育系ベンチャーでの講師活動→ 将来、EdTech企業への転職につながる可能性
  • 執筆・発信活動→ 教育ジャーナリストや教育コンサルタントへのキャリア
  • 企業研修講師→ 人材育成企業への転職、独立への準備

自分のスキルをデジタル化する経験

オンライン家庭教師やUdemyでのコース製作は、「自分の知識をどう商品化するか」を学ぶ機会になります。この経験は、実は多くの職種で求められるスキルです。

デジタル化、商品化、マーケティング

人脈形成

講師活動や執筆を通じて、教育業界以外の人脈が広がります。その人脈が、将来の転職や起業の際に、大きな資産になるのです。

筆者・新川紗世より

副業について悩んでいる教員の方は本当に多いです。法的にはグレーゾーンも多く、「聞いていいのかすら分からない」という声もよく聞きます。大切なのは、ルールを正しく理解した上で、自分のスキルを活かせる活動を見つけること。それが将来のキャリアにもつながります。

「「副業禁止」だと思い込んでいたんですが、実は執筆活動は許可されると知って驚きました。教材のブログを始めたら、それが転職時のポートフォリオになったんです」

——Re-Career受講生・30代女性・元高校英語教諭

「副業というか、自分のスキルを試す場が欲しかったんです。週末にオンラインで英会話を教え始めたら、「先生の教え方が分かりやすい」と言われて、自信になりました」

——Re-Career受講生・20代男性・元中学校教諭

まとめ

教員の副業は、完全に禁止されているわけではなく、「許可制」という形で一定の条件の下で認められています。公立教員は法的な制限がありますが、教育関連の活動なら許可が出やすく、私立教員は学校法人によって対応が異なります。大切なのは、「黙ってやる」のではなく、「事前に相談・許可を得る」こと。そして、単なる「小遣い稼ぎ」ではなく、「自分のスキルを活かし、将来のキャリアにつながる活動を選ぶ」という視点を持つことです。正しく進めれば、副業は教員人生を豊かにする選択肢になるのです。

Re-Career代表 新川紗世
元教員が運営するキャリア支援

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