教員の休職制度を徹底解説|休職中にできるキャリアの見直し方
この記事の著者
新川紗世(あらかわ・さよ)|Re-Career株式会社 代表取締役
元公立中学校英語教員(10年以上)。教員時代に病休を経験し退職。その後、教員専門のキャリア支援会社を設立。著書『「やめたいかも」と一度でも思ったら読む 教員の転職思考法』。スタッフ全員が元教員のプロフェッショナル集団として、延べ1000名以上のキャリア支援に携わる。
教員の休職制度を徹底解説|休職中にできるキャリアの見直し方

毎日、職員室で息を潜めるように過ごしていませんか。朝、目覚ましが鳴った瞬間に胸が苦しくなる。教室に向かう足が重い。夜、眠れないまま天井を見つめている——。そんな日々が続いているなら、「休職」という選択肢について知っておいてほしいのです。
休職制度を知ることは、セーフティネットを知ることです。今すぐ休職するかどうかは別として、「いざとなれば休める」という事実を知っているだけで、心の余裕はまったく違ってきます。追い詰められた状態で正しい判断はできません。だからこそ、まだ少し余力があるうちに、制度の全体像を把握しておくことが大切です。
この記事では、公立・私立それぞれの休職制度の仕組みから、申請手続き、給与の扱い、休職中の過ごし方、そして復職か転職かの判断基準まで、教員の休職にまつわるすべてを徹底的に解説します。記事の後半では、Re-Career代表・新川紗世自身の病休経験についてもお話しします。
この記事を書いているRe-Career株式会社は、代表を含むスタッフ全員が元教員です。教壇に立っていたからこそわかる苦しさ、制度の使いにくさ、そして「休む」ことへの罪悪感。そのすべてを理解した上で、この記事をお届けします。
公立教員と私立教員の休職制度の違い
教員の休職制度は、公立学校に勤めているか私立学校に勤めているかで大きく異なります。まずはそれぞれの制度を正確に理解しましょう。
公立学校教員の休職制度
公立学校の教員は地方公務員です。そのため、休職に関しては地方公務員法第28条が適用されます。この法律に基づき、心身の故障により職務の遂行に支障がある場合、任命権者(教育委員会)が休職を命じることができます。
公立教員の休職制度には、以下のような特徴があります。
休職期間は最長3年間
公立教員の場合、休職期間は原則として最長3年間です。ただし、自治体によって運用が異なる場合がありますので、所属する教育委員会の規定を確認することが重要です。多くの自治体では、まず「病気休暇(病休)」として90日間を取得し、その後に正式な「休職」へと移行する流れになっています。
- 病気休暇(病休):最大90日間。給与は100%支給される
- 休職1年目:給与の約80%が支給される(自治体により異なる)
- 休職2年目:共済組合の傷病手当金として給与の約3分の2が支給される
- 休職3年目:傷病手当金の支給が継続する場合と終了する場合がある
身分は保障される
休職中であっても、地方公務員としての身分は保障されます。つまり、休職しているからといって自動的に解雇されることはありません。これは公立教員の大きなメリットです。ただし、休職期間が満了しても復職できない場合は、免職(退職)となる可能性があります。
復職時には復職プログラムがある
多くの自治体では、休職からの復帰をスムーズにするための「復職支援プログラム」が用意されています。段階的に勤務時間を延ばしていく「試し出勤」や、産業医との面談などが含まれます。
私立学校教員の休職制度
私立学校の教員は、学校法人との雇用契約に基づいて働いています。そのため、休職制度は各学校法人の就業規則によって定められており、学校ごとに大きく異なります。
休職期間は学校法人により異なる
私立学校の場合、一般的な休職期間は6ヶ月から1年程度です。大規模な学校法人では公立に準じた制度を整えているところもありますが、小規模な学校法人では休職制度自体が十分に整備されていないケースもあります。
- 休職期間:6ヶ月〜1年が一般的(学校法人により異なる)
- 給与:無給の場合も多い。支給される場合でも割合は学校法人による
- 身分保障:就業規則に基づく。公立ほどの手厚い保障がない場合もある
健康保険の傷病手当金を活用する
私立教員の場合、給与が支給されない期間は健康保険の傷病手当金を申請することが重要です。傷病手当金は、標準報酬月額の3分の2が最長1年6ヶ月にわたって支給されます。この制度を知らないまま無給で過ごしてしまう方もいるため、必ず確認しておきましょう。
就業規則の事前確認が必須
私立教員の場合、休職制度の詳細は就業規則に記載されています。体調が悪化する前に、自校の就業規則で休職に関する規定を確認しておくことを強くお勧めします。具体的には、休職期間の上限、給与の取り扱い、復職の条件、休職中の連絡体制などを把握しておきましょう。
公立と私立の比較まとめ
公立教員は法律に基づく手厚い保障がある一方、私立教員は学校法人ごとに条件が大きく異なります。いずれの場合も、「自分の学校ではどうなっているのか」を事前に確認しておくことが、いざというときの安心につながります。
休職の申請手続きと必要書類
「休職したい」と思っても、具体的に何をすればいいのかわからないという方は多いです。ここでは、休職に至るまでの具体的なステップを順番に解説します。
Step1:医師の診察を受ける
休職の第一歩は、医療機関を受診することです。心療内科、精神科、メンタルクリニックなどを受診し、現在の症状について診断を受けます。
医師に伝えるべきことは以下の通りです。
- 現在の症状(不眠、食欲不振、動悸、涙が止まらない、出勤できないなど)
- 症状がいつ頃から続いているか
- 職場での状況(業務量、人間関係、保護者対応など)
- 日常生活への影響(家事ができない、外出が怖いなど)
医師が「就労が困難」と判断した場合、診断書が発行されます。この診断書が休職申請の最も重要な書類になります。診断書には、病名、療養が必要な期間、就労困難である旨などが記載されます。
なお、メンタルクリニックや精神科は予約が取りにくいことが多いです。初診で1ヶ月以上待つケースも珍しくありません。「もう限界」というところまで我慢してから受診しようとすると、予約が取れずにさらに追い詰められてしまうことがあります。少しでも「おかしいな」と感じたら、早めに予約を入れておくことが大切です。
Step2:校長(管理職)への相談
診断書を受け取ったら、校長(または副校長・教頭)に相談します。ここが心理的に最もハードルが高いステップかもしれません。
相談の際には、以下の点を伝えましょう。
- 医師から休養が必要と診断されたこと
- 診断書があること
- いつ頃から休職したいか
- 現在担当している業務の引き継ぎについて
管理職の対応は人によって様々です。理解を示してくれる方もいれば、残念ながら「いつ戻れるのか」「担任はどうするのか」と、休む前から復帰の話をされることもあります。つらい場合は、養護教諭や信頼できる同僚に同席してもらうことも一つの方法です。
Step3:教育委員会(私立の場合は人事部門)への申請
校長への相談が済んだら、正式な休職申請の手続きに入ります。
公立教員の場合は、校長を通じて教育委員会に申請書類を提出します。私立教員の場合は、学校法人の人事部門に提出します。
Step4:休職開始
申請が受理されれば、休職が正式に開始されます。休職開始日は、医師の診断書に記載された日付や、学校との協議によって決まります。
必要書類一覧
休職申請に必要な主な書類は以下の通りです。
- 医師の診断書(原本)
- 休職願(学校所定の様式がある場合が多い)
- 病気休暇申請書(病休から取得する場合)
- 健康保険傷病手当金支給申請書(私立教員の場合)
- その他、所属先が求める書類
書類の様式や提出先は、学校や自治体によって異なります。不明な点があれば、事務職員や教育委員会の担当者に確認しましょう。体調が悪い中で書類を準備するのは大変ですが、信頼できる人に手伝ってもらいながら進めていくことが大切です。
休職中の給与・手当の扱い
休職を考えるとき、最も気になることの一つが「お金」の問題です。収入が途絶えることへの不安が、休職に踏み切れない大きな理由になっている方も多いでしょう。ここでは、休職中の経済面について詳しく解説します。
公立教員の場合
公立教員は、休職中も一定期間は給与が支給されます。
病気休暇中(最大90日間)
病気休暇中は、給与が100%支給されます。つまり、通常通りの給料を受け取ることができます。まずはこの病気休暇から取得するのが一般的な流れです。
休職1年目
休職に移行した後の1年目は、給与の約80%が支給されます(自治体によって割合は異なります)。減額されるとはいえ、一定の収入が保障されるのは大きな安心材料です。
休職2年目以降
休職2年目以降は、給与の支給がなくなりますが、共済組合から傷病手当金が支給されます。金額は標準報酬月額の3分の2で、最長1年6ヶ月間です。
- ボーナス(期末手当・勤勉手当):休職期間に応じて減額または不支給
- 退職手当:休職期間は在職期間に含まれるが、計算上は除算される場合がある
- 昇給:休職期間中は昇給が停止されるのが一般的
私立教員の場合
私立教員の給与は、学校法人の就業規則によって扱いが異なります。
- 休職中も給与が支給される学校法人もある
- 無給となる学校法人も多い
- 給与が支給されない場合は、健康保険の傷病手当金を申請する
傷病手当金の申請方法
傷病手当金は、以下の条件を満たす場合に支給されます。
- 業務外の事由による病気やケガで療養中であること
- 労務に服することができないこと
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
支給額は、標準報酬月額の3分の2です。申請には、医師の証明と事業主の証明が必要になります。
社会保険・年金について
休職中も、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いは続きます。
公立教員の場合は共済組合の掛金、私立教員の場合は健康保険料と厚生年金保険料を負担し続ける必要があります。給与から天引きされない場合は、別途納付する形になります。これは見落としがちなポイントなので、休職前に確認しておきましょう。
また、休職期間中も年金の加入期間としてカウントされます。将来の年金受給額には影響がありますが、加入期間が途切れることはありません。
休職中の過ごし方——3つのフェーズで考える
休職が始まったら、「何かしなければ」と焦る方が多いです。しかし、休職には段階があります。それぞれのフェーズに合った過ごし方をすることが、回復への近道です。

Phase1:心身の回復期(休職開始〜3ヶ月頃)
最優先は「休むこと」
休職が始まったばかりの時期は、とにかく心と体を休めることが最優先です。「何もしない」ことに罪悪感を覚えるかもしれませんが、今のあなたに必要なのは休息です。
この時期にやるべきことは、以下の通りです。
- 規則正しい睡眠をとる(無理に早起きしなくてもよい)
- 食事をきちんととる(簡単なものでよい)
- 定期的に医師の診察を受ける
- 処方された薬があれば、きちんと服用する
- 散歩など、無理のない範囲で体を動かす
この時期に避けるべきことは、以下の通りです。
- 転職活動や資格の勉強など、新しいことを始めること
- SNSで同僚や他の教員の投稿を見ること
- 「自分は怠けている」と自分を責めること
- 学校からの連絡に過度に反応すること
「休職してすぐは、「休んでいるのに何もしていない自分」が許せなくて、毎日泣いていました。でも、3ヶ月くらい経って、やっと「何もしない」ことが「回復」なのだとわかりました。」
——Re-Career相談者 元公立中学校教員・30代女性
Phase2:自分の気持ちと向き合う時期(3〜6ヶ月頃)
心身が少し回復してくると、自分の内面と向き合う余裕が生まれてきます。この時期は、「なぜ自分は苦しかったのか」「本当はどうしたいのか」をゆっくり考える時間です。
この時期に取り組むとよいことは、以下の通りです。
- 日記やジャーナリングで気持ちを言葉にする
- カウンセリングを受ける(医師のカウンセリングとは別に、キャリアカウンセリングも有効)
- 自分が教員を目指した理由を振り返る
- 教員の仕事の中で、何が好きで何がつらかったかを整理する
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
「教員を続けたいのか、辞めたいのか」
——この問いに、すぐに答えを出す必要はありません。今は材料を集める時期です。焦らず、自分の気持ちに正直に向き合いましょう。
Phase3:キャリアを検討する時期(6ヶ月頃〜)
心身の回復が進み、日常生活を安定して送れるようになったら、具体的なキャリアについて考え始めてもよい時期です。
この時期に考える3つの選択肢があります。
選択肢1:同じ学校に復帰する
元の学校に戻るという選択肢です。慣れた環境に戻れるメリットがある一方、休職の原因が解消されていない場合は再発のリスクがあります。復帰する場合は、復職支援プログラムを活用し、段階的に業務量を増やしていくことが重要です。
選択肢2:別の学校に異動・転勤する
環境を変えることで問題が解決する場合もあります。特に、特定の管理職との関係や保護者対応が原因だった場合は、異動によって状況が改善することがあります。公立教員の場合は、教育委員会に異動の希望を伝えることができます。
選択肢3:教員以外の道に転職する
教員という職業自体が自分に合わないと感じた場合は、転職も立派な選択肢です。教員経験で培ったスキル——コミュニケーション力、プレゼンテーション力、マネジメント力、文書作成能力など——は、多くの業界で高く評価されます。
「6ヶ月間の休職を経て、自分は「教えること」は好きだけど、「学校という組織」が合わなかったのだとわかりました。今は教育系のIT企業でコンテンツを作っていますが、教えるスキルが毎日活きています。」
——Re-Careerプログラム卒業生 元私立高校教員・20代男性
復職と転職の判断基準
休職中に最も悩むのが、「復職するか、転職するか」という判断です。この選択に正解はありませんが、判断の参考になる基準をお伝えします。
復職を選ぶべき人の特徴
以下に当てはまる方は、復職を前向きに検討してもよいかもしれません。
- 休職の原因が特定の出来事(特定の保護者、特定の管理職など)であり、その原因が解消される見込みがある
- 教える仕事自体にはやりがいを感じている
- 学校という組織で働くことに大きな抵抗がない
- 復帰後の受け入れ体制が整っている(復職支援プログラムがある、理解のある管理職がいるなど)
- 経済的な安定を重視したい(特に公立教員の場合、給与や退職金の面でメリットが大きい)
- まだ教員としてやりたいことがある
復職する場合の注意点として、「100%の状態で戻らなければ」と思い込まないことが大切です。最初は60〜70%くらいの力で十分です。段階的に慣らしていくことが、再発を防ぐポイントです。
転職を選ぶべき人の特徴
以下に当てはまる方は、転職を視野に入れてもよいかもしれません。
- 休職の原因が学校教育という仕組みそのものにある(長時間労働、部活動の負担、保護者対応の多さなど)
- 教壇に立つことを想像すると、体が拒否反応を示す
- 教員以外の仕事に興味がある
- 復職と休職を繰り返している
- 教員としてのキャリアに限界を感じている
- 新しい環境で再スタートしたいという気持ちがある
転職を考える場合は、焦って動かないことが大切です。体調が十分に回復していない状態で転職活動をしても、良い結果にはつながりにくいです。まずは心身の回復を最優先にしながら、少しずつ情報収集を始めましょう。
大切なのは「今の自分にとって最善の選択」
復職も転職も、どちらが「正しい」ということはありません。大切なのは、「今の自分にとって最善の選択は何か」を、自分自身で考え、自分自身で決めることです。周囲の意見は参考にしつつも、最終的な決断は自分の手で下しましょう。
休職経験者の声——3つの事例
ここでは、実際に休職を経験された方の事例をご紹介します。それぞれの選択に至った背景と、その後の歩みを知ることで、あなた自身の判断の参考にしていただければと思います。
事例1:公立小学校教員・Aさん(30代女性)——復職を選んだケース
Aさんは、公立小学校で6年間勤務した後、保護者対応と学級経営の悩みから適応障害と診断され、休職しました。
休職期間は約8ヶ月間。最初の3ヶ月間は自宅でほとんど寝て過ごし、4ヶ月目頃から散歩やカフェに出かけられるようになりました。5ヶ月目にカウンセリングを始め、自分が「子どもと関わること」はやはり好きだと再確認できたことが、復職を決めた大きなきっかけでした。
復職にあたっては、教育委員会の復職支援プログラムを活用し、最初の1ヶ月は別の学校での「試し出勤」を経験しました。復帰後は別の小学校に異動となり、理解のある校長のもとで少しずつ業務量を調整しながら勤務しています。
Aさんは「休職したことで、自分の限界がわかるようになった。以前は全部一人で抱え込んでいたけれど、今は『助けてください』と言えるようになった」と話しています。
事例2:私立中高一貫校教員・Bさん(20代男性)——転職を選んだケース
Bさんは、私立中高一貫校で英語を教えていました。部活動の顧問として週末もほぼ休みなく働き、2年目の冬にうつ病と診断されて休職しました。
休職期間は約6ヶ月間。私立学校だったため、休職中の給与は支給されず、健康保険の傷病手当金で生活しました。回復してくるにつれて、「学校に戻りたい」という気持ちがまったく湧いてこないことに気づいたBさんは、転職を決意しました。
転職活動では、Re-Careerのプログラムを利用して自己分析やキャリアの棚卸しを行い、教育系のIT企業に入社しました。現在はオンライン学習サービスのコンテンツ制作を担当しており、「教える」スキルを活かしながら、自分のペースで働けています。
「学校にいた頃は、毎日が生存競争でした。今の会社では、自分のアイデアが形になっていくのが純粋に楽しい。転職して初めて、「働くって楽しいこともあるんだ」と感じました。」
——Re-Careerプログラム卒業生 元私立中高一貫校教員・20代男性
事例3:公立中学校教員・Cさん(40代女性)——異動で環境を変えたケース
Cさんは、公立中学校で15年以上の経験がある中堅教員でした。新しく赴任してきた校長との関係が悪化し、理不尽な指示や叱責が続いたことからストレス性の体調不良に陥り、約4ヶ月間休職しました。
Cさんの場合、教員という仕事自体は好きでしたが、同じ学校に戻ることには強い抵抗がありました。教育委員会に事情を説明し、休職明けに別の中学校への異動が実現しました。
異動先の学校では管理職との関係も良好で、Cさんは「同じ公立中学校でも、こんなに雰囲気が違うのかと驚いた」と振り返っています。現在は学年主任として活躍しており、後輩教員のメンタルヘルスにも気を配っているそうです。
これらの事例からわかるのは、「休職後の正解は一つではない」ということです。復職、転職、異動——どの選択も、その人の状況と気持ちに合っていれば、正しい選択です。
筆者・新川紗世の経験——私も病休を経験しました
ここまで、制度や手続き、過ごし方について解説してきましたが、最後に——というより、この記事で一番大切なことをお伝えしたいと思います。
実は私自身も、教員時代に病休を経験しています。
この記事で紹介しているように、「まず医師に診てもらい、診断書を持って校長に相談する」という流れを、私も実際にたどりました。
ただ、最初の一歩が本当に重かった。
メンタルクリニックや精神科に電話したことなど、それまで一度もなかったので、予約の電話をかけようとするたびに、手が震えて発信ボタンが押せなかったんです。「ボタンを押してしまったら、自分は弱い人間なんじゃないか」「病気と診断されたら、もう終わりなんじゃないか」——そんな気持ちがぐるぐると頭を回って、まだ頑張れる、まだ頑張れると思いながら、実際にはもう精神的にも体力的にもボロボロの状態でした。
それでも意を決して電話をかけてみたら、1ヶ月以上予約が取れないと言われました。
次にかけたクリニックも、満員。「こんなに精神科って混んでいるの?」と驚く一方で、自分だけじゃないんだという安心感も、少しだけあって。
3件目にようやく予約が取れた頃には、不思議と電話を押すことへの怖さが薄れていました。
診察では、「どうしたいですか?」と聞かれました。精神科は、自分の意思を大切にしてくれる場所だと感じました。「もう休みたいです」と伝えたら、診断書を書いてもらえたので、それを持って校長先生に相談しに行きました。
ただ、そのときの校長先生との面談が、今でも忘れられません。
「いつ戻ってくるの?」と、休むことが決まったその場で聞かれて、校長室で泣いてしまいました。
その後、私は約半年間休職しました。9月頃から休み始め、3月末に復帰が叶わないまま退職という選択をしました。
今、Re-Careerには復職を繰り返しながらも学校に戻り続けている方も、相談にいらっしゃいます。そのたびに「すごいな」と思います。私には、復職を考える余裕すらなかったから。
だから、休職することが「正解」とも「失敗」とも、私には言えません。
ただ、しんどいと感じているなら、休むことは立派な選択肢のひとつです。
その時間に、自分の人生をゆっくり考えてみることも、きっと意味があると思っています。
まとめ——休むことは、自分を守ること
この記事では、教員の休職制度について、公立と私立の違い、申請手続き、給与の扱い、休職中の過ごし方、そして復職と転職の判断基準まで、幅広く解説してきました。
改めてお伝えしたいのは、休職は「逃げ」ではないということです。
教員という仕事は、やりがいがある一方で、心身への負担が非常に大きい仕事です。文部科学省の調査でも、精神疾患による病気休職者数は年間5,000人を超えており、その数は増加傾向にあります。つまり、あなたが苦しんでいるのは、あなたが弱いからではなく、この職業が構造的に抱えている問題があるからです。
もし今、この記事を読んでいるあなたが「もう限界かもしれない」と感じているなら、どうか一人で抱え込まないでください。まずは医療機関を受診すること。それが、自分を守るための最初の一歩です。
そして、休職中に「この先どうしよう」と悩んだときは、私たちRe-Careerに相談してください。元教員だからこそわかること、元教員だからこそできるサポートがあります。あなたの経験は、必ず次のキャリアに活かせます。