「いつでもやめられる」と思えた時に、初めて「まだ続けたい」と気づいた。

ハナさん(沖縄県・44歳・中学校英語教員)

「やめたいと思う自分に、罪悪感があった」

ハナさん(44歳)は中学校の英語教員として18年以上働いてきた。子育てしながら、産休・育休を繰り返しながら、ずっとモヤモヤを先送りにしてきた。

「これが最後の育休。うじうじグダグダ進まない状態を、そろそろ終わりにしたい」そう思ったタイミングで、SSプログラムと出会った。仕事は変わっていない。でも、見え方が変わった。

ケーキ屋さんも、同時通訳も、青年海外協力隊も。でも最後はやっぱり「先生」だった

新川:
教員を目指したきっかけから聞かせてもらえますか?

ハナさん:
子どもの頃からやってみたい仕事がいろいろあって。お菓子作りが好きだからケーキ屋さんもいいなと思っていたし、英語が好きで飛び回る仕事もしたくて、同時通訳の仕事にもすごく憧れていたし、青年海外協力隊もいいなとか。その中で、中学校の頃から教員もいいなとも思っていて。

新川:
いろいろ迷った中で、最終的に教員を選んだのはどんなきっかけでしたか?

ハナさん:
中学1年生の時に初めて英語を習って、本当に楽しくて。その英語の先生が部活動も見てくれて、担任もしてくれた先生で、人としてもすごく好きな先生でした。その先生の影響がずっと心の中にあって。大学でその先の仕事を考えた時に、子どもも好きだし先生も好きだし、同時にできるのがいいかなと思って選びました。

新川:
中学校に決めたのは最初からですか?

ハナさん:
一瞬だけ高校とすごく迷ったんですけど、中学校になってみたら、この「よくわからない激しい3年間」みたいなところがとってもいいなと思って。今でもそう思っています。やっぱり中学校がいいです。

違和感は20代からあった。でも「こんなもんだ」と思わせようとしていた

新川:
18年以上続けてきた中で、しんどいなと感じた時期はありましたか?

ハナさん:
決定的なタイミングはうまく思い出せないんですけど、例えば趣味があって休みの日に好きなことをやりたいのにできないというのがだんだんストレスになってきて。土日に部活の引率に行くとあっという間に終わって月曜日になってしまう。あれやりに行きたかったな、お菓子教室行きたかったな、って。

新川:
それはいつごろから感じていましたか?

ハナさん:
20代の、採用されて数年の頃からそういう違和感は感じていたと思います。生徒指導のやり方にも、え、こんなことまで注意しないといけないのかな、これよりも大事なことがあるんじゃないかな、って。でも「こんなもんだ」と自分に思わせようとしていた部分もあって、若くて体力があるからなんとかなってた感じでした。

新川:
育休復帰のタイミングで、より大きくなっていった感じですか?

ハナさん:
そうですね。子どもとの時間がうまく取れないとか、帰ってきてから寝かしつけまであっという間で、ゆっくり子どもを見られたかなって。育休明けを繰り返すたびにそれが積み重なっていった感じです。「うじうじするのを、そろそろ終わりにしたい」それが、SSプログラムと出会うきっかけになりました。

夜中に「教員 転職」で検索しては、ずっしりした気持ちで目覚めていた

新川:
SSプログラムと出会ったのはどんなきっかけでしたか?

ハナさん:
ものすごく疲れると夜中についつい「教員転職」とか検索するんですよ。そうすると大抵「転職難しい」「厳しい」みたいなマイナスなものばかり目につくんです。夜更かしして寝転がりながら見て、ずっしりした気持ちになって目覚める、みたいなのがたまにあって。

新川:
それ、すごくわかる人いると思う(笑)。

ハナさん:
その中でたまたま新川さんの投稿が入ってきて、なんか今までのと違う気がすると思って見たら、「わかる」「そうなんだよね」っていうのがあって。転職しますよってのじゃなくて、自分がどう生きたいかと向き合うことが大事だよっていうメッセージが、今までそういうことをしたいと思いながらできていなかった自分にすごく刺さりました。

新川: 
「これだ」と思った感じですか?

ハナさん:
はい。これが最後の育休で、もうこのうじうじグダグダを最後にしたいって思っていたタイミングだったので。悩むのを終わりにするために、これにかけてやってみたいという、すごく期待いっぱいで申し込みました。

ワークは「適当にはできない」やり切るたびに、すっきりして自信が出た

— 新川:
実際にワークをやってみてどうでしたか?

ハナさん:
1つ1つの質問がすごく突っ込んでくる質問で、ちゃんと考えないとやっていけない。しっかりやらないと次のワークに行った時に自分の中の矛盾で余計モヤモヤするので、適当にはできないなと思って。時間を見つけるのが自分には難しくて、ちょっと伸びてしまったりもしたんですけど。

新川:
それでもやり切れたのはなぜですか?

ハナさん:
やり切った時って、やっぱりすっきりするし、自分のことも好きになるし、自信が出てくるんですよ。だからワークってすごいなと思いました。やる時間を自分で確保していくこと自体が、今まで大事なことを伸ばし伸ばしにしてきた自分への気づきにもなりました。

新川:
「ワークをやること」が、すでに変化の練習になっていたんですね。

ハナさん:
そうだと思います。全部に全力を注ごうとして疲れてしまう、という自分のパターンが、この仕事にも現れていたはずだなって、ワークをやりながら気づきました。

「やめたいと思う自分」への罪悪感が、なくなった

新川:
SSプログラムを通して、一番大きく変わったことは何ですか?

— ハナさん:
気持ちがとっても楽になって、もっと気楽に生きていいかなと思えるようになりました。やめたいと思う自分に、最初は罪悪感があってすごく言いにくかったんですけど、やめるやめないという選択じゃなくて、どんな風に生きていきたいかという軸ができたら何を選んでも堂々といられるなって。

新川:
「安定」への見方も変わりましたか?

ハナさん:
安定っていう言葉に自分が囚われていて、安定を求めるのが格好悪いみたいに勝手に思っていた部分があったんですけど、安定があるからこそ他の選択肢を考える余裕も出るというふうに、教員の仕事に対して持っていたイメージをもっと前向きに変えられました。

新川:
やめることへのイメージも変わった?

ハナさん:
やめるのは全然悪いことじゃないな、逆にいつでもやめることを選択できるんだって思えたことで、心がとても軽くなりました。だからこそ続けたいって気持ちにもなれて。まだやりたいこともあるな、他にもやりたいことがあるから同時進行でいろいろ調べたりもありだなって。「いつでもやめられる」と思えた時に、初めて「まだ続けたい」と気づきました。

十何年のモヤモヤは、「自分と向き合ってこなかったから」だった

新川:
今振り返って、長年モヤモヤし続けていた原因は何だったと思いますか?

ハナさん:
自分とちゃんと向き合ってこなかったからだなと思います。自分のことをちゃんと見ていないから、怖い・心配・変なモヤモヤばかりつきまとってたんだなと。認めたくなかった部分もあったんだと思います。

新川:
今は続けながら、新しいことも動き始めている感じですか?

ハナさん:
研修に改めて参加してみたり、勉強会に入ってみたり。忙しくなってしまった側面もあるんですけど(笑)その分また他のところで力を抜いてみたりとか。仕事にも力は注ぐけど、今後また他のことに挑戦したい時に生かせるものを集めるようなアンテナも張っている感じで。なんかいろんなことがプラスに繋がっていってる感じがします。

「一度、自分と向き合う時間を取ってみてほしい」

新川:
同じようにモヤモヤしている先生たちに、何か伝えたいことはありますか?

ハナさん:
一度、自分と向き合う時間を取ってみるのもいいんじゃないかなと思います。みんな忙しくて自分のことを後回しにしがちだけど、好きなこととか自分が苦しいと感じることって、言葉にしないと頭の中でぐるぐると回り続けるんですよ。向き合う時間を自分で取るというのが、大事だなと思いました。

新川:
SSプログラムを通じて得た一番の財産は何でしたか?

ハナさん:
探す土台みたいなものかな、と思っています。私もまだまだ探している途中なんですけど、どう生かしていくかのヒントがここから得られたので。あとは、受講生の方との交流とか、コーチとの出会いで広がったことがあって、自分の中だけじゃなくて繋がっていくことがすごくありがたかったです。

新川:
働いてる場所は同じなのに、見え方が変わった感じですね。

ハナさん:
そうです。他にも色々あるんだみたいな感覚を持てると、焦りもしないし、楽しむ余裕もだいぶ出てきたかなと思っています。

編集後記

ハナさんのインタビューで一番印象的だったのは、「夜中に教員転職で検索して、ずっしりした気持ちで目覚める」という言葉だった。その行動をしたことがある人は、きっと少なくない。やめたいわけじゃない。でも、このままでもしんどい。その「うじうじ」の正体は、自分と向き合っていなかったことだったとハナさんは言う。「いつでもやめられる」と思えた時に初めて「まだ続けたい」と気づいた——その変化の順序が、このインタビューで一番伝えたいことだった。

取材・文:新川(Re-Career株式会社 代表取締役)